最終更新日: 2021.06.02 公開日: 2021.06.03
年金

令和3年4月から年金額が引き下げ? 受給額はいくらになったの?

執筆者 : 西川誠司

令和3年1月22日、厚生労働省は令和3年度の年金額を0.1%引き下げると発表しました。年金額の引き下げは2017年以来、4年ぶりのことです。実際には大きな金額ではありませんが、受給する側からすると、先行きも心配になるでしょう。
 
平成28年に成立した年金改革法によって、ある条件により初めて施行された年金額引き下げです。年金額改定ルールとはどんなものなのでしょうか?
 
西川誠司

執筆者:

執筆者:西川誠司(にしかわ せいじ)

2級ファイナンシャルプランンニング技能士・AFP認定者、終活ライフケアプランナー、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、キャリアコンサルタント

ウェディングドレスショップ「Atsu Nishikawa」を17年間経営。
接客の中でこれから結婚するおふたりのお金の不安や子供を授かったときの給付金や育児休業のこと、また親からの贈与や年金のことの悩みを伺い、本格的にファイナンシャルプランナーとして活動を始めました。
みなさまの「小さな疑問や不安」を分かりやすく解決していくことを目指しています。

西川誠司

執筆者:

執筆者:西川誠司(にしかわ せいじ)

2級ファイナンシャルプランンニング技能士・AFP認定者、終活ライフケアプランナー、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、キャリアコンサルタント

ウェディングドレスショップ「Atsu Nishikawa」を17年間経営。
接客の中でこれから結婚するおふたりのお金の不安や子供を授かったときの給付金や育児休業のこと、また親からの贈与や年金のことの悩みを伺い、本格的にファイナンシャルプランナーとして活動を始めました。
みなさまの「小さな疑問や不安」を分かりやすく解決していくことを目指しています。

令和3年4月からの年金受給額はいくらなの?

実際に4月からの年金受給額がいくらになったのかを見てみます(図1)。
 

 
国民年金・厚生年金ともに約0.1%引き下げられています。0.1%とはいえ、年金だけを頼りにしている高齢者の立場からすると、良い改正とはいえません。では、年金額改定のルールとは何なのでしょう。
 

年金額改定のルールとは

年金額は、原則毎年度、賃金や物価の変動に応じて自動改定する仕組みとなっています。具体的には、

■新規裁定者(年金を受給し始める方)の年金額は、賃金変動率により改定
■既裁定者(年金を受給している方)の年金額は、物価変動率により改定

とされていますが、賃金の伸びが物価の伸びを下回る場合は、新規裁定者、既裁定者ともに賃金変動率で改定する等の特例が設けられています。
 
賃金の伸びが物価の伸びを下回る場合、年金額改正は2つの変動の数値、賃金変動率、物価変動率によって行われます。
 
平成16年の年金制度改革では、
 

(1)賃金が物価ほどに上昇しない場合、物価変動ではなく賃金変動に合わせて年金額を改定する(例1:賃金+1%、物価+2%の場合は年金額+1%)
 
(2)例外的に賃金と物価がともにマイナスで賃金が物価を下回る場合には、物価に合わせて年金額を改定する(例2:賃金-2%、物価-1%の場合は年金額-1%)
 
(3)例外的に賃金のみマイナスの場合には、年金額を据え置くこととする(例3:賃金-1%、物価0%の場合、年金額は据え置き±0%)

 

平成28年に成立した年金改革法の変更箇所は?

賃金が物価ほど上昇しない場合の上記(1)(2)(3)が、平成28年に成立した年金改革法によってどのように変わったのでしょうか。
 
将来世代の給付水準を確保するため、平成28年に成立した年金改革法により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、賃金が物価を下回る場合には、すべて賃金に合わせて年金額を改定するようルールが見直され、令和3年4月から施行されました。このため上記の(2)、(3)が変更になります。
 

(2)例2の変更:賃金-2%、物価-1%の場合は年金額-2%
(3)例3の変更:賃金-1%、物価0%の場合は年金額-1%

 
よって、(2)「-1%」→「-2%」、(3)「±0%」→「-1%」となります。
 
令和3年度の参考指標は、

賃金変動率:-0.1%
物価変動率:0.0%

 
(3)の場合を参考に、年金額改正-0.1%となるわけです。
 

まとめ

年金は賦課方式といって、現役世代が納めた保険料を現在の受給者が受け取るシステムです。さらに賃金変動や物価変動にも対応するために給付の水準の改正をしています。
 
年金を受給者側からみれば、受給金額が減ることは大変なことです。反対に保険料を支払う側の現役世代からみれば、賃金が下がっているにもかかわらず、年金受給額が上がる、もしくは変わらないというのは負担増になるわけです。
 
公的年金制度は、保険料を納める現役世代と年金を受け取る高齢者の「世代と世代の支え合い」で成り立っているのです。
 
出典
厚生労働省「令和3年度の年金額改定についてお知らせします」
 
執筆者:西川誠司
2級ファイナンシャルプランンニング技能士・AFP認定者、終活ライフケアプランナー、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、キャリアコンサルタント