更新日: 2019.07.05 セカンドライフ

【相談実例】「65歳からの年金生活が不安。ライフプランを考えたい」(1)

執筆者 : 宮﨑真紀子

【相談実例】「65歳からの年金生活が不安。ライフプランを考えたい」(1)
人生100年時代を迎えました。“ライフプランをいよいよ考えないといけない”と思う50~70歳代の人も増えたようです。
 
安心して長く生きるためには、やはりキャッシュプランは欠かせません。貯蓄がゼロで困っている人がいる一方で、“金融資産を十分持っているのに、まだまだ心配で使えない”という人も多いのが現実です。
 
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

ライフプラン表、キャッシュフロー表で出来ること

「ライフプラン表やキャッシュフロー表を作る必要はありますか?」と聞かれることがあります。結婚・出産・子育て・住宅購入・老後の生活…等々、人生には諸々のライフイベントがあります。これから起きる様々なイベントや“やりたいこと”を踏まえ、自分のライフプランを考えます。
 
例えば、“できれば子供は2人欲しい、上の子が小学生の間に住宅を購入したい”という希望であれば、それに沿ってキャッシュフロー表を作成します。将来の夢を具体的に設計することで、夢は実現に近づきます。
 
お金の流れを可視化することで、計画に無理はないかを事前にチェックすることができます。“どの時期に不安があるのか”これを予め知ることができれば、準備もできます。場合によっては、予定を変更するなどの修正を加えていけば良いのです。
 
特に、教育資金と住宅ローンは支出の時期が重なります。どちらも人生の三大支出と呼ばれる大きな金額となります。この作業をしておくことで、「資金不足になりそうだけど、ここを乗り切れば後は大丈夫」といった安心にも繋がります。
 

年金生活を安心して過ごすために作成

以上の理由で、これまではライフプラン表を作成する主な世代は“現役世代”でした。しかし今は、「65歳からの年金生活を、不安なく過ごすためのライフプランを考えたい」という方が増えています。人生の三大支出は「教育資金・住宅資金・老後資金」と、老後資金が3番目に登場します。
 
Sさん(58歳)は、夫(65歳)と息子(26歳)の三人暮らしです。息子は社会人で、勤務地が近いので同居しています。共働きでしたが、一昨年二人とも退職されました。
 
これまでずっと会社員として働いてこられたので、ご主人の年金と今後支給されるSさんの年金を合わせると、年間400万円以上の受給額があります。
 
また、資産も相当額が積み上がっていますので、老後資金の不安は無いようです。自宅マンションのローンも完済されています。数年以内に大きな支出として考えられるのは、マンションのリフォームと息子さんの結婚資金の援助ということでした。
 
やりたいことは? という質問に「来年ヨーロッパ旅行をしますが、“安い・近い・短い”の旅行が好きなので、遠くに出掛ける予定はそれ以外ありません。近場の旅行はする予定です」との回答でした。これらをキャッシュフロー表に盛り込み、表はほぼ完成しました。
 
実は、Sさんはキャッシュフロー表を既にご自身で作成されていました。Sさんが“今まで頑張ってきたのだから、もう少しお金を使って遊んでも良いのでは”と考えているのに対し、ご主人は堅実派で“本当に大丈夫なのか?”と意見が分かれているそうです。
 
ダブルインカムの生活が長く、お財布は1本化されていますが、お金の使い方は夫婦でもそれぞれです。キャッシュフロー表を作成し、使い方の摺り合わせをすることは大事だと思います。キャッシュフロー表がご主人への説得材料になると考えた奥様は、大正解ではないでしょうか。
 
【ワンポイントアドバイス】
キャッシュフロー表の作成には、別居している家族(子どもだけでなく、夫婦それぞれの親も)のことも記載しておくことをお勧めします。孫の入学祝い、両親の長寿のお祝等々もイメージしやすくなります。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
相続診断士