2019.02.16 年金

長生きはリスクといわれる時代 トンチン年金はお得なのか

2016年、リンダ・グラットンの著書「LIFE SHIFT ――100年時代の人生戦略」が話題になりました。2007年生まれの日本人の半数は107歳まで生きるという研究もあり、人生100年も現実味を帯びてきました。
 
長生きはおめでたいことですが、その反面、長い老後のお金の心配が大きくなります。今、長生きで得をするといわれる「トンチン年金」の販売数が近年伸びているようです。長生きにかけてみますか?
 

個人年金の種類

公的年金だけでは不足する老後の生活資金を確保するための手段として、民間生命保険会社の個人年金を活用することも選択肢の一つです。個人年金は以下の3種類があります。
 
(1)終身年金-被保険者が死亡するまで、年金を受け取れる。
(2)確定年金-被保険者の生死に関係なく、一定期間年金を受け取れる。
(3)有期年金-被保険者が生存していることを条件に一定期間年金を受け取れる。

 
トンチン年金は、終身年金に分類されます。
 

トンチン年金とは

出資者が死亡すると、その年金を受け取る権利が生存している出資者に移動する終身年金です。
 
17世紀~18世紀のヨーロッパで行われた、長生きするほど多くの年金を受け取ることができるという年金で、この制度を考え出した銀行家L.トンチの名前から、トンチン年金となりました。
 

 
※年金総額は毎年同じだが、メンバーは死亡して減少するので、その分生存者の受ける年金が増える。
 

現在のトンチン型年金

トンチン年金の場合、年金を受け取る前に死亡した場合、それまで支払ったお金は全て掛け捨てになってしまいます。さすがに、これはリスクが大きすぎるので、本来のトンチン年金は販売されていません。
 
近年、加入が増えているのはこのトンチン性のある年金(トンチン型)です。一般的な個人年金保険の場合、年金開始前に被保険者が死亡すると、払込保険料相当額が死亡保険金として支払われます。
 
しかし、トンチン型年金保険の場合には、解約返戻金が死亡時の払戻金となり、これがトンチン性のない一般的な個人年金保険の解約返戻金に比べて7割程度に設定されることが多いようです。(トンチン性=死亡した人の持ち分が生きている人に移る)
 

長生きすれば得する?

保険会社によってさまざまな商品がありますが、大手保険会社のトンチン型年金保険に、50歳男性が加入する場合で考えてみました。
 
《N社 長寿生存保険》
・5年保証期間付き終身保険…年金額60万円
・契約 50歳  払込満了、年金開始 70歳
・月額保険料 5万0790円
・払込保険料総額 1218万9600円
・損益分岐点年齢 (1218万9600円÷60万0000円)+70歳=90.3歳
・99歳時の返礼率 60万0000×30年÷1218万9600円=147.6%
 

 
保障期間中に死亡した場合、受取額は60万円×5回=300万円。(返礼率24.6%)
90歳まで生存すれば、払い込んだ保険料は回収でき、99歳まで生存した場合の返礼率は147.6%になる。
 
●平均寿命・平均余命(2017年簡易生命表より)※1
男性の平均寿命¬=81.09歳(0歳男性の平均余命)
男性70歳の平均余命=15.73年(70歳の男性は、平均85.73歳で死亡する)
男性90歳の生存率=25.8%
 
簡易生命表によれば、90歳まで生存する男性は約5人に1人ということになります。ここまで生存すれば払い込んだ保険料が回収できることになりますが、なかなかの狭き門です。
 
しかし、近年の医療の発達により寿命は延び続けています。2010年の簡易生命表では70歳男性の平均余命は15.08年でしたから、6年で0.62年延びています。50歳の加入者が70歳になる20年後には、まだまだ延びるでしょう。
 
長生きにかけるか否かは、70歳のときに決断することになります。
 
※サンプルとした商品は、トンチン型年金保険の中でもトンチン性の高いものです。ひとくくりにトンチン型といっても、さまざまな条件の商品がありますので内容をしっかり確認しましょう。
 
出典
※1厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」
 
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
AFP認定者、行政書士
 
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宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

AFP認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
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