更新日: 2020.08.14 iDeCo(確定拠出年金)

人生100年時代の中で確定拠出年金制度はどのように捉えていく必要があるのか。

執筆者 : 重定賢治

人生100年時代の中で確定拠出年金制度はどのように捉えていく必要があるのか。
医療技術の進歩や健康増進への意識の高まりもあり、ここ数年人生100年時代といわれるようになっています。
仮に、これから自分が長生きすると思うなら、多くの方が老後をどのように暮らしていくか考えることになるでしょう。
 
こうした過程で、いわゆる老後のお金についてどう準備すべきかを検討していくと思いますが、その方法の1つが確定拠出年金制度です。

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・売却金のお使いみちに制限がないので自由に使えます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・ご年齢や収入に制限がないので、どなたでもお申し込みいただけます

重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

確定拠出年金制度では、何歳から年金がもらえて、どのようにもらうことになるのか

確定拠出年金制度は公的年金制度を補完することを目的に用意されている、自助努力で老後の生活資金を準備する方法といえますが、現行では年金がもらえる年齢は60歳からとなっています。
 
受け取り方法としては一時金での受け取りと、年金として受け取る方法がありますが、年金として受け取る場合は有期年金にするか、終身年金にするかで老後の資金繰りに影響が出てきます。
 
有期年金は、例えば10年間や15年間など期間を決めて受け取る方法です。一方、終身年金は期間の区切りがなく、一生涯年金を受け取る方法です。
 

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・まとまった資金を短期間で手に入れられます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・借り入れせずに資金を調達できます

私たちの老後は何歳からになるのか

簡単に論点を整理すると、
1.自分は何歳まで生きるのだろうか
2.公的年金がもらえるのは65歳から
3.確定拠出年金をもらう年齢をいつからにするか
となります。
 
以前、老後の資金が2000万円不足するという、いわゆる「老後2000万円問題」がマスコミを通じて火が着きました。個人的には職業柄、特段驚くような話ではありませんでしたが、当時はかなり問題視されていました。
 
おそらくこの原因は年金制度に対する不満にあるように思いますが、冷静に考えると、改めていわれなくてもそんなの分かっているといった内容でした。
むしろ重要なのは、なぜ老後の生活資金が不足するかですが、この原因は一般的に公的年金だけでは生活が成り立たないからです。
 
このようなことから、老後の生活資金の基になるお金は、(1)公的年金、(2)それまでの貯蓄、(3)働く、(4)その他、を組み合わせて考えていく必要があります。そして、その他の中に確定拠出年金制度による自助努力での老後資金の準備が含まれています。
 
おそらく今後は、それまで勤めていた会社を退職した後も一定の年齢に達するまでは働くようになるでしょう。例えば、60歳で退職し、再雇用されて65歳で完全リタイア、健康で元気ならそれ以降も70歳ぐらいまでは働こうと思う人が増えるかもしれません。
 
自立して生活できる期間とされる健康寿命は、2016年のデータによると男性が72.14年、女性が74.79年、一方、平均寿命は2018年で男性が81.25歳、女性が87.32歳となっています。このようなデータも考慮しつつ老後の生活について考えていく必要が出てきています。
 
健康に生活できる年齢を72歳まで、寿命を81歳と仮定してみると、公的年金や確定拠出年金はいつからもらえるようにすればいいのでしょうか。
公的年金は原則65歳から、確定拠出年金は原則60歳からもらえるというのが現行制度であるため、その年齢から受給するというのは当然のことかもしれません。
 
しかし、60歳でいったん退職し、その後も何らかの形で働く場合、人によっては予定どおりに年金をもらうことが妥当とはいえないかもしれません。
これに加え、貯蓄やその他の老後資金がある場合、それらも組み合わせて年金の受給年齢を決めるというのも1つの方法です。
 
将来的には、公的年金は68歳や70歳からもらえるようにするという議論がされています。また、確定拠出年金は、企業型が70歳、個人型が65歳まで加入することができるように議論されていることを考えると、私たちの老後はどこかの時点で70歳からが当たり前の時代が来るように思います。
 

確定拠出年金は老後の生活を見える化した上で運用商品を決める

以上を踏まえ、今後、私たちの老後が70歳から始まると仮定した場合、確定拠出年金制度活用した運用商品は、どのように組み合わせていけばいいのでしょうか。
 
原則論からいうと「長期・分散投資」が前提になります。
運用商品のラインアップはたくさんありますが、預貯金・保険・投資信託に大別されます。安全性を求めたいなら預貯金や保険で貯蓄することになるでしょうし、リスクがあってもいいので増やしたいというなら投資信託を選ぶ人もいるでしょう。また、これらを組み合わせ最適なポートフォリオの下、貯蓄・運用していきたいと思う人もいるかもしれません。
 
いずれにしても70歳から確定拠出年金を受け取るようにする場合、どのような貯蓄・運用方法が自分に合っているのか。これを考えるのが確定拠出年金の大きなポイントといえます。
 
公的年金の将来受給額、働いた場合の給料、貯蓄残高の推移、その他の貯蓄や金融資産などに加え、確定拠出年金制度による公的年金の補てん。確定拠出年金制度は、人によって毎月、毎年の掛金が異なります。つまり、掛金の違いだけをとっても老後の年金が異なってきます。そして、貯蓄・運用効率を高めたいならしっかりと運用商品を選んでいく必要があります。
 
何を伝えたいかというと、確定拠出年金制度を活用する場合、自分の老後の生活をある程度数値化し、見えるようにした上での貯蓄・運用商品選びが大切であるということです。
 

まとめ

実際に確定拠出年金制度を利用している方の傾向を見ると、一言でいえば「なんとなく」で運用商品を選んでいるように思います。
本当は「ゴールを見据え、今どうするか」という発想が必要なため、老後の資金シミュレーションがなければ確定拠出年金制度をどのように活用するかという答えは導き出せません。
 
これには高度な技術や知識が必要になってくるため、しっかりと考えていきたいという場合は専門家に相談しながら納得のいく形で決めていくようにしましょう。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)