公開日: 2021.03.02 老後

「お墓」に対する意識変化。一般墓が減り多様化と簡素化が進む

執筆者 : 黒木達也 / 監修 : 中嶋正廣

「お墓」に対する意識が、高齢者の間でも大きく変化しています。潮流にあるのが、少子高齢化の進行と、いわゆる「家」に対する意識の変化です。ひと昔前はお墓といえば、先祖代々が眠る寺院に墓石の建ったお墓が一般的でした。最近では、その傾向に変化が見られます。
 
黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

中嶋正廣

監修:

監修:中嶋正廣(なかじま まさひろ)

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

長野県松本市在住。

黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

中嶋正廣

執筆者:

監修:中嶋正廣(なかじま まさひろ)

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

長野県松本市在住。

従来型の一般墓は減少傾向

お墓といえば、寺院や霊園の管理のもと決められた区画を保有し、墓石を建て、永代供養料(土地を借り続ける権利料)を支払うタイプが一般的でした。先祖代々がその墓地に眠っているというお墓も多くありました。
 
ところが、都会に移住し地元に墓参りに帰るのが面倒だ、移住先の近郊に手軽な墓を購入した、地方にある墓地を自宅近郊に移した、などの理由で先祖代々が眠るお墓を維持していくことが、困難と思う人が増えてきました。
 
加えて、お墓に対する考えも大きく変わりました。高齢で子どももいないので、自分の後に墓を管理できない、知らない先祖より飼っているペットと一緒に入りたい、檀家制度や墓地の管理費用にお金をかけたくない、などと考える人が多くなってきました。
 
また子どもがいたとしても、お墓の管理のことで子どもには迷惑をかけたくない、と考える高齢者はかなりいます。地方の寺院では、墓地を都会へ移転する人、消息不明で管理料を支払わない人が増え、さらに管理者不明の無縁墓も多くなり、従来の檀家制度が維持できず経営的にも苦境に立たされています。
 
世代を問わず「先祖代々」といった意識が薄れ、お葬式と同じように「自分らしい」お墓をつくる、という考え方が定着しつつあります。

墓石のない「お墓」が主流になる?

10年以上前は、寺院や公営の霊園内につくる従来型の一般墓が主流でした。ところがここ数年で、事情が大きく変わってきました。逆に増えているのが、墓石のない「樹木葬」「納骨堂」「永代供養墓」と呼ばれる、従来とは異なるお墓です。
 
海などに骨を撒く「海洋散骨」を希望する人もいます。新規にお墓をつくる人の最近の傾向を見ても、一般墓が減少しています。反対に、樹木葬と納骨堂が大きく増加し、日本全国で見ても60%を超えています。
 
10年前は10%前後だったのとは大きな違いです。近年では一般墓をつくる人は、全体の30%にも満たないようです。ただ一方で、東京などにある公営の霊園(青山や雑司ヶ谷など)は、安い費用で区画を購入できるため、空き区画が販売されると、多くの応募が殺到しています。
 
安いコストならば、墓石のある一般墓を望んでいる人も、かなり存在する証左といえます。「樹木葬」は、日本各地で増える傾向です。
 
自然に恵まれた郊外の丘陵地などに樹木や花を植え、その中に区画をつくり埋葬する方式で、生前からその場所を予約し、中には飼っていたペットを先に埋葬し、その後に自分が入るケースもあるようです。
 
死後は自然の中で眠りたいという考えがあります。もともとは自然に囲まれた郊外の丘陵地というイメージでしたが、最近では大都市の寺院などでも、敷地内のスペースを樹木や草花で囲み、そこに埋葬するタイプの樹木葬もあります。
 
納骨堂や永代供養墓は墓石がないのが基本で、少ないスペースで造成でき、一般墓に比べ安く購入できるのが特徴です。「納骨堂」は室内に遺骨を安置するタイプの施設で、キーでロッカーを開ける方式や、カードをかざすと拝観場所に遺骨が運ばれてくる方式などがあります。
 
特に東京など大都市でも、広いスペースをとらずに建設できるため、積極的に事業展開する寺院も増えています。「永代供養墓」は、寺院などが管理と供養を担い、家族や親戚とではなくまったくの他人と合祀される形式のお墓で、多くの人が一時期に納められるために比較的安いコストでできます。
 
親族に墓参りを依頼する必要もありません。墓の形態をとらずに遺骨を粉の状態にして、海や森に撒く散骨も増えています。海洋散骨や森林散骨と呼ばれるもので、自然に戻るという発想が根底にあります。しかしただ遺骨を撒くのではなく、条件を満たした上で散布することになります。
 

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新規にお墓をつくる際の費用

新たにお墓をつくるには、それなりのコストがかかります。地域やお墓の規模と関係しており、東京などの大都市での購入費は、地方と比較すると高くなります。
 
一般的な墓石のあるお墓の場合、寺院にするか公営墓地にするかで多少価格は異なります。まず墓地として土地を借りる使用料(永代使用料)がかかります。
 
この相場が30~200万円です(地域や専有面積で差が出る)。敷地が決まると、墓石代と工事費です。合わせて50~150万円です。墓石の値段はサイズ・材質により変わり、高級な石材を選ぶと、この金額以上になります。多くの施設で、管理料として年に2~5万円程度を、施設管理者に払う必要があります。
 
地方にあった先祖代々の墓を現在住んでいる家の近くへ移す場合も、かなり高額な費用が発生します。寺院に払う離檀料、墓石と遺骨の移送費に加え、移設先の工事費も必要になります。
 
離檀料は寺院の格で差があり、公営墓地はほとんどかかりません。石の運搬費は結構高くつきます。合わせて、80~150万円は必要です。これとは別に移設先の永代供養料が発生します。
 
樹木葬は、木や花を植えた区画に一定期間の区画使用料を払って埋葬する方式で、15~50万円が標準です。大都市の寺院内では80万円を超える場合もあります。納骨堂は、地価の高い地域にあるか、寺院の格がどの程度か、納骨の方式がどうか、などで差がありますが30~150万円です。
 
永代供養墓は、多くの人が一緒に合祀されるため、費用は比較的安めで10~50万円です。海洋散骨や森林散骨は、ただ捨てればよいというわけにはいきません。
 
人の生活圏から離れた遠くの場所に散骨する必要があり、紛骨にする費用や船舶のチャーター料などが必要になります。墓石などは不要のため、費用は10~40万円で済みます。
 
人々のお墓に対する意識も、明らかに変化しているので、今後も墓石のある一般墓が減り、いろいろなタイプのお墓が増えていくと思われます。
 
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
 
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
 

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