更新日: 2019.08.07 介護

老後生活の選択。自立型の「民間有料老人ホーム」で、高級マンション並みの快適な暮らしも

執筆者 : 黒木達也

老後生活の選択。自立型の「民間有料老人ホーム」で、高級マンション並みの快適な暮らしも
老後生活の選択肢として、「民間の優良老人ホーム」で快適に暮らすというのも、方法のひとつです。
 
最近では、この民間有料老人ホームも増えて、それぞれの人のニーズに応じて選択肢も広がっています。特別養護老人ホームなど公営の施設に比べると、まだ割高感はありますが、いろいろなタイプの施設があり、厳しい入居基準などもありません。
 
黒木達也

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

介護付有料老人ホーム、公営に比べ入居は容易です

民間の有料老人ホームの代表格が介護目的の「介護付有料老人ホーム」です。
 
原則として、認知症や骨粗鬆症などの障害があり、介護を必要とする人が入居します。行政からの財政支援がないため、入居費用は公営に比べると若干割高ですが、比較的安く入居できる施設も増えてきました。
入居に際しては、その施設を利用する権利を入居一時金として支払い、別途月額の利用料(食事サービス費、光熱費など)を支払う方式と、入居一時金はなく、月額の利用料に家賃分を加算して支払う方式の二通りがあります。
 
首都圏で見ると、前者の場合、入居一時金は300万円以上、毎月の利用料は15万円から40万円程度が標準です。後者の場合、入居一時金がないため、毎月の利用料は20万円から50万円になります。介護度が高い人ほど利用料も高くなります。
 
公営の「特別養護老人ホーム」の入居条件が厳しく、順番待ちが続いているため、多少経費がかかっても、民間を選ぶ人も増えています。数年前と比較しても、介護付有料老人ホームの毎月の利用料や入居一時金は、低下傾向にあり入居しやすくなっているためです。
 
最近では、住宅メーカー、電鉄会社、各種サービス関連企業が、この業界へ続々と参入しており、選択肢が広がっています。一般的には、都心部に近いほど費用は高く、地方へ行くほど安くなっています。入居する地域を選ばなければ、入居費用も公営の施設に近づいています。
 

自立型では高額の老人ホームもあります

介護を必要としない自立した人が入居する「自立型有料老人ホーム」や、多少の介護が必要な人が入居する「住宅型有料老人ホーム」などあり、ニーズによって選択可能です。入居にかかる費用は、介護付有料老人ホームとほぼ同額という施設が多いですが、介護が必要ないぶん安く入居できる施設もあります。
 
最近では、自立型有料老人ホームの一形態として、ホテル並みの高級感を前面に出し、老後の余暇の充実を優先した施設も出てきました。運営主体となる企業が、介護目的ではなく、施設内に自由に楽しめるツールがある、医師や看護師が常駐するので安心して過ごせる、といった点を強調し入居者を集めています。
 
こうした施設では、最初の入居一時金だけで3千万円以上、中には1億円を超える「高級」な施設もあります。高級マンションを購入するのと同じで、これまで住んでいた土地付きの1戸建てを処分し入居する人もいるようです。
 

事前チェックで入居後のトラブルを防ぐ

とくに介護サービスが目的で入居をした場合、イメージしていた内容と実際のサービス内容が違う、というケースがよく見られます。必要な確認事項としては、介護職員の数は充足しているか、夜間勤務者の人員は確保されているか、看護師は常駐しているか、医師や提携医療機関との連携は十分か、認知症の介護にも十分対応してもらえるか、などです。
 
また、利用権(入居一時金)の償却方法はどうなっているか、入居期間に制限があるのかあるいは終身利用が可能か、病気の悪化などを理由に他施設や病院への退去を迫られないか、なども確認が必要です。毎月支払う利用料にどこまでのサービスが含まれるか、介護保険の対象外サービスを受けた場合の値段はどのくらいか、なども必要事項です。さらに施設の経営母体がどこかを、知っておくことも大切です。
 
とくに入居が困難だった施設にようやく入居できたときに、こうしたチェックが十分でなく後悔するケースが多いようです。説明書や契約書に細かく記載されている箇所まで確認し、疑問点は解消しておきたいものです。
 
執筆者:黒木達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト