更新日: 2019.01.10 介護

お盆休みを使って帰省している人も多いはず。だからこそ話しておきたい【介護のこと】

執筆者 : 新美昌也

お盆休みを使って帰省している人も多いはず。だからこそ話しておきたい【介護のこと】
50代の子供の親は70代以上でしょう。70代後半になると要介護認定率が高まります。そろそろ親の介護が気になる時期ではないかと思います。
 
仕事を持つ子世帯にとって親の介護は深刻な問題です。介護離職をきっかけに介護破産する方もいます。突然、介護は始まります。高齢者は、入院などをきっかけに要介護者になることはよくあることです。
 
その時、親に最適な介護を受けてもらうには、親が要介護になる前に、どのような介護を望むのか、介護費用はどのくらい出せるのかなどを確認しておくことが大切です。
 
高齢の親を持つ子供は、兄弟などが集まるお盆休みや正月休みなどの帰省時に、要介護になったときの親の意向などを確認してみてはいかがでしょうか。
 
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

親の意向を知る

介護が必要になったとき、どのような医療や介護を望むのか確認しましょう。介護は、誰にやってもらいたいのか、介護保険サービスの利用の有無(拒否する親もいる)、施設に入居することになった場合の場所や価格帯、部屋は個室か多床室かなど具体的に確認しましょう。
 
そのためには、子供自身が介護保険のしくみ、介護サービスの内容、高齢者向け施設の種類、費用などについて、大まかに親に説明できる程度に知っておく必要があります。これらの情報を得るには、自治体で発行している介護保険や高齢者向け施設の選び方などのパンフレットを利用するといいでしょう。
 
終末期医療についての確認もしましょう。最期を迎える場所を病院にするか、自宅にするか。また、人工呼吸器や「胃ろう」などの経管栄養による延命治療をどこまで行うのかの確認が大切です。
 
延命治療を控えたり、中止したりする「尊厳死」の判断を家族がするのは難しいでしょう。本人が望まない形になってしまうことを避けるためにも事前に本人の意思を確認して家族間で共有しておくことが大切です。本人の望まない延命治療を行わなのは費用の節約にもなります。
 

親のことを知る

親に最適な介護を受けてもらうためには、親の健康状態(主治医や既往症、服薬など)、友人・知人・近所の人たちとの交流関係、趣味、嗜好、食べ物の好み、1日の過ごし方など把握しておくことが大切です。
 
これらは、介護サービスを利用する際、ケアマネジャーがケアプランを作成するにあたり本人から聞き取る内容です。本人がうまく話せない場合、家族もうまく伝えられなければ、要介護者に適した介護サービスを受けてもらうことが難しくなります。例えば、あまり社交的でない親に、いきなりデーサービスを利用させるのは酷です。
 
親と何年も離れて暮らしている子供は、親のことを聞かれると、意外と何も知らないことに気づくのではないでしょうか。この機会に親のことをもっと知りましょう。
 

親の財産を知る

介護費用は親の財産から出すのが基本ですが、親の財産が少ない場合、子供が介護費用を負担しなければならない場合があります。子供が50代であれば、突然、親の介護が始まった場合、教育費や住宅ローンなどと重なり家計を圧迫します。親に援助する余裕がないかも知れません。
 
親の意を尊重しつつも、親の財産が多くない場合、親の望みをすべて叶えることはできません。親の財産の範囲内で親の希望を最大限叶える介護サービスを選択することが必要になります。
 
そのためには親の財産を知り、予算を決めておく必要があります。予算を決めておくことは必要のない介護サービスを受けないためにも大切です。
 
年金収入はいくらか、毎月の生活費はどのくらいかかっているのか、金融資産はどのくらいあるのか確認しましょう。
 
以上、家族で話し合っておきたいポイントをお伝えしました。親がどのような介護を望むのか、親の財産はいくらあるのか、家族は介護にどの程度かかわるのかを最低限話し合って共有しておきましょう。
 
また、子供は親の介護が気になりだしたら、介護サービスや高齢者向け施設などの情報収集を始めましょう。相談は地域包括支援センターを活用するといいでしょう。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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