更新日: 2023.05.17 その他老後

将来の年金額は「月9万円」です。働けなければ「生活保護」を検討すべきでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

将来の年金額は「月9万円」です。働けなければ「生活保護」を検討すべきでしょうか?
もらえる年金額が想定していたよりも少なく悩んでいる人もいるのではないでしょうか。老後にお金が足りなくなると、最悪、生活に困窮して老後破産になってしまう可能性があります。生活に困っている際は、早めに行政へ助けを求めることが大切です。
 
今回は、「将来の年金額が9万円の場合、生活保護を検討したほうがよいか」などについて解説します。
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年金9万円で問題なく生活できるのか

単身世帯の老後の平均支出は、2021年に実施された家計調査によると13万2476円となっています。消費支出の内訳として、特に食費が約27%、家賃が10%程度と多くの割合を占めています。
 
上記の内容から、年金9万円で生活することは難しいです。したがって、年金だけでなく生活保護など、別の制度を検討したほうがよいといえます。
 

年金を受け取りながら生活保護は受給できるのか

年金と生活保護は、同時に受給することも可能です。ただし、受け取る年金額が厚生労働省算定の最低生活費を上回らない必要があります。
 
なお、生活保護制度は、生活に困窮する人に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。さらに、生活保護を受けるためには、いくつかの条件を満たしていなければなりません。
 
まず、病気やけがなどが原因で働けないことです。働けないと客観的に判断されない場合では、生活保護を受けられません。一方、定年を過ぎていても健康で働ける状態であれば、高齢でも仕事をする必要があります。また、生活に利用されていない土地などの資産を保有していないことなども条件としてあげられます。
 

老後資金を増やすための対策


 
一方、老後で生活保護をなるべく受けずに生活したいと考えている人もいるのではないでしょうか。ここでは、生活保護以外の老後資金を増やす方法を主に4つまとめました。
 

・個人型確定拠出年金(iDeCo)

私的年金制度のiDeCoは、掛け金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることが可能です。公的年金とは違い、加入は自由意思に任せられるため、申し込みは自分で行う必要があります。iDeCoのメリットの1つは、積み立てる掛け金すべてが所得控除になることです。払い込んだ掛け金の総額は、所得から差し引けるため、所得税と住民税の軽減につながります。
 

・少額投資非課税制度(NISA)

毎年一定金額内の範囲で金融商品に投資するNISAで老後資金を形成する方法も1つの手段といえます。利益が出ると約20%かかる税金がゼロになるという仕組みです。NISAには、一般NISA(2014年から開始)やつみたてNISAが存在しています。2つの大きな違いとして、非課税となる期間や年間上限額、対象商品があげられます。
 

・若いうちから貯蓄しておく

金融審議会の資料によると、65歳以降30年間生きるためには夫婦世帯で約2000万円、単身世帯で約1500万円の貯金が必要です。若いうちからできるだけ貯蓄しておくと、将来余裕をもった生活が送れます。
 
特に、光熱費や通信費などといった固定費を見直すことは有効な方法の1つです。光熱費では、電力会社との契約内容を改めて見直してみることで無駄が省けます。また、通信費を節約する方法の1つが、格安スマホや格安SIMなどを利用することです。
 

・できるかぎり働き続ける

60歳以降も厚生年金に加入することで厚生年金保険料を納め続ければ、もらえる年金額が増えます。老齢年金の受給権発生後も70歳まで厚生年金保険に加入できます。
 

年金だけで生活が難しい場合、生活保護の検討を

年金と生活保護は、一定の条件を満たすことで同時に受給することも可能です。ただし、生活保護を受けると、自動車など所有できるものに制限がかかることはデメリットです。ゆえに、まずは上記で紹介した老後資金を増やすための対策を試してみましょう。
 
そして、それでも生活がかなり厳しいと感じる場合には、生活保護を検討してみることをおすすめします。生活保護を希望する際は、近くの福祉事務所の生活保護担当に相談しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2021年(令和3年)平均結果の概要
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4)
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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