更新日: 2021.01.20 その他年金

子どもがいない夫婦が知っておきたい! 年金の話

執筆者 : 馬場愛梨

子どもがいない夫婦が知っておきたい! 年金の話
子どもがいるかどうかで、受け取れる年金に差が出ることがあるのをご存じでしょうか。
 
まだ年金について意識することがない世代の方でも、将来のためにぜひ知っておきたい、子どもがいない夫婦の年金事情について解説します。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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もらえる年金に子どもの有無が関係する?

年金額と子どもの有無がどう関係するのか確認しておきましょう。
 
公的な年金制度には、よくイメージされる「老齢年金」(老後に受け取る年金)だけでなく、家族が亡くなったときの「遺族年金」と病気やケガなどで障害を負ったときの「障害年金」があります。このうち、特に子どもの有無に影響を受けるのが「遺族年金」です。
 
遺族年金には、「遺族基礎年金(国民年金)」と「遺族厚生年金(厚生年金)」の2種類があります。国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の方ならみんな加入しているものです。会社員や公務員は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。
 


 
遺族基礎年金は、子どもがいない場合は受け取れません。また、遺族厚生年金にも「子どもがいない30歳未満の妻は5年間しか受け取れない」というルールがあります。
 
ここで言う「子ども」とは、「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級」が条件です。子どもがいても全員がこの年齢を超えている場合は、子どもがいない場合と同じ扱いになります。
 
遺族厚生年金は、子どもや妻には受け取る権利がありますが、遺族基礎年金を受け取っていない(子どもがいない)55歳未満の夫には受け取る権利がありませんので要注意です。
  
公益財団法人生命保険文化センターの試算によると、遺族年金として受け取れる金額の目安は次のとおりです。
 
<例:夫死亡時39歳の妻が受け取れる金額(2020年度)>
 

 
子どもの数に応じて年金額が増える仕組みになっています。また、厚生年金は加入中の給与が高い人ほど受け取れる金額が大きくなります。この例では平均年収500万円として計算されています。
 
遺族年金としていくら受け取れるか知っておくと、生命保険への加入を検討するときに役立ちます。子どもがいない夫婦の場合、お互いが1人でも生活に困らないほどの収入や貯金があるなら、遺族年金がなくても乗り切れるかもしれません。
 
ただ、そうではない場合は、いざというときに備えて足りない分を保険で補えるよう検討してみるのも良いかもしれません。
 

子どもがいない夫婦の老後の年金はどうなる?

「老齢年金」と「障害年金」は子どもがいなくても受け取れます。
 
ただ、この2つも子どもの数に応じて年金額が増える仕組みになっているため、子どもがいない人は、いる人よりも受け取れる金額が少なくなります。
 

■老齢厚生年金、障害基礎年金、遺族基礎年金に適用される加算額(2020年度)
 
第1子・第2子 各 年間22万4900円
第3子以降 各 年間7万5000円

 
子どもがいない夫婦は共働きで世帯年収が高い傾向があり、夫婦ともに会社員なら老後の年金として月30万円近く受け取れるケースも少なくありません(※)。加えて、双方の会社の退職金がある場合もあります。
 
さらに、教育費・学費の出費がなく、家も部屋数が少なくて済む場合も多いため必要な出費を抑えやすいのも特徴です。生活水準の上げすぎに気を付ければ、老後に突入してからもお金に困らない家計を作りやすい世帯といえるでしょう。
 

まとめ:年金を知って将来設計に役立てよう

年金の知識は、保険に加入するときや将来設計を考えるとき、貯金や投資の計画を練るときなどに役立ちます。
 
なんとなく受け取れると思っていたら違った! ということがないよう、制度の概要や受け取れる金額について情報を集めてみましょう。
 
(※)オリックス生命保険「老齢年金」
 
(出典)
日本年金機構
「遺族年金」
「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」
「加給年金と振替加算」
生命保険文化センター「公的な遺族年金の仕組みについて知りたい」

 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
 

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