更新日: 2022.12.29 国民年金

国民年金保険料は「後払い」ができる? 「追納制度」について解説

執筆者 : 古田靖昭

国民年金保険料は「後払い」ができる? 「追納制度」について解説
国民年金保険料の「免除」や「納付猶予」「学生納付特例」となっていた期間は、保険料を後から納付できる「追納制度」があります。通常、保険料は納期限から2年以内に納めれば未納にはなりません。しかし、2年が過ぎて未納になってしまうと追納制度が利用できないため注意が必要です。
 
本記事では国民年金保険料の追納制度について解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

国民年金保険料の追納制度とは

国民年金の「免除」や「納付猶予」「学生納付特例」の承認を受けた期間は、追納制度を利用することで後から保険料を納付できます。過去に免除などの制度を利用した場合、老齢基礎年金の受給資格期間に算入されるものの、将来受け取れる年金額は全額納付したときと比べて、受給年金額が少なくなってしまいます。
 
しかし追納制度を利用し、過去にさかのぼって年金を納付することで受給年金額の減額を防げます。
 

免除・納付猶予・学生納付特例について

国民年金の保険料は、支払いが困難な場合に「免除」「納付猶予」「学生納付特例」の承認を受けることで、免除されたり猶予されたりします。
 
免除には、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があり、要件を満たすことで保険料の全額または一部が免除されます。
 
納付猶予は、20歳以上50歳未満の被保険者で本人または配偶者の前年所得(1〜6月までの申請は前々年所得)が一定額以下の場合に保険料の納付が猶予される制度です。
 
学生納付特例は、前年度所得が一定額以下の学生が対象で在学中の保険料の納付が猶予されます。
 

追納できる期間

国民年金の保険料は、追納できる期間が決まっているため注意が必要です。追納できる期間は、追納が承認された月の前10年以内と限られています。
 
もし追納を考えている場合は、早めに納付することをおすすめします。追納が承認された期間のうち、古い月分から納付するようにしましょう。
 
なお、保険料の免除や納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降の追納時には、保険料に上乗せされた加算額も納める必要があります。加算額は、承認を受けた当時の保険料の経過期間に応じた金額が上乗せされます。
 

免除の種類によって追納する金額が異なる

国民年金の保険料の免除を受けている場合、免除された金額に応じて支払う金額が異なります。例えば、4分の3免除を受けていれば、4分の1の保険料額を支払っていることになるため、追納する際は残り4分の3の保険料額を支払う必要があります。
 
納付猶予や学生納付特例の場合は、納付が猶予されているのみとなるため、追納する際は保険料を全額支払わなければなりません。
 

保険料の未納は追納制度が利用できない

国民年金の保険料は、納期限から2年以内に納めれば未納にはなりません。しかし追納制度を利用せず2年を超えてしまえば、さかのぼって保険料を納められないため、将来受け取れる老齢基礎年金の受給額が少なくなってしまいます。
 
また保険料を未納にしていると、障害状態や死亡した際に、障害基礎年金や遺族基礎年金を受けられない可能性があり、さらに65歳以降に受け取れる老齢基礎年金も受給できなくなってしまう可能性があります。
 
もし現在、保険料未納になっていれば、免除や納付猶予制度を活用し、保険料を支払えるようになったら追納制度を利用して支払うようにするとよいでしょう。
 

追納制度を利用すれば保険料の後払いができる

国民年金の保険料は、「免除」や「納付猶予」「学生納付特例」の承認を受けていれば、追納が承認された月の前10年以内であれば追納が可能です。つまり保険料を「後払い」のように納められます。
 
もし本人や世帯主、配偶者の前年所得などが一定金額以下の場合や、失業などで保険料の納付が困難な場合、学生で所得がない場合などで保険料が支払えなければ、「免除」や「納付猶予」「学生納付特例」を利用するとよいでしょう。
 
保険料の納付が困難な時期は免除などの制度を利用し、納められるようになったら保険料を「後払い」することで将来受け取れる年金額の減額を防ぐことができます。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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