最終更新日:2019.01.10 公開日:2019.01.04
老後

知っておきたい認知症のこと ~自分のため、親のために。

人生100年時代と言われる昨今、寿命が延び、50年前には想像もできなかった事態が起きています。そのなかで、「認知症」「介護」という言葉や状態は、いまだに一部の方にしか自分事として捉えられていません。
 
少子高齢化、医療技術の進歩により、家族として、社会として直面することになるであろうその時のために、まずは「認知症」について知ることが大切です。
 

認知症って?

認知症とは、さまざまな原因で脳の細胞が損傷したり、十分な働きをしなくなることにより、認知機能が低下し、生活がしづらくなる症状を言います。誰でもかかる可能性のある脳の病気で、中核症状と周辺症状があります。
 
前者には記憶障害、言語障害、理解・判断力の障害、実行機能障害などがあり、後者は個人の性格や心理状況、環境などに起因して、不安や鬱(うつ)、怒りっぽくなる、幻覚や妄想、徘徊などの症状が現れます。
 

一般的介護と認知症介護のちがい

介護が必要となる原因はさまざまですが、最も多いのが「認知症」です(下図)。自覚症状はあり、発症当初は「あれ、何だっけ?」「何しようとしてたんだっけ?」といった、ありがちな症状が見られます。
 
不安や憤り、自信喪失により、周囲が知らぬ間に症状を悪化させるケースも多いようです。早めに気づき、症状を観察し、理解する。そして進行を遅らせることが重要です。
 
一般的介護では原因となる部位のケアや、精神的なサポートが必要となりますが、認知症介護では、とくに進行した場合に迷子や徘徊などの見守りも必要になってきます。
 

 

介護・看護を理由に離職も

認知症介護の場合、一般的介護以上に周囲の負担を考えなくてはなりません。昼夜逆転、長時間・長期間に渡る見守りは、介護する側の精神的・身体的負担が大きくなります。また、介護サービスの利用を増やすと、経済的負担という課題にも直面します。
 
介護・看護を理由とした離職者数は、10年前と比較して2倍近くに増加しています(下図)。このなかには、精神的ストレスによる介護者自身の体調不良も含まれています。サービスに対する経済的負担と、離職による経済的損失の両面から考えておくことが大切でしょう。
 

 

事例:要介護1のAさんの介護保険サービス利用

事例を見てみましょう。
 
1日に何度も奥さまに同じことを尋ねるなど、物忘れがひどくなり要介護1に認定されたAさんは、家族の負担を考慮して地域の「認知症対応型通所介護」サービスを週3回(月12回)利用することにしました。
 
要介護1の在宅サービスの支給限度額は16万6920円。費用は1回あたり1万60円で、月あたり12万720円のサービスを受けることになります。この場合、Aさんの負担は1割の1万2072円(収入により1~3割負担)になります。
 
もし同じサービスを月に20回受けた場合、支給限度額を超えるため、超過分は介護保険対象外となり自己負担が大きくなります。
 

 
最初は嫌がっていたAさんですが、同じ症状の仲間と時間を過ごすことで会話も笑顔も増え、穏やかに通っていると言います。
 
長女のCさんはお母様の疲労ぶりを見て、このような施設がなかったら離職を考えていた、と振り返っています。もし離職していれば、Cさんのライフプランまで影響を受けるところでした。
 

認知症に対する理解や対応への取り組み

各自治体では部署間の連携、町内会や団体との連携、一般市民への啓蒙に取り組んでいます。健康寿命を延ばす取り組みも、その一つです。
 
いずれも自己診断、普段からの運動や地域でのコミュニケーションにより、介護を必要とする時期を先送りすること、症状の進行を遅らせることを目的としています。
 
会話を楽しむことによる脳への刺激の有効性は、科学的にも証明されているそうです。また、介護する方の情報交換や癒しの場として、「認知症カフェ」が全国的に広がってもいます。
 
介護する側もされる側も、精神的・肉体的・経済的な負担を少しでも軽減できるような工夫が重要です。まずは知ること、そして理解することが大切ですね。
 

経済的負担の準備を

公的介護保険サービスは各都道府県や市区町村で議論され、現在ではさまざまなサービスを受けることができます。
 
ただ、運営面での状況は依然として厳しく、公的サービスだけでは不十分と言えます。収入や症状による上限額やサービス内容、適用の可否などは、前もって確認しおきましょう。
 
元気なうちに介護、さらには認知症を発症した場合のリスクについて、準備を心がけておきたいものです。
 
出典:厚生労働省:介護が必要になった主な原因
内閣府:介護・看護の理由による離職者数
 
Text:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士
 

大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/



▲PAGETOP