更新日: 2023.01.10 その他年金

出産・育児にともなう「年金保険料の免除制度」にはどんなものがある?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

出産・育児にともなう「年金保険料の免除制度」にはどんなものがある?
公的年金には国民年金と厚生年金があります。国民年金には20歳以上60歳未満のすべての人が加入しますが、厚生年金に加入するのは会社や公的機関などの勤務者だけです。そんな公的年金には、出産・育児にともなう保険料の免除制度が用意されています。
 
主な制度は、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度、産前産後休業期間中の保険料免除、育児休業等期間中の保険料免除の3種類です。本記事では、3つの制度の要点を解説します。
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国民年金保険料の産前産後期間の免除制度

国民年金保険料の産前産後期間の免除制度は、国民年金に加入している第1号被保険者が利用できます。当制度では出産前後の一定期間、国民年金保険料の免除が可能です。
 
・第1号被保険者とは
国民年金はその社会的な属性によって、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者に分類されています。第1号被保険者に該当するのは、自営業者(フリーランス含む)、学生、農業従事者、無職者などです。
 
・国民年金保険料の産前産後期間の免除制度が利用できる期間
国民年金保険料の産前産後期間の免除制度を利用すると、出産(妊娠85日以上で、早産・流産・死産を含む)予定日か、出産日が属する月の前月から4ヶ月間の国民年金保険料が免除されます。
 
多胎妊娠の場合は、出産予定日か出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間の保険料が対象です。なお、免除期間中も保険料は納付扱いとなります。そのため、老齢基礎年金が減額されることはありません。
 
・届け出方法
被保険者による届け出が必要です。届け出の際には、年金事務所か市区町村役場の国民年金窓口に備え付けの届出用紙(日本年金機構のHPからもダウンロード可能)に、必要書類(母子健康手帳や本人確認書類など)を添付する必要があります。届け出先は、住所登録地の市区町村役場にある国民年金担当窓口です。
 
・届け出時期
出産予定日の6ヶ月前から行えます。出産後の届け出も可能です。
 

厚生年金保険の産前産後休業期間中の保険料免除

産前産後休業期間中の保険料免除では、出産(妊娠85日以後の分娩・死産・早産・人工妊娠中絶)前後の従業員と事業主の厚生年金保険料が免除されます。ただし、当免除を利用できるのは、厚生年金に加入している従業員が産前産後の休業を取得した場合です。
 
・産前産後休業期間中の保険料免除が利用できる期間
産前産後休業期間中の保険料免除では、出産前42日(多胎妊娠は98日)か出産後56日のいずれかのうち、妊娠か出産が理由で労務(仕事)に従事できなかった期間の保険料が免除されます。なお、免除期間中の保険料は納付扱いとなるため、老齢基礎年金の減額対象にはなりません。
 
・手続き方法
被保険者は、事業主への産前産後休業取得の申し出が必要です。なお、当免除の手続きは申し出を受けた事業主が行います。
 

厚生年金保険の育児休業等期間中の保険料免除

育児休業等期間中の保険料免除では、満3歳未満の子どもの養育に必要な育児休業期間や、産後パパ育休といった育児休業に準じる休業期間の厚生年金保険料が免除されます。なお、当免除は被保険者と事業主の双方が対象です。
 
・育児休業等期間中の保険料免除が利用できる期間
毎月の報酬に対する育児休業等期間中の保険料免除の期間は、育児休業などの開始日の属する月から育児休業などの終了日翌日が属する月の前月までとなります。
 
なお、開始日が属する月と終了日翌日が属する月が同一の場合は、育児休業などの開始日を含む月に14日以上の当休業が必要です(開始日が令和4年10月1日以降の育児休業などに限る)。
 
・手続き方法
被保険者は、事業主へ育児休業などの取得の申し出を行う必要があります。なお、当免除の手続きを行うのは申し出を受けた事業主です。
 

将来の利用に備えて免除制度の仕組みを事前に把握しておこう

公的年金には、出産・育児期間中の保険料が免除される制度があります。該当する主な制度は、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度、厚生年金保険の産前産後休業期間中の保険料免除、厚生年金保険の育児休業等期間中の保険料免除の3種類です。
 
国民年金の場合は自分で手続きを行いますが、厚生年金の場合は産前産後の休業や育児休業などを申し出れば事業主が手続きを代行してくれます。いずれにしても、将来の利用に備えて制度の仕組みを事前に把握しておくことが大切です。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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