2018.07.11 年金

突然やってくる病気やケガ。働けなくなった方への救済制度「障害年金」を知っておこう。

Text : 中嶋 正広

病気やケガで就労が困難になると、退職に追い込まれることもあります。その際に頼りになるのが、こうした人が受給できる「障害年金」です。
 
障害年金は、障害を負った時点で、年金に加入中の人が受け取れる年金です。そのため65歳以上の人の病気やケガには、障害年金の適用外です。
 
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金、さらに労働者災害補償保険の年金もあります。
 

障害基礎年金を受ける要件

病気やケガに見舞われたとき、誰でも直ぐに障害年金を受け取れるわけではありません。
 
受給のための要件が必要で、
1.病気やケガで最初に診察を受けた「初診日」
2.その日から1年6カ月が経過した「障害認定日」(それ以前に治癒した場合はその日)
3.それまで年金保険料を正しく納入していたか

の3点を確認したうえで、障害が認定されます。少なくとも認定までに1年6カ月程度かかります。
 
障害等級には1級と2級の2段階あります。1級とは、日常生活が1人ではまったくできず、常時介護が必要な状態をいいます。
 
これに対して2級とは、日常生活をするのがやや困難で、時により介護が必要な状態をいいます。障害の程度によりどちらかに判断されます。
 
ただし、障害等級と身体障害者手帳とは同じ基準ではありません。身体障害者手帳があるから、必ず障害年金が受け取れるわけではありません。
 

障害等級により受給額が変わる

認定された等級により、受給する年金額が異なります。2級の認定を受けた人は、老齢基礎年金の満額と同じ金額(年額約78万円)を、1級の認定を受けた人は、2級の1.25倍の金額(約97万円)を受給できます。
 
生計を維持している子も、原則として18歳になるまで受給できます。本人の障害年金は、65歳になると打ち切られます。
 
また障害が完治したり、障害の程度が軽くなった場合にも、障害年金が支給停止になったり、減額されたりします。
 
20歳以前に病気やケガで障害状態になったときでも、条件を満たせば障害基礎年金を受け取ることができます。国民年金への加入は原則20歳ですが、その前が初診日であっても受給可能です。
 
20歳時点で国民年金に加入することが条件です。このとき受給のためには数段階の所得制限があり、すでに一定額以上の所得がある場合には受給できません。
 

「障害厚生年金」を受ける要件

厚生年金に加入している人には「障害厚生年金」があります。障害基礎年金と同様に、年金加入中に診察を受けた「初診日」、1年6カ月を経過した「障害認定日」があり、さらに保険料納付が前提という受給条件があります。
 
障害等級には1級から3級まであります。1級と2級の認定基準は、障害基礎年金と同じです。厚生年金の受給者は自動的に基礎年金にも加入していますので、障害等級が1級、2級の人は、障害基礎年金も併せて受け取れます。
 
3級は障害基礎年金にはない制度です。2級よりも軽いが、通常の就業がやや難しい人が認定を受けられます。ただし、3級の人ですと障害基礎年金は受給できません。
 
3級よりもさらに軽い障害の人をサポートとする「障害手当金」という一時金もあります。障害等級3級と障害手当金は、障害厚生年金だけにあるより軽度な障害の人が受け取れる制度です。
 

障害厚生年金の受給額

障害厚生年金の受給額はどうでしょうか。等級が2級と3級については、本人が受給できる老齢厚生年金(報酬比例部分)と同額です。
 
年金に反映される期間は、厚生年金に加入した日から障害認定日までの期間で、それ以降加入していても障害年金は増えません。
 
ただし25年の最低保障期間があります。例えば、障害認定日まで加入日から30年あった人は30年加入した分の年金として、障害認定日まで15年だった人は、最低保障の25年加入分の年金として計算される仕組みです。
 
等級が1級の場合は、その1.25倍の金額が受給できます。1級と2級の障害厚生年金については、配偶者加算があります。受給権者によって生計が維持されていることが条件で、配偶者が65歳になるまで加算されます。
 
配偶者加算の金額は年額約22万円です。3級については、障害基礎年金がありませんので、年額約58万円という最低保障金額が定められています。本人が65歳になるまで受給できます。配偶者加算はありません。
 
障害手当金は、障害年金の受給対象にならない軽度の人が対象です。
 
初診日より5年以内に、その病気やケガが治っており、障害等級表にも該当する人などが対象になります。3級の人の障害厚生年金の2年分にあたる金額が、一時金で受給できます。受給できるのは1回だけです。  
 

労働者災害補償保険

障害年金とは別に、仕事中や通勤時の事故やケガに対して、治療費や生活費を補償する通称「労災保険」があります。
 
これは公的年金制度の障害年金とは異なりますが、障害を負った場合に支援が受けられる重要な制度です。障害の程度により、障害補償年金を受給できます。障害の程度が軽い場合は一時金の支給になります。
 
不幸にして事故やケガに遭った場合、病院での治療を受けたあとに、労働基準監督署へ申請します。申請先は年金事務所ではありません。障害の程度により労基署から認定を受けることになります。
 
障害の等級は細かく14段階になっており、一番重いのが1級、一番軽いのが14級で、7級までが年金を受けられる対象となり、8級以下は一時金の受給になります。重い障害が残った場合の給付額は、給付基礎日額に等級に応じた日数を掛けた金額が年金で受け取れます。
 
給付基礎日額は労働基準法の平均賃金の日額で、障害等級1級の人には313日分、7級の人には131日分が年金として支払われます。
 
8級以下の一時金で支払われる場合は、8級の人が503日分、14級の人が56日分です。障害が完治した時点で、障害補償年金は打ち切られます。
 
国民年金と厚生年金から障害年金を受け取っている人も、この障害補償年金を受け取ることができますが、年金受取額などに応じて減額されます。
                              
Text:中嶋 正広(なかじま まさひろ)
社会保険労務士、行政書士
長野県松本市在住

中嶋 正広

Text:中嶋 正広(なかじま まさひろ)

社会保険労務士、行政書士
長野県松本市在住

 

 

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