更新日: 2023.02.24 その他老後

【誤解されやすいかも】一定年齢になったら「大人の休日倶楽部ミドル」は自動退会?

執筆者 : 上野慎一

【誤解されやすいかも】一定年齢になったら「大人の休日倶楽部ミドル」は自動退会?
「シニア割引」の制度は、鉄道や飛行機などの交通機関でも導入されているケースが多いでしょう。一定年齢になると入会でき、会員登録や専用クレジットカード加入などをするとおトクな切符が買える。例えばこんな内容です。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

「大人の休日倶楽部」とは

JR東日本の「大人の休日倶楽部」もそんな制度の1つ。会員になると旅やライフスタイルに関して会員限定のさまざまな特典やサービスを受けることができます。
 
中でも「大人の休日倶楽部パス」(※1)は、とてもおトクな切符です。発売・利用期間はかなり 限定的ですが、JR東日本の新幹線や特急を含めて連続する日数分乗り放題で、普通車指定席も6回まで利用可能。
 
2022年度で例えば【JR東日本全線等で4日間有効】が1万5270円。東京から新青森へ片道1回利用するだけで楽にモトが取れてしまうくらいのおトクさです。
 
会員になるための資格と条件は、次のような概要(※2)です。

<利用資格>   50歳以上

<利用条件例>  「大人の休日倶楽部ミドル」への入会とクレジットカード発行。カード会費を含む年会費は2624円(現時点では初年度会費無料)

この「大人の休日倶楽部ミドル」(以下、単に「ミドル」と略称)は、年齢層で分かれる2つのサービスグループの若いほうのもの。もう1つが「大人の休日倶楽部ジパング」(以下、単に「ジパング」と略称)。両者は、会員になれる年齢が次のように違います(※2)。

◇ミドル
 (男性) 満50歳以上64歳まで
 (女性) 満50歳以上59歳まで
 
◇ジパング
 (男性) 満65歳以上
 (女性) 満60歳以上
 
 (注)夫婦の場合、どちらかが満65歳以上ならば2人そろって「夫婦会員」に加入できる。

「大人の休日倶楽部」カードを利用すると、JR東日本線・JR北海道線の切符が何回でも割引(片道・往復・連続で201キロメートル以上利用の場合)になるサービスもあります。
 
割引率は、ミドル5%がジパング30%に拡充。またジパングでは、全国のJR線が20%・30%割引(距離条件は同上、回数制限あり)になる会員手帳も発行されます。
 
もちろんその分、ジパングでは年会費も個人4364円(カード会費含む)、夫婦7458円(同)と高くなります。
 

一定年齢になったら「ミドル」は自動退会?

こうした「大人の休日倶楽部」ですが、例えばミドル会員の男性が65歳になるとき、どうなるのか。誕生月の前々月頃に、事務局から書面が届きます。
 
内容はジパングへの入会を勧めるもので、次のポイントが確認できます。

・改めて入会申し込みが必要で、満65歳になってから手続きできる。

・入会するとクレジットカードも変わり、ミドルのカード番号は引き継げない。

・ミドルの会員有効残存期間は、引き継げない。残存期間分のミドル年会費の返金もされない。

同倶楽部の「よくある質問」でも解説されている(※3)くらいなので、どうなるのか疑問に思っている人も少なくないのでしょう。
 
ところで、先述のミドル会員になれる年齢 [(男性)満50歳以上64歳まで、(女性)満50歳以上59歳まで]との関係も気になります。
 
ジパングへ自動継続されないことはわかりましたが、男性は65歳、女性は60歳になったら、会員資格がなくなってしまうようにも思えます。「ミドルは自動退会になってしまうのか」。そんな疑問が湧いてきます。
 
結論は、それぞれの年齢に達してもミドルのまま会員継続は可能。各上限年齢は、実は、「新たに入会(または再入会)するとき」の上限で、現在ミドル会員である人に適用されるわけではないのです(同倶楽部事務局に確認済)。
 

まとめ

情報というものは、「思い込み」を誘発する場合だってあります。今回のケースでも、男性65歳・女性60歳になったら、ミドルは退会してジパングに移らなければならない。そんな思い込みはなかったでしょうか。
 
長距離の旅の移動手段として新幹線や特急は、もちろん早くて快適です。しかし、所要時間や料金の面によっては、飛行機や高速バスなどほかの手段を選択したいケースだって大いにあるでしょう。
 
「大人の休日倶楽部パス」は利用し続けたいけれど、ジパング会員になるメリット増(と会費負担増)までは必要ない。そう考える人も少なくないかもしれません。
 
65歳(女性は60歳)になったら、ジパングをご用意しています。運営者側でも、そんな情報提供に主軸を置いているようです。説明をあえて省いているのかどうかはさて置き、実はミドル会員はずっと継続できる。このことを覚えておいても損はないでしょう。
 

出典

(※1)東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)「大人の休日倶楽部」~「おトクな会員限定きっぷ」
(※2)JR東日本「大人の休日倶楽部」~「大人の休日倶楽部とは」

(※3)JR東日本「大人の休日倶楽部」~「よくあるご質問」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士