更新日: 2020.10.28 iDeCo(確定拠出年金)

確定拠出年金ってどんな制度?実は勤務先に制度があることも。メリット・デメリットを知ろう

執筆者 : 大竹麻佐子

確定拠出年金ってどんな制度?実は勤務先に制度があることも。メリット・デメリットを知ろう
老後資金準備の有効な手段として確定拠出年金制度が注目されています。積立て(拠出)時、運用時、受取時のそれぞれのステージで税制優遇があるなどメリットが多いことからぜひ活用したい制度です。
 
始めてしまえば定期的な確認でよいのですが、申込みの時点でつまずくケースが多くみられます。iDeCoの口座開設に必要な書類の一つである勤務先への押印を申し出たところ、勤務先に企業型DC制度があったという事例もあります。せっかくの決意がふりだしに戻り機会損失とならぬよう、また制度の概要についても今一度確認しておきましょう。
 

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大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

 

いつから始まった制度なの?

確定拠出年金は、もともと米国の401k(内国歳入法の条文番号が401kであることに由来)をモデルに、日本版401kとして2001年10月に導入されたのが始まりです。老齢基礎年金や厚生年金の上乗せとして、「じぶん年金」づくりの手段であり3階建て部分にあたります。
 
従来は、多くの企業が、企業独自の企業年金や厚生年金基金を採用していましたが、高齢化による年金財源の不足やバブル崩壊による運用実績の低迷により確定給付(受け取る金額が確定)から、確定拠出(積み立てる額は確定であるものの個人の運用次第で受取額は異なる)へと移行しつつあります。厚生年金基金は、多くが解散し事実上廃止となっている現状です。
 

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確定拠出年金って?

確定拠出年金といっても、さまざまなタイプがあります。共通するのは、リタイア後により豊かに生活するために、毎月掛金を積み立て(拠出)し、運用することで、資産を形成していくことを目的としています。
 
超低金利時代といわれ、銀行に預けているだけでは資産は殖えません。それぞれのライフプランやリスク許容度をもとに投資をしていく必要があります。確定拠出年金制度は、金融庁の「貯蓄から資産形成へ」という方針のもと、所得控除や非課税などの税制優遇により、国が「投資」を後押ししていることをまず留意しておきましょう。
 

確定拠出年金には個人型(iDeCo)と企業型(DC)がある

上記の通り、制度開始当初は、従来の企業年金制度から移行した、社員の退職金制度として「企業型」のみでした。企業が規定により、一定額を拠出し、社員が複数の投資先の中から自分にあったファンドを選択し運用をします。
 
同じファンドでも組み合わせ比率などで運用実績は異なりますので、将来受け取ることのできる金額はそれぞれ異なります。さらに、掛金を増やすことでより大きな資産形成をめざしたい場合には、給与の中から拠出することのできる「マッチング拠出」や、手当の限度額内で給与として受け取るのか拠出するのか選ぶことのできる「選択制」などを採用する企業が増えています。
 

企業型確定拠出年金

Defined Contributionの頭文字から企業型DCといわれます。制度導入にあたって、全社員への告知・案内が前提ですが、意外と認知されていないのが現実のようです。お勤め先企業に制度があるのか、どのタイプなのかを確認してみましょう。
 
■従来型……掛金は全額企業が拠出
掛金の範囲内で、社員が投資先や配分を選び、運用します。自分の老後資金という認識が薄く、導入以来一度も自分で確認したことがないケースが多くみられます。
 
■マッチング拠出……企業の拠出に加えて、社員が給与の中から拠出
拠出した金額は、年末調整において所得控除の一つである「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり節税効果があります。事業主掛金(企業拠出分)と同額以下が条件であるため、拠出額に限度があります。
 
■選択制……企業が報酬の一部を退職金原資とする規定により、掛金として拠出するのか、前払いで給与として受け取るのかについて、社員は選択権をもつことになります。拠出分については給与とみなされないため、社会保険料の算定基準である報酬月額に含まれません。そのため、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険などの社会保険料負担が抑えられます。
 
個人としてうれしい負担減であり、また企業としても法定福利費の削減は有益であるため、大企業だけでなく中小企業へ拡大しつつあります。手取り収入が減ることを懸念する声が多く聞かれますが、課税所得金額が減ることで税負担を抑えられること、手取り収入の中から貯蓄することを前提とするならば、課税前に貯蓄できる仕組みを活用した方が有利でしょう。どうしても受け入れられない場合は、金額を0(ゼロ)で選択するだけです。その場合は、これまでと何ら変わりません。
 

個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)

イデコという愛称が功を奏し、広く一般的に認知されてきました。企業型を利用できる会社員だけでなく、制度のない会社に勤める方、個人事業主やパート、アルバイト、専業主婦など広く将来への資産形成を後押しするために2017年にできた制度です。個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数は2020年8月現在、169万人を超えました。
 
最初のステップは、まず勤務先の制度の有無を確認することです。制度がある場合にはどのタイプなのか、限度額はいくらなのかを知ることです。制度がない場合や利用枠を活用しきれない場合は、iDeCoの活用を検討しましょう。
 

確定拠出年金のメリットとデメリット

拠出時だけでなく、運用益の非課税や受取時の税制優遇(一時金の場合は退職所得控除、年金払いの場合は雑所得の公的年金控除)など、さまざまな税制優遇があることは、すでに多くのメディアなどで紹介されています。
 
デメリットは、死亡などの特別な理由がない限り、原則として60歳まで引き出しができないことですが、老後資金の準備という目的を考えれば問題ないでしょう。選択制確定拠出年金の場合、社会保険料の等級が下がり保険料負担が減ることは、将来受け取ることのできる年金額が減ることを意味します。
 
これをデメリットと捉えることもありますが、少しでも運用効率をあげることで、大きく資産形成していける可能性をもてるメリットともいえます。そういった意味で「取り組み方」がポイントです。
 

まとめ

確定拠出年金は、公的年金を補完する老後資金準備を目的として、国に認められた制度です。優遇税制を積極的に活用することで、より豊かなリタイアメントプランを実現していきたいですね。
 
制度を最大限活用したいところですが、この先の教育資金や住宅購入といったライフプランや「もしも」の緊急予備資金もふまえて、拠出額などを検討したいものです。
 
どのタイプにしても、定期的に評価額の推移や運用実績、組み替えなどメンテナンスも必要です。「長期・分散・つみたて」という投資のキホンを学ぶよい機会です。経済状況や社会の動きをみる習慣をつけることで、自分にあった投資方法が見つかるかもしれません。
 
まず第一歩を踏み出してみてください。
 
[出典]
iDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数等について」
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士