更新日: 2023.01.20 その他年金

農業者年金って何? 国民年金と何が違う? 農業者は入ったほうがいいの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

農業者年金って何? 国民年金と何が違う? 農業者は入ったほうがいいの?
一定の条件を満たせば加入できる農業者年金ですが、名前を知っていても具体的な特徴や加入要件を理解していない人も多いのではないでしょうか。農業者年金とは、国民年金の基礎年金に上乗せされる制度で、農業者の老後生活の安定や農業者の確保を目的にしたもので、加入は強制ではなく脱退も任意です。
 
本記事では、農業者年金の概要や国民年金と何が違うのかを解説します。農業に従事している人は、この機会に農業者年金への加入を検討してみてください。
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農業者年金の概要

農業者年金とは国が運用する農業者に特化した公的年金で、国民年金に上乗せして受け取れます。年金制度の1階部分が国民年金と仮定したら、2階部分が農業年金に該当するイメージです。「将来的に受け取れる国民年金だけでは不安」という農業者は、加入を検討してみるとよいでしょう。
 
こちらでは、農業者年金の加入要件、保険料と給付期間について解説しますので参考にしてください。
 

農業者年金の加入要件

農業者年金の加入要件は以下の3点です。
 

●年間60日以上の農業従事者
●60歳未満の農業者
●国民年金の第1号被保険者(国民年金の保険料納付免除者を除く)

 
上記に該当する人なら、農業を専業とする人に限らず、配偶者や後継者などの家族、農家のパートさん、自営業との兼業農家でも農業年金に加入できます。農業年金へ加入するに当たって厳しい条件は設けていないため、比較的加入しやすい年金制度といえるでしょう。
 
また、農業年金への加入と脱退は任意ですが、一度脱退した後も再加入が可能です。
 

農業者年金の保険料と給付期間

農業者年金の保険料と給付期間を、以下にまとめましたので参考にしてください。
 
【保険料】
 
農業者年金の保険料は、2万~6万7000円の間で、加入者自身で自由に決められる点が特徴です。農業で得る収入が低かったり、経営状況に余裕がなかったりする場合は保険料を少なくして、逆に余裕があるときは保険料を多くするなど、柔軟に変更できます。
 
2万円からの保険料の負担が困難な場合、国に保険料の拠出を補助してもらえる政策支援を受けられます。「60歳までに保険料納付期間などが20年以上見込まれる」「農業所得が900万円以下」などの要件に該当すれば、月額2万円の保険料のうち1万円から4000円の国庫補助が適用されます。
 
【受給期間】
 
農業者年金は65歳以上75歳未満で生涯にわたって受給可能な終身年金です。年金額は、積み立てた掛け金や運用益に基づいて決定します。具体的な年金額を確認したいときは、農業者年金基金の公式ページにある年金額シミュレーションを活用してみるとよいでしょう。
 
なお、農業者年金の被保険者が80歳までに死亡した場合、遺族に死亡一時金が給付されます。
 

農業者年金と国民年金の違い

農業者年金、国民年金ともに公的年金である点に違いはありません。しかし、加入要件や保険料など異なる点も多々あります。農業者年金と国民年金の主な違いは、図表1のとおりです。
 
【図表1】
 

農業者年金 国民年金
加入要件 ・年間60日以上の農業従事者
・60歳未満の農業者
・国民年金の第1号被保険者(国民年金保険料の納付免除者を除く)
20歳以上60歳未満の日本国内に住むすべての人
納付期間 60歳まで(国民年金の任意加入被保険者が60歳以降に農業者年金に加入した場合は65歳まで) 満20歳(20歳の誕生月)から満60歳までの40年間(480ヶ月)
月額保険料 2万~6万7000円
※被保険者自身で設定可能
一律1万6590円 (令和4年4月~5年3月の納付分)
年金の支給日 10日
※2月、5月、8月、11月の年4回
※年金の年額が12万円未満の場合、年1回、11月に支給
偶数月の15日
※2ヶ月分をまとめて支給
保険料の補助 月額保険料2万円のうち1万円から4000円の国庫補助が受けられる 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
加入と脱退 任意 国民年金への加入は、日本在住の20歳以上60歳未満の人すべてに義務づけられている。
ただし、第1号被保険者として保険料を6ヶ月以上納めた外国人は、被保険者資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金の請求ができる。

 
独立行政法人農業者年金基金、日本年金機構の各ホームページより筆者作成
 

農業者年金は農業従事者が幅広く加入できる年金

天候や自然に収入をされやすい農業従事者にとって、農業者年金は老後資金確保のために有効な方法です。月額保険料を被保険者自身で設定できる点も魅力で、収入が少ないときは低くしたり、収入が増えたら高くしたりするなど、柔軟に対応できます。
 
農業者年金の加入を希望する農業従事者は、JAや農業委員会に加入申込書を提出して手続きを進めてください。
 

出典

農林水産省 農業者年金

独立行政法人農業者年金基金 農業者年金の概要

独立行政法人農業者年金基金 年金額シミュレーション

日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり

日本年金機構 脱退一時金の制度

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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