更新日: 2023.05.26 セカンドライフ

70代は「年金だけ」で暮らせる? 年金額と生活費から見る老後の「厳しい現実」

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

70代は「年金だけ」で暮らせる? 年金額と生活費から見る老後の「厳しい現実」
年金を頼りに暮らす人の多い70代ですが、年金だけで生活することは可能なのでしょうか。
 
本記事では、70代の平均年金額と平均生活費について解説します。年金だけで生活費を賄えない人が検討したい「繰下げ受給」についても紹介するので、老後の生活費が気になる人はぜひ参考にしてみてください。
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70代の年金受給額

厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70代が受け取れる年金の平均受給額は図表1のとおりです。
 
【図表1】


 
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況より筆者作成
 
会社員や公務員として働いた厚生年金受給者がもらう70代の平均年金額は、月に約14万6000円となっています。一方で、国民年金のみを受け取る自営業者や専業主婦(夫)の平均年金額は月に約5万6000円です。
 

70代の生活費

70代の平均年金受給額を確認しましたが、年金だけで老後の生活費を賄うことはできるのでしょうか。
 
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、65歳以上無職世帯の平均生活費は図表2のとおりです。ただし「消費支出」のうち、他の世帯への贈答品やサービスの支出は、「その他の消費支出」の「交際費」に含まれるものとします。
 
【図表2】


 
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
 
消費支出と非消費支出を合わせた合計支出は、夫婦のみの世帯が月に25万5100円、単身世帯が月に14万4747円となっています。
 
厚生年金受給者の平均年金月額は約14万6000円のため、厚生年金受給者の単身世帯は年金だけで生活費を賄える場合も多いでしょう。また、会社員の共働き世帯も年金だけで一般的な水準の生活を送れる可能性が高いです。
 
一方で、国民年金のみを受給する自営業者などは年金だけでの生活は難しいでしょう。自営業者がもらえる平均年金は月約5万6000円です。単身世帯でも平均的な生活を送ると、毎月約9万円が不足してしまいます。自営業者の場合は、年金以外の老後資金対策の必要性が特に高いです。
 

繰下げ受給で年金額を増やす

65歳から受け取る年金だけで生活費を補うことが難しい場合、どのような対策が考えられるのでしょうか。老後資金の貯蓄や資産運用なども対策として考えられますが、年金の「繰下げ受給」もぜひ検討してみてください。
 
繰下げ受給とは、年金の受給開始を66歳以降に遅らせることで毎月の年金額を増やす制度です。繰下げ受給により増える年金額の割合は図表3のとおりとなります。
 
ただし、1952年4月1日以前生まれの人(または2017年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している人)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなりますので、増額率は最大で42%となります。
 
【図表3】


 
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
75歳まで受給を遅らせれば、84%も年金受給額を増やせます。例えば、65歳から受給開始した場合の年金額が月10万円であれば、75歳まで受給開始を遅らせると受け取れる年金が月額18万4000円になります。75歳までは働き続けるなどで収入を確保しつつ、繰下げ受給による年金額の増額で豊かな老後を検討してみてください。
 

まとめ

本記事では、70代の年金額と生活費を確認しました。自営業者が年金だけで老後生活を送るのは一般的に難しいです。また、厚生年金受給者でも現役時代の年収が低い人は年金受給額が少なくなります。
 
もらえる年金が少ない人は、ぜひ繰下げ受給による年金額の増額も検討してみてください。
 

出典

厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)総世帯及び単身世帯の家計収支
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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