更新日: 2022.02.01 セカンドライフ

定年退職後に年金をもらいながら働くなら月いくら稼ぐのが妥当?

執筆者 : 柘植輝

定年退職後に年金をもらいながら働くなら月いくら稼ぐのが妥当?
老後資金が不十分、年金制度への不安、自己実現のためなどさまざまな理由から、定年退職後も年金を受け取りながら働き続けるという方もいらっしゃいます。その場合、毎月いくらくらい稼ぐのがよいのでしょうか。年金をもらいながら働く場合の妥当な月収について考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

大切なのは自身にとって妥当な月収を見つけ出すこと

一言で「年金をもらいながら働く場合の妥当な月収」といっても、具体的な金額については、結局のところ個別の状況・考え方などによって大きく異なります。
 
金額は個人によって差があれど、その金額を導き出すのにあたって必要な考え方の基本は、ある程度共通しています。
 
そこで、今回は1つの目安としていくら稼ぐのが妥当か、いくつかのパターンに分けて考えていくことにします。
 

将来が不安で働く場合

老後資金もあり、年金も併せて十分安定した老後を送れるが、年金を含む社会保障制度の在り方を含め将来が不安なため働いておきたいという場合、在職老齢年金に気を付けて働くことが大切です。
 
在職老齢年金とは、厚生年金に加入して働いている方が厚生年金を受け取る場合、その方が60歳から64歳であれば給料+年金の月額が28万円を超えたとき、65歳以上であれば給料+年金の月額が47万円を超えた場合に、支給される厚生年金の一部ないし全額が停止される仕組みです(令和4年4月からは一律47万円を超えた場合に統一)。
 
そのため、年金を含む社会保障制度が不安なため働いておきたいという場合、基本的には年金と給与を足した金額が28万円ないし47万円となるのを上限として、無理のない範囲で働くのが妥当といえるでしょう。
 
なお、在職老齢年金は厚生年金独自の制度であるため、自営業などで厚生年金に加入しないで働いている方や、国民年金のみをもらっている方には適用がありません。
 

老後資金が不十分で働く場合

老後資金が不十分であり、年金だけでは生活できないという場合は生活していくのに必要な金額分を稼ぐべきでしょう。
 
例えば、一人暮らしで毎月20万円の生活費が必要だという方の年金収入が約6万5000円の国民年金のみという場合、13万5000円ほど稼ぐように働くといったイメージです。
 

自己実現のために働く場合

生涯現役でいたい、趣味が仕事に直結している、心身の健康のために働きたいなど自己実現のために働くという場合、「毎月いくら」ということを気にするよりも自己実現が可能な範囲で働くのがよいでしょう。
 
その場合でも、厚生年金に加入しながら働く場合は在職老齢年金に気を付けながら働くと、手元に残るお金をより多くすることができます。
 
特に理由はないけどとりあえず働くというような場合でも、在職老齢年金により減額されてしまうラインを1つのラインとして考えて就業しておけばよいでしょう。
 

年金をもらいながら働くのであれば、まずは必要な収入の確認を

年金をもらいながら働く場合において、毎月いくら稼ぐのが妥当なのかは個別の事情によって異なります。
 
働き過ぎて在職老齢年金によって年金が減って損をした気分になってしまったり、逆に働く時間が短すぎて働く目的が達成できなかったりするからです。
 
もしも、定年退職後も年金を受けながら働くことを検討している場合、一度自分にとって必要な毎月の収入について明確にし、在職老齢年金についても考慮した上で、いくらまで稼ぐのが妥当か考えてみると答えが導き出せると思います。
 
どうしても悩んでしまうという場合、FPなどに相談してみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士