更新日: 2023.01.10 国民年金

年金は一括で受け取れる? 受け取れる人の条件と受取額と税金は?

執筆者 : 飯田道子

年金は一括で受け取れる? 受け取れる人の条件と受取額と税金は?
国民年金の場合、数ヶ月分や1年分や2年分というように、まとめて納めることができますが、一括で受け取ることはできるのでしょうか? 年金を一括で受け取れる人の条件とはどのような条件なのでしょうか?
 
また、その受取額や税金はどうなっているのか、確認してみましょう。

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・売却金のお使いみちに制限がないので自由に使えます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・ご年齢や収入に制限がないので、どなたでもお申し込みいただけます

飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

年金を繰下げ受給しているときは、一括で受け取ることが可能

公的年金制度は頻繁に見直しされるため、よく分からないという人は少なくありません。民間の年金保険やiDeCoならともかく、「公的年金が一括で受け取れるなんて、聞いたことがない」と言う声も聞こえてきそうですが、実は受け取れるのです。
 
ただし、誰でも受け取れるというわけではありません。
 
65歳を過ぎても老後の生活費は今あるお金で送りたい、働いて収入を得ているからまだ受け取らないなどの理由で65歳を過ぎても年金請求書を提出せず、受給開始を繰り下げることができます。そうした場合には、5年前までさかのぼって一括で受け取ることができます。
 
「どうして5年なの?」と思うかもしれませんが、年金には時効があるからなのです。そのため、もし手続きをせずに未請求のまま5年以上時間が過ぎてしまった場合には時効を迎えてしまい、5年より前の年金は受け取れなくなってしまいます。
 
一括受け取りのメリットは、まとまったお金を手にできることです。しかしこの場合は、遡及(そきゅう)支払いなので年金は増額されません。
 

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・まとまった資金を短期間で手に入れられます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・借り入れせずに資金を調達できます

2023年4月から新制度が開始に!

実際には、繰下げ受給となっているにもかかわらず増額分が受け取れないのは、損をしているように思いますよね。とはいえ2023年4月から新制度がスタートし、有利に変更されることになっていますので安心してください。
 
2023年4月からの一括受け取りの新制度は、70歳の誕生日から80歳の誕生日の前々日までに一括受給を請求すると、5年前に繰下げ受給の請求をしたとみなされます。繰下げ受給の請求をした扱いになりますので、繰下げ受給分の増額された年金も一括受給できます。
 
また、一括受け取りした後には、通常通りに年金を受け取ることになりますが、そのときの年金額は、繰下げ受給の増額率で受給可能です。
 
増加率は、下記の一覧表を参考にしてみてください。


 
(出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」より抜粋)
 
例えば73歳から年金を受け取る場合、68歳0カ月で5年分の一括受け取りの年金額は、25.2%増額され支給されます。その後も、25.2%増額された年金が支給されることになります。
 
金額に換算すると、65歳で受け取る年金額が77万円だった場合、73歳で受け取る年金額は385万円+25.2%分の97万200円=482万200円となります。
 
また、73歳以降の年金額は77万円+(77万円×25.2%)=96万4040円です。
 
この例では、73歳に申請していますので、すでに65歳から68歳までの3年分の年金が事項を迎えてしまっているため、3年分の年金を受け取ることはできなくなってしまいます。
 
繰下げ受給をしたこととして扱われますが、3年分の231万円を受け取り損ねてしまいますので、注意してください。
 

一括受け取りしたときの税金はどうなる?

公的年金である厚生年金および国民年金は、雑所得となり課税対象です。ただし、65歳以上で公的年金等の収入が110万円以下の場合は、税金はかかりません。
 
上記の例で5年分を一括受け取りした場合、73歳のときに受け取った年金額は482万200円ですが、税金の計算は該当年ごとに区分して収入金額を計算することになっています。つまり、482万200円がベースとなって税金が計算されるわけではありません。
 
しかしながら、過去5年に収入があれば修正申告することになりますので、結果によっては延滞税がかかる可能性があります。
 
税金の計算はかなり複雑です。税務署などへ出向いて、どのように対処するべきか、確認することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト