更新日: 2021.02.01 その他年金

具体的にはどのような制度? 企業年金についてFPが解説!

執筆者 : 柘植輝

具体的にはどのような制度? 企業年金についてFPが解説!
個人年金としてiDeCoに注目が集まる中、依然として高い人気を誇るのが企業年金です。
 
「企業年金に興味があるが詳しい内容が分からない」「自分も入りたいが加入できるのか分からない」といった声にお応えし、今回は企業年金について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

企業年金とは?

企業年金とは、退職給付の一環として会社が従業員のために実施する私的年金制度です。企業年金には全ての人が加入できるわけではなく、企業年金を実施している会社に勤めている方のみが加入できます。
 
日本の年金制度はよく3階建てであるといわれています。1階部分は20歳以上であれば誰でも加入する国民年金で、2階部分は会社員を中心とする厚生年金です。そして、3階部分に今回説明する企業年金が該当します。
 
企業年金の内容は実施する企業によって千差万別であり、一般的に大手企業ほど導入していることが多く、中小企業や零細事業主において実施しているところはそれほど多くはありません。
 

企業年金の種類

企業年金の内容は企業ごとに異なりますが、大きく分けて次の3種類があります。
 

(1)確定給付企業年金(DB)
(2)厚生年金基金
(3)企業型確定拠出年金(企業型DC)

 

確定給付企業年金(DB)

会社と従業員との間であらかじめ給付する内容を取り決め、決まった時期に従業員が給付を受け取れるという制度が確定給付企業年金(DB)です。給付内容があらかじめ決まっていることから、DB(Defined Benefit Plan)と呼ばれることもあります。
 
確定給付企業年金には、生命保険会社や信託会社など外部に委託して年金資産を管理・運用する規約型と、事業主が別の法人(基金)を設立して年金資産を管理・運用する基金型とに分けられます。
 
年金を受け取る前に中途退職しても、これまで積み立てたお金については脱退一時金として受け取ることができたり、転職先へ引き継ぐことや企業年金連合会へ移管して通算企業年金として利用することが可能です。
 

厚生年金基金

厚生年金基金とは、会社が国に代わって厚生年金の一部を支給するとともに、企業独自の上乗せ給付も行うものです。ただ、厚生年金基金は現在新規の設立が認められておらず、かつ、存続する基金にも厳しい規制が敷かれたため、多くの基金が解散したり、代行返上して確定給付企業年金に移行しています。
 
厚生年金基金は、いわば消えゆく制度としての道をたどっています。
 

企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業型確定拠出年金とは、会社と従業員の一方あるいは双方が掛け金を拠出し、それを従業員が運用していく企業年金です。給付額は確定しておらず、拠出することが確定していることからDC(Defined Contribution Plan)と呼ばれることもあります。
 
確定拠出年金は他の企業年金とは異なり、運用によって利益が出るか、元本割れとなってしまうのかというリスクを従業員が負うものになります。
 
60歳到達前では退職などがあっても一時金を受け取れないのが原則ですが、iDeCoへ資産を移管したり、転職先の企業年金へ移管することが可能です。
 
確定拠出年金については他の企業年金とは異なり、会社の負担が小さいことから近年では中小企業でも導入が進んでいます。
 

企業年金が導入されているかは勤務先に確認を

勤務先の会社に企業年金が導入されている場合は企業年金に加入することができ、将来の年金給付をより手厚いものとすることができます。
 
企業年金が導入されているか、また、どんな種類の企業年金なのかは勤務先によって異なるため、勤務先へ確認するようにしてください。もし、勤務先に企業年金が導入されていない場合、iDeCoなどの個人年金を代わりに利用することで企業年金に加入している状態に近い保障を用意することができます。
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

ライターさん募集