最終更新日: 2021.04.02 公開日: 2021.04.03
年金

年金繰り下げを決断する前に注意すべきこと その1 加給年金

執筆者 : 浦上登

この記事では、年金の繰り下げを決断する前に注意すべきことについてお話をしようと思います。
 
2021年3月現在、70歳まで年金の繰り下げ受給ができます。2022年4月以降になると75歳まで繰り下げが可能になります。年金の繰り下げについては以前の記事 「年金支給開始年齢の繰り下げが75歳までできるようになった。得か損か? その注意点は?」で、人間の寿命は分からないので、もらえるものはなるべく早くもらっておいた方が良いとコメントしたことがあります。
 
この記事では、それ以外に年金の繰り下げを決断する場合に検討すべき注意事項について説明していきます。
 
浦上登

執筆者:

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
 
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
 
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
 
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。

https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

浦上登

執筆者:

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
 
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
 
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
 
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。

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老齢厚生年金の繰り下げ期間中は加給年金がもらえなくなる

老齢厚生年金の繰り下げ待機期間は、加給年金がもらえません。また、繰下期間後に年金をもらえるようになった場合でも加給年金は増額の対象外です。
 
加給年金は、いわば年金の家族手当というべきもので、一定の条件を満たす配偶者や子がいる場合に支給されます。配偶者の場合、年間40万円近くが支給されるので、加給年金がもらえなくなる影響はかなり大きいといえます。
 

加給年金とは? 加給年金の受給要件

加給年金とは、老齢厚生年金の加入者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者、または18歳未満の子(1級・2級の障害のある子の場合は20歳未満)がいる場合に加算される年金のことをいいます。
 
老齢厚生年金加入者には20年以上の厚生年金の被保険者期間があることが必要で、加入者が65歳到達時点(または定額部分の支給開始年齢に到達した時点)から加給年金が支給され、配偶者が65歳、子が18歳(1級・2級の障害のある子の場合は20歳)に到達した時点で支給は打ち切られます。
 
65歳で18歳未満の子がいる方はあまり多くないと思うので、ここでは配偶者の加給年金に絞って話をしたいと思います。
 
2020年4月以降に支給される配偶者の加給年金の金額は次のとおりです。
 

配偶者の生年月日が1943年(昭和18年)4月2日以降の場合:
年間39万900円(配偶者加給年金額22万4900円+特別加算額16万6000円)

 
加給年金の金額は配偶者の年齢によって決まりますが、1943年4月2日以降生まれというと2021年3月現在で77歳以下の方ということになるので、ほとんどの方がこの範囲に入ることになります。
 
加給年金は、配偶者が働いていても次の条件を満たせば支給されるので、配偶者の収入の面から見ても適用範囲は広いといえます。
 

1. 配偶者が厚生年金保険に20年以上加入していないこと
2. 配偶者の年収が850万円未満であること

 

繰り下げをすると実際にどのくらい加給年金が減少するのか?

加給年金は世帯主本人より年下で、上記の要件を満たした配偶者がいる場合にもらうことができます。
2021年4月時点で満65歳の夫、満60歳の妻がいる家庭で、65歳の夫が70歳まで老齢厚生年金の受給を繰り下げした場合、どのくらい加給年金が減少するでしょうか?
 

老齢厚生年金の繰下期間:
夫65歳~70歳の間の5年間
 
本来もらえるはずの妻の加給年金:
39万900円×5年間=195万4500円

 
妻の加給年金は夫が65歳になった時点から、妻が65歳になって老齢基礎年金がもらえるようになるまで支給されます。この場合はちょうど5歳年下の妻がいるので、5年分の加給年金がもらえなくなります。200万円弱の加給年金がもらえなくなる影響は大きいでしょう。
 
もらえなくなる加給年金の金額は、実際の年齢差をベースに簡単に計算できます。2022年4月からは75歳まで年金の繰り下げ受給が可能になるので、もし仮に夫と妻の間に10歳の年齢差があり、夫が65歳(妻55歳)のときに夫の老齢厚生年金の受給開始を10年繰り下げたとしたら、上記の倍、約400万円の加給年金がもらえなくなります。
 
これを回避するためには年金の繰り下げをやめるしか方法がないのでしょうか?
 
もう1つ方法があります。老齢厚生年金は繰り下げをせずに65歳から受給し、加給年金に影響しない老齢基礎年金だけを繰り下げする方法です。そうすれば、5年分の加給年金195万4500円は全てもらうことができます。
 

まとめ

上記で挙げた例は、全ての方に当てはまるものではありません。しかし、年下の配偶者を持つ方は、年金の繰り下げによって本来もらえる加給年金が受給できなくなる可能性があるので、繰り下げを決断する前に検討すべき項目ということができます。
 
次回は、年金の繰り下げが在職老齢年金に与える影響を説明したいと思います。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー