更新日: 2021.12.17 セカンドライフ

ゆとりある老後の生活費。夫婦2人で月いくら必要?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ゆとりある老後の生活費。夫婦2人で月いくら必要?
日本人の平均寿命が延び続けている中、老後資金について不安を持たれている方も多いかもしれません。では一体、いくらくらい準備すれば安心なのでしょうか?
 
報道などでは老後資金として2000万円が必要と報じられることもありますが、本記事では老後の生活費について各種調査のデータから考えていきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後の生活費はいくらくらいかかる?

まず生活費の平均値について、総務省が実施している「家計調査」の2020年(令和2年)のデータから見ていきます。
 
2人以上世帯の消費支出について、全年代での年間平均は333万5114円となっており、1ヶ月当たりにすると約27万8000円です。その中で、65歳以上の夫婦のみの世帯における消費支出の年間平均は290万684円で、1ヶ月当たりでは約24万2000円となります。
 
家計調査での消費支出の結果を項目別に比較すると、以下のとおりです。
 

全年代平均 65歳以上平均 全年代平均からの増減率
消費支出合計 333万5114円 290万684円 -14%
食料費 96万2373円 92万4792円 -4%
住居費 20万8488円 18万5965円 -11%
光熱・水道費 26万2034円 26万434円 -1%
家具・家事用品費 15万2497円 13万8454円 -10%
被服および履物代 11万97円 7万4054円 -33%
保健医療費 17万1554円 19万4306円 +13%
交通・通信費 47万9658円 36万4124円 -25%
教育費 12万3514円 5922円 -96%
教養娯楽費 29万9844円 25万4943円 -15%
その他の消費支出 56万5055円 49万7691円 -12%

※e-Stat 「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」より筆者作成
 
全年代の平均を基にして、65歳以上の世帯での消費支出の増減率を見ていくと、まず教育費に関してはほぼ必要なくなるといえます。また、支出の減少率が大きい項目に被服および履物代、交通・通信費があることから、老後は外出の機会も全般的に少なくなる傾向にあると推測できます。
 
一方、住宅費に関しては大幅な減少がなく、持ち家の場合は住宅ローンの支払いが終了しても修繕費などの費用がかかり、賃貸物件に住んでいる場合は老後も変わらず家賃が発生するためと考えられます。
 
そして老後に支出が増えている項目は、やはり保健医療費となっています。
 

老後の生活費はどの程度あれば安心?

では、老後の生活費がどの程度必要になるのかを考えていきます。
 
公益財団法人 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和元年度)の結果によれば、老後(夫婦2人)に最低限必要な生活費の平均は月額22万1000円となっています。
 
家計調査での消費支出の平均結果より少ないことから、前述のように教育費や交通費などの減額によって、老後は相応に暮らしのダウンサイジングを考えていることが多いと推測できます。
 
なお、老後にゆとりある生活をするために必要な金額の平均は月額36万1000円となっており、最低限必要な生活費に上乗せした分(14万円)の使用目的としては、旅行やレジャー、趣味や教養、普段の生活の充実などが挙げられています。
 
これらの結果から老後のライフプランにおいては必要な生活費、月数、何歳までと積み重ねて計算することで、具体的に必要な金額が見えてくるといえます。
 

まとめ

実際のデータから老後の生活費について見ていくと、1ヶ月当たり25万円程度あれば問題なく、それ以上に上乗せすることでゆとりのある生活ができると考えられます。
 
本記事は平均値を基にしていることから、それぞれの環境などにより変わるポイントもあるかと思いますが、こうしたデータから老後資金について検討してみてはいかがでしょうか。
 
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)
公益財団法人 生命保険文化センター 令和元年度 生活保障に関する調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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