更新日: 2021.04.30 その他年金

「月額約16,500円の保険料は厳しい・・」そんな時に知っておきたいポイント

執筆者 : 蟹山淳子

「月額約16,500円の保険料は厳しい・・」そんな時に知っておきたいポイント
国民年金は、20歳から60歳未満で日本国内に住むすべての人が加入しなくてはなりません。ただ、月額16,490円、年額で約20万円の年金保険料は、学生にとっては負担するのが難しい金額です。そこで、学生納付特例制度について、どのような制度なのか、なぜ手続きが必要なのかをお伝えします。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

学生納付特例制度とは

20歳以上の学生で所得が一定額以下の場合、申請により在学中の国民年金保険料の納付が猶予されるのが学生納付特例制度です。この制度が適用された期間は、年金の受給資格期間には含まれますが、将来の老齢年金の計算には含まれません。また、猶予された期間の保険料は10年以内であれば、さかのぼって納めることができます。つまり、「就職して収入が安定するまで待ってあげる」という考え方です。

手続きは、住民票のある市区町村役場、年金事務所、学校で行います。最初の申請は、国民年金の加入手続きと同時にすることができます。承認期間は4月から翌3月までですので、新年度の4月になったら改めて申請する必要があります。

「猶予」と「滞納」の違い

では、年金の加入手続きをして保険料を「猶予」してもらうのと、加入手続きをしないまま保険料を「滞納」するのではどのような違いがあるのでしょうか。

まず、「猶予」はその期間を受給資格期間に含めることができますが、「滞納」の場合は含めることができません。ただ、これまで老齢年金の受給資格期間は最低25年が必要でしたが、平成29年8月から10年に短縮されました。そのため、受給資格期間という点では、ちょっと必要性が低くなった感もあります。

また、公的年金というと、歳を取ってから貰う「老齢年金」を思い浮かべますが、その他にも「障害年金」と「遺族年金」があります。例えば、交通事故に巻き込まれ車椅子の生活になるなど、一定の障害状態になってしまった場合には、「障害基礎年金」が支給されます。

もし、事故に遭ったときに学生納付特例制度の手続きをしていれば、障害基礎年金を貰うことができます。でも、加入手続きをせず保険料を全く納めていない場合には原則として貰うことができません。また、まれなケースかもしれませんが、学生結婚をして子どもがいたのに亡くなった場合、学生納付特例制度の手続きをしていれば、遺された配偶者と子どもは遺族基礎年金を受け取ることができます。

まとめ

このように、20歳になったときに学生だった場合は、国民年金の学生納付特例制度で年金保険料の納付を猶予してもらう手続きが必要です。面倒だと思っても、「猶予」と「滞納」では、いざという時に大きな違いがあるので、必ず手続きをしましょう。

因みに、親が保険料を負担するケースもあると思いますが、その場合の保険料は親の社会保険料控除の対象となります。所得税の税率は所得によって違いますが、住民税の税率は10%です。例えば親の税率が20%ならば、住民税と併せて30%、子どもの国民年金保険料約20万円の30%、約6万円の税額を軽減できることになりますので、忘れずに申告しましょう。

Txet:蟹山淳子(かにやま じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
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