更新日: 2023.03.23 セカンドライフ

老後のお金の不安を解消するために今できることとは?

執筆者 : 秋口千佳

老後のお金の不安を解消するために今できることとは?
食費や日用品、水道光熱費の高騰が続き、家計のやりくりに必死になっている一方で、頭から離れないのが「老後のお金が足りないのでは」という不安ではないでしょうか。その不安を少しでも解消するため、今できることをお伝えします。
秋口千佳

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

ずばり、「今の年間収支を把握して将来の年間収支を予測すること」です

老後の不安解消には、今の年間収支から将来の年間収支を予測し、老後の見通しを立てることが有効です。
 
「年間の収支を把握していますか」とたずねると、「家計簿をつけているから把握しています」という人と、「家計簿をつけていないから把握していません」という人、さらに「家計簿をつけていないけれど把握しています」という人に分かれます。
 
もちろん年間の収支を正しく把握している人はいらっしゃいます。しかし、その割合は少ないのが現状です。そこで、3つのタイプ別に実状とそれぞれの落とし穴について見ていくことにします。
 

「家計簿をつけている人」

家計簿をつけることは、家計を把握する意味ではとても大切です。しかし、家計簿はあくまでも「月」単位での把握です。
 
老後不安を解消するためには、「年間」の把握が必要です。月単位で把握しているのだから、それを足し合わせれば年間の把握になると考えがちですが、そこまで追及している人は少ないです。
 
確認してほしいことは2つです。1つ目は、毎月の黒字と赤字を合計すると、年間の預貯金の増減金額になっているかです。もちろん家計簿の支出項目に「積立」や「他銀行へ」という項目があれば話は異なりますが、簡単に年間の預貯金の増減金額の確認ができ、毎月の家計簿の正しさの確認ができます。
 
2つ目は、支出項目に「その他」があるかということです。その他がある人は、家計簿を正しくつけることが目的となり、家計の把握ができていない可能性があります。
 
つまり、「その他」とまとめてしまったために何に使ったかが分からないと、これから先もこの金額により、家計が乱れることになり、予測が難しくなります。できる限り「その他」がなくなるようにしてみてください。
 

「家計簿をつけていない人で把握していない人」

まずは家計簿をつけましょう。長年の経験で何となく生活ができていて、何となくお金が増えている気がする、ということもあるでしょう。しかし、老後の不安を解消するためには、今の年間収支を把握して今後の年間収支を予測する、という作業をする必要があります。
 
そのためには、「何となく」ではなく「正しく」把握する必要があります。まずは、毎月の収入金額と支出金額を把握し、その上で1年間をとおして把握することで、1年間で預貯金額がどの程度増えるのか、ということが分かります。
 
そこまで把握できれば、将来の予測もできるようになるので、まずは家計簿をつけてみましょう。細かな金額の誤差を意識せず、目的は1年間の収支把握であることを頭に置いて、やってみてください。
 

「家計簿をつけていない人で把握している人」

「把握している」というレベルにもよりますが、こういった人はそれなりにいます。実際、ファイナンシャル・プランナーにもこのタイプが多いように感じます。私もその1人です。
 
家計簿をつけなさいと言いながら、ファイナンシャル・プランナーは家計簿をつけていない、というのは変に聞こえるかもしれませんが、家計簿をつけるのは大変です。それであれば、家計簿をつけずに年間収支を把握する方法を考えましょう。
 
1つの方法としては、お手持ちの銀行等の預貯金口座の年間残高の増減を調べれば把握できます。例えば、毎年年末の通帳の残高を一覧表に記入します。そして前年と比較して増減を確認するという流れです。その増減理由が説明できれば「年間収支を把握している」となります。
 
ときどきこの方法をお伝えして実行し、「減った理由が分からない」という人がいらっしゃいます。人生いろいろなことが起きるので、今年は緊急事態(手術した、家を買った等)があったから預貯金が減ったということはあり、その説明ができれば問題はありません。
 
しかし説明ができないのであれば、やはり家計簿をつける必要があります。
 

将来を予測するために年間収支を把握する

目的はあくまで「老後のお金の不安を解消すること」であり、そのために、年間収支を把握し将来を予測するのです。
 
家計簿をつけることや年間収支を把握すること自体は目的ではありません。最終目的を達成するために、今できることは、年間収支を把握し続け、いつでも将来予測ができるような準備をすることです。今年もまだ始まったばかりです。ぜひ、やってみてください。
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士