2018.06.15 年金

「企業年金連合会」意外と知らない落とし穴

Text : 添田享

前回は、企業年金連合会の役割についてご説明させて頂きました。
 
今回は、企業年金連合会から年金を受け取れるかもしれないのに、そのことを忘れている可能性があることについてお話しさせて頂きます。
 

厚生年金基金

私も以前、2つの厚生年金基金に加入していました。恥ずかしながら、両方の企業を短期間で退職したこともあり、両厚生年金基金の基本部分の支給義務は厚生年金基金連合会、現在の企業年金連合会に移転されています。
 
ですので、支給開始年齢に到達したときは、企業年金連合会に給付の請求をする必要があるわけです。
 
同様に、かつて厚生年金基金に加入していた人は、現在の企業年金連合会に年金の給付義務が移転され、企業年金連合会から年金を受け取れるかもしれないのです。
 
ただ、私のように短期間で退職する人は若い人が多く、また、そのような人はあまり企業年金に精通しておらず、自分が厚生年金基金の加入員であったかどうか定かではないケースが多いのです。
 
厚生年金基金では、設立形態が「単独設立」「連合設立」「総合設立」の3種類あり、特に総合設立では、複数の企業が共同で厚生年金基金を設立するため、厚生年金基金の名称に自分の勤めていた会社名が入っていないことが一般的です。そのため、自分が加入していたことを知らないということがあるわけです。
 

代行返上

前回もお話しさせて頂きましたが、現在は厚生年金基金を実施している企業は少ないです。
 
これは、2002年4月に施行された確定給付企業年金法により、厚生年金基金は「代行返上」して、確定給付企業年金に移行することが可能になったためです。
 
なお、代行返上とは、代行部分の支給義務を国に返上することです。
 
この頃は多くの厚生年金基金が代行返上して確定給付企業年金へ移行したため、厚生年金基金の数は急激に減少しました。
 
ということは、かつて厚生年金基金に加入していた時期は、今から20年近く前の話である可能性が高く、忘れている人が多いかもしれません。
 
また、若い頃は引っ越すことも多く、企業年金連合会で昔の住所を管理している場合は、企業年金連合会から通知が届かない場合もあるわけです。
 
結局、支給開始年齢に到達しても企業年金連合会から年金を受け取れることを忘れていて、請求もできず、その結果、本来受け取れる年金を受け取れないケースも出てくるわけです。
 
このコラムの読者の方も、もしかしたら企業年金連合会へ年金の給付義務が移転されているかもしれません。一度、過去に勤めていた会社がどのような企業年金を実施していたかについて調べてみてはいかがでしょうか。
 
もちろん、調べてもわからない場合があると思います。その場合は、企業年金連合会に年金の給付義務が移転されているかどうか確認するのも良いかもしれませんね。
 
EXT:マネラボ お金と投資の知っトク研究所
添田享(そえだとおる)
日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。

添田享

Text:添田享(そえだとおる)

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。

大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。
 
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