更新日: 2021.02.03 定年・退職

金融機関での退職金の定期預金金利優遇キャンペーンって?

執筆者 : 堀内教夫

金融機関での退職金の定期預金金利優遇キャンペーンって?
先日、長年勤務していた金融機関を早期退職し、縁あってある事業法人に転職し、退職金を手にしました。これまで、自分自身の資産については、まとまった資金を運用したことがありませんでした。
 
一方で、転職して新しい仕事にキャッチアップすることが最優先の中、当面は、あまり運用に時間を割くわけにもいかないことから、運用方針の詳細を決めるまでの間、優遇金利の定期預金に預けようと考え、退職者向けに金利優遇のキャンペーンを行っている信託銀行へ相談に行きました。
(※)2021年1月時点、筆者の実体験から得た情報を含みます。

定期金利優遇キャンペーンについて

マイナス金利の影響により、預金金利は低位安定で動かない状況です。都市銀行については、定期預金は、預入期間と金額ごとに区分された金利一覧の電子ボードが不要かと思うくらいに、金額、期間に関わらず、一律に0.002%となっています(ちなみに普通預金金利は0.001%です)。
 
新しくできたネット銀行や、証券会社の子会社の銀行などでは、金利を高めに設定しているところもありますが、それらと比較しても、ある大手信託銀行の年利0.8%(2020年10月時点)というのはなかなか見当たらない水準でした。
 
ただ、よく案内の文書を見ると、残念ながら、まるまる1年間、この金利で預けることができるわけではなく、3ヶ月までということでした。実際に3ヶ月後にもらえる利息はその4分の1である0.2%。
 
さらに、利息の約20%は所得税がかかります。仮に1000万円預けても、3ヶ月後に利息として手元に入るのは約1万6000円ということになります。
 

他の運用商品とのセットでの優遇について

受け取ったチラシをよく見てみますと、運用資金全額を定期預金に預けるのではなく、全体が一定額以上で、その半分をファンドラップで運用する場合や、あるいは半分を投資信託で運用する場合には、さらに大きな優遇の預金金利を得られる(7%)というプランもありました。
 
優遇するから預けてくださいというキャンペーン金利です。ただ、いざ預けるとなると、ファンドラップについては、一定の運用コースを選択できるとはいえ、専門家(ファンドマネージャー)にすべてお任せとなってしまうところが少し気になりました。
 
また、専門家が運用するといっても、その信託銀行の場合は、結局は投資するものが投資信託と聞いたので、コストが二重にかかっていることも気になり、自分で商品を選択できる投信とのセットについて検討してみました。
 

投資信託とのセットについて

投資信託とのセットプランについて、残念だったのは、選択できる投資信託の商品が限られていたことです。
 
私自身は、期待リターン(ファンドの目標リターン、あるいは過去数年間の運用実績などから推察するものです)よりも、投資コストを重視していましたので、なかなか思うような商品を見いだすことはできませんでした。
 
理由は、そのプランでは、インデックス型の投資信託を選ぶことができなかったことです。一般に投資信託では、運用手法が高度になるほど、期待リターンも高まる、あるいはリスクも抑えられる可能性もあります(結果的に必ずしも思惑どおりのリターンとなるとは限りませんが)。
 
しかし、ファンドマネージャーが独自の視点で銘柄選定をし、相場状況に応じてヘッジを行うなど手間をかけて運用を行うので、一定のコストがかかります。
 
一方で、インデックス型の場合には、基本的に、運用する対象は決まっていますし、ヘッジをするわけでもないので、当然ながら、コストも安くなります。よって、購入手数料については、投資対象が同じであっても、大きく差が開くのが通常です。
 
例えば、国内株式のインデックス型投資信託の中には、購入手数料がゼロのものを取り扱っている金融機関もあります。そういった、手数料の低い商品を除かれた“キャンペーンの対象となる投資信託”というラインアップで選択できる投資信託は、一定の購入手数料がかかるものでした。
 
仮に、購入手数料2%の投資信託を選んだと想定してみましょう。定期預金で7%ももらえるのだから、購入手数料が2%でも十分得しているように見えるかもしれません。
 
しかし、購入手数料は、購入時に元本に対してかかるものですので、購入時に2%まるまる支払うこととなります。加えて、投資信託では信託財産に対しての運用管理手数料もかかります(基準価額に影響します)。
 
一方で、定期預金金利については、7%といっても、これは年利の7%、1年間運用した場合の利回りです。実際に、その金利が適用されるのは、3ヶ月間しかないので、利息としてもらえるのはその4分の1である1.75%分となります。
 
したがって、この場合には、投資信託の運用成果(購入した投信から一定額の配当が得られるか、あるいは基準価額が上昇)を待たなければ、トータルではプラスにならなくなります。
 

リスクをとらなければ大きなリターンを得るのは難しい

筆者の場合は、当面は相場を見ている余裕もないので、コスト面だけを考えて、とりあえず様子見ということで定期預金のみを選びました。
 
が、見てのとおりこの3ヶ月の相場動向では、株式に投資していれば大きく上昇していますので、リスクをとったほうがよかったのかもしれません(これは結果論ですが)。そろそろ、3ヶ月が近づくので、次の運用手法を検討するつもりです。
 
執筆者:堀内教夫
 

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