最終更新日: 2021.05.27 公開日: 2021.05.28
年金

繰上げ受給をしている夫が亡くなったら、遺族年金はどうなるの?

執筆者 : 柘植輝

年金の繰り上げ受給をすると繰り上げた期間分、年金が減額されるのは有名な話ですが、それが遺族年金に影響するかという問題については語られることは多くありません。
 
そこで今回は、繰り上げ受給をして減額された年金を受け取っていた方が亡くなられたとき、その方に扶養されていた遺族が受け取る遺族年金がどうなるのか解説します。
 
柘植輝

執筆者:

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

柘植輝

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執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

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年金の繰り上げをすると受け取る年金額が下がる

まずは基礎知識から確認していきましょう。年金は原則65歳からの受給となっていますが、60歳まで繰り上げ(前倒し)して年金を受給することができます。ただし、繰り上げた期間は1ヶ月につき、年金が0.5%減額されて支給され、その後は一生減額された金額を受け取り続けることになります。
 
例えば、1年間繰り上げして64歳で受給を開始したとすると、0.5%×12ヶ月=6%減額された年金を生涯受け取ることになります。
 

年金の繰り上げは遺族年金に影響しない

年金の繰り上げは、実は遺族年金には影響しません。繰り上げして減額された年金を受給している夫が亡くなったとしても、妻が受け取る遺族年金は繰り上げによって減額されることはないのです。
 
なぜなら、遺族基礎年金(国民年金における遺族年金)は亡くなった方の年金額に関係なく、遺族の方の状況によって一定だからです。遺族厚生年金(厚生年金の遺族年金)においても平均標準報酬額(簡単にいうと加入期間の給与と賞与を基にした平均額)を基に計算します。
 
そのため、遺族年金は年金の繰り上げ受給による減額の影響を受けないといえるのです。
 
参考までに妻が受け取る遺族基礎年金の金額は、78万900円をベースに子の加算額を足した金額となります(加算額は第2子までは1人につき22万4700円ずつ、第3子以降については1人につき7万4900円ずつ上乗せ)。
 

遺族年金は年金の繰り下げによる恩恵も受けることができない

先に説明したとおり、遺族基礎年金と遺族厚生年金のいずれも繰り上げによる減額の影響を受けません。
 
同様の理由から、亡くなった方が行っていた年金の繰り下げによる増額分も遺族年金には影響を与えません。夫が繰り下げ受給により増額された金額を受け取っていても、遺族年金は増額されず、元の金額を基準に計算された金額で受け取ることになるのです。
 
参考までに、年金の繰り下げは1ヶ月単位で可能であり、それによる増額分は1ヶ月ごとに0.7%となります。
 

夫が亡くなっても遺族年金が支給されないことも

繰り上げ受給との関係はないのですが、遺族年金は夫が亡くなっても一定の制限により妻に支給されないことがあります。
 
例えば、遺族基礎年金については子がいることという受給要件がありますし、遺族厚生年金は子がいない30歳未満の妻の場合は5年間の有期給付となるなどの制限があるからです。
 

繰り上げ受給は遺族年金に影響しない

年金の繰り上げを行うと、その期間に応じて1ヶ月当たり0.5%減額された年金を受け取ることになります。しかし、この減額分は遺族年金に影響しません。そのため、年金を繰り上げ受給している夫が亡くなって妻が遺族年金を受け取ることになったとしても、遺族年金は減額されませんし、繰り下げ受給による年金の増額も影響しません。
 
もし、遺族年金に影響することが心配で年金の繰り上げや繰り下げを躊躇(ちゅうちょ)しているのであれば、その点は考慮する必要はなく、繰り上げや繰り下げによって変化する年金額や将来受給できる年金総額などを中心に考えるようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士