2020年3月現在、変動金利の利率が年利0.5%を下回るくらい低いので、心情的には変動金利を選択したくなるという気持ちはよく分かりますが、リスクはないのでしょうか。
この記事では変動金利住宅ローンの構造を解説し、最終的に注意すべき点について述べてみたいと思います。
※記事作成時の金利で作成しております。住宅ローンの金利は毎月変動する可能性がございます。
最新金利は各金融機関のHPにてご確認ください。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
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目次
変動金利の利率は何にリンクする?
変動金利の利率は6ヶ月ごとに見直しされます。その利率は各銀行が設定する短期プライムレートにリンクしています。短期プライムレートとは銀行が優良顧客に貸し付ける際の金利で、日本銀行のホームページに2001年以降の利率の推移が記載されています。
そのページを見ていただければ分かるように、短期プライムレートは銀行ごとに異なるものの、それほど大きな違いはなく、リーマンショック以降の2009年からは変動していません。
ということで、この10年ほどは変動金利自体が上がることはなく安定して推移しているということになります。
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住宅ローンは変動金利がお勧め?
それでは住宅ローンを選ぶにあたり、変動金利がお勧めなのでしょうか?
実際に住宅ローンの利率を比較すると、変動金利は年利0.4%程度に対し、フラット35で返済期間35年の固定金利ローンを借りると年利1.24%と大きな差がついています(ちなみにフラット35の利率は非常に分かりにくいので注意が肝要です)。
数値だけ見れば変動金利で決まりではないか、とお考えの方がほとんどだと思いますが、簡単にそうとはいえません。2020年になって新型コロナウイルスがこれほど蔓延すると予想した人がいなかったように、将来のことは誰にも分からないからです。
変動金利住宅ローンには、金利変動のリスクがあります。それをその構造に即して説明したいと思います。
※記事作成時の金利で作成しております。住宅ローンの金利は毎月変動する可能性がございます。
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変動金利の住宅ローンは、利率が上がっても返済額は5年間変わらない
もし、変動金利の利率が上がったらどうなるでしょうか?それでも5年間は元利均等の返済額は変わらないと住宅ローンの契約に書かれています。
「ずいぶんいい制度じゃないか? これなら変動金利で借りても問題ないね」と思われたでしょうか?もしそうなら、それは間違いです。元利合計の返済額は変わらなくとも、金利は増えて、返済する元本は減るのです。
ですから、初めの予定通りに返済できなくなった元本も、当然後で自分が返済しなければならなくなります。本当の問題を外見上、見えないようにしているだけといっても間違いではありません。
5年後には返済額は変わるけれど、前回の返済額の1.25倍までしか増えない
もう一つ、金利上昇を見えにくくする仕掛けが組み込まれています。
将来、ハイパーインフレなどが起きて金利が高騰したとしても、次の5年間の元利合計返済額は前回の元利合計返済額の1.25倍までしか増えません。この場合でも、返済額のうち、金利の割合が増え、返すべき元本金額が減るという現象が起こります。
最終返済期限までに元本が返済しきれない場合はどうなるでしょうか?最終返済日に残存元本と未払い利息をまとめて払うことになります。
まとめ
この記事では、変動金利住宅ローンの返済の仕組みについて解説しました。将来、金利が上昇した場合、変動金利住宅ローンは要注意です。金利上昇が見えにくい構造になっていることにも十分注意する必要があります。
[出典]日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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