更新日: 2021.11.17 その他年金

シニアの働き方が変わる? 2022年4月以降施行される「年金制度改正法」とは?

執筆者 : 柘植輝

シニアの働き方が変わる? 2022年4月以降施行される「年金制度改正法」とは?
多くの人がより長く社会で働いていけるよう、2022年の4月から年金にまつわる制度が一部変わります。これにより、年金を受け取ることができる60歳以上の方、いわゆるシニア層の働き方の幅が広がります。
 
年金制度改正法がシニア層の働き方にどう影響するのか、年金制度改正法の概要を確認していきます。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金の受給開始時期の選択範囲の拡大

公的年金は現在60歳から70歳の間で任意に受け取るタイミングを選択することができます。その点について、今後は高齢者が幅広く自身の就労条件に合わせて年金の受給開始時期を選べるよう、年金の受取時期の選択範囲が75歳まで広げられることになりました。
 
年金は65歳以降に受取開始時期を繰り下げると1月当たり0.7%受給額が増え、現行では70歳まで繰り下げることができ、最大42%増額になります。
 
それが今回の改正によって75歳まで繰り下げられるようになると、なんと最大で84%年金の受給額が増えることになります。これにより、受給を繰り下げて70歳以降も働き続けるという選択肢のメリットが大きくなりました。
 

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在職定時改定の導入

現行制度においては、年金受給権を取得後に就労し厚生年金に加入した場合は、厚生年金を脱退後(退職や70歳到達時)にその期間の加入実績が年金額に反映されていました。
 
それが2022年4月からは在職中にも年1回、10月に加入実績が年金額に反映されるようになりました。そうすることで、在職中に受け取る年金も毎年増えることになり、年金を受け取りながら働く方の経済基盤がより強固なものになり、年金を受けながら働くというメリットが大きくなります。
 

在職老齢年金制度の見直し

現行の年金制度では、60歳から64歳の間に働きながら年金を受け取る場合、給与と年金の額が28万円を超えると年金の支給が超えた部分について停止されます。しかし、2022年4月からはその金額が28万円から47万円へと引き上げられることになりました。
 
これにより、60歳から64歳の間、年金を受け取りながら働く高齢者の就労意欲を後押しさせるだけでなく、就労による恩恵を受けられる方が多くなります。
 

確定拠出年金の見直し

個人型確定拠出年金と企業型確定拠出年金についても見直しされました。具体的には、現行では60歳未満であることが加入要件とされていたところ、国民年金の加入者であれば60歳以上でも加入できるようになりました。また、企業型確定拠出年金については、65歳未満とされているところ、70歳まで加入可能となりました。
 
受取開始時期についても現行の60歳から70歳までという年齢の期間が75歳まで広がることになります。これにより、60歳ないし65歳以降も確定拠出年金に加入して働き、年金額を増やすといった選択が可能になりました。
 

厚生年金の加入対象者の範囲拡大

勤務先の所定労働時間の4分3未満であるが、週20時間以上働いている短時間労働者の厚生年金などの社会保険の加入については、短時間労働者を除いて常時500人を超える加入対象者がいる場合、あるいは労使協定に基づき届出がされている事業所のみとされていました。
 
これが2022年10月からは従業員が100人を超える事業所も、2024年からは50人を超える事業所も対象になるといったようにその適用範囲が広がります。
 
これによって、小規模な事業者の下で厚生年金に加入しながら働きたいという短時間勤務の高齢者の希望が実現されることになります。
 

2022年4月から高齢者の働き方の選択が増える

2022年4月からは公的年金や確定拠出年金の対象者や加入期間、受取開始時期などの幅が広がり、高齢者は自身のライフプランに沿って多様な働き方を選択できるようになります。
 
また、この制度変更は現在現役世代の方のライフプランにも影響が及びます。現役世代層も高齢者層も含め今一度、年金制度と働き方について考えてみてはいかがでしょうか。
 
出典
厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士