更新日: 2023.01.26 その他年金

2023年4月から始まる年金の「みなし繰下げ」とは? 5年分をさかのぼって受け取れる?

2023年4月から始まる年金の「みなし繰下げ」とは? 5年分をさかのぼって受け取れる?
2023年4月から「みなし繰下げ制度」が施行されます。これまでも繰下げ制度はありましたが、「みなし繰下げ制度」はどのような違いがあるのでしょうか?
 
制度ができた背景や、年金額がどのように変化するのかを知ることは、今後繰下げ受給を考える上で重要です。
 
そこで本記事では、みなし繰下げ制度の概要や制度ができた背景を解説するとともに、年金額がどれくらい変わるのかについて紹介していきます。

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そもそも繰下げ制度とは

年金の繰下げ制度は、本来なら65歳から年金を受け取れる公的年金を、66歳から75歳の間に受け取りを先延ばしにすることで、年金額を増額できる制度です。増額された年金額は、一生涯変わらず受け取れます。
 
また、繰下げた期間が長いほど、年金の増額率も高くなっているのが特徴です。66歳から1ヶ月単位で繰下げることができます。
 
繰下げをするためには、繰下げの申し出を行う必要があります。2020年の改正により、75歳まで繰下げの年齢が引き上げられたので、繰下げ受給の選択肢が増えました。
 

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2023年4月から始まるみなし繰下げ制度とは?

2023年4月から始まるみなし繰下げ制度は、2020年改正で生じてしまった問題を解決するために創設されています。
 

制度ができた背景

2020年改正以前は、70歳までしか繰下げることができず、70歳以降に受給開始の手続きをする際、繰下げの申し出を行わない場合は繰下げられずに、通常の年金額で受給することになっていました。
 
また、2020年の改正で75歳まで繰下げられるようになりましたが、前述と同様に70歳以降に受給開始の手続きをする際、繰下げの申し出を行わない場合は、請求時から5年以上前の年金が消滅時効になってしまうため、受け取れなくなるという問題がありました。
 

みなし繰下げ制度で変わること

みなし繰下げ制度は、70歳から80歳までの間に年金の受給開始手続きをする際、繰下げの申し出を行わなかった場合に、請求時の5年前に繰下げの申し出があったとみなして、年金額を支給する制度です。
 
またこれによって、請求の5年前時点の増額率が上乗せされた年金額を受給できるようになりました。
 

73歳で受給手続きをするとどうなる?

73歳0ヶ月で受給開始手続きを行い、繰下げの申し出をすると、67.2%の増額率が上乗せされて年金を受け取れるようになります。
 
老齢基礎年金を満額受給できる人だと、2022年度の場合、77万7800円に67.2%をかけるので、52万2682円(小数点以下四捨五入)が増額され、130万482円を毎年受け取れます。
 
これに対して、73歳0ヶ月で繰下げの申し出をせずに受給手続きをする場合を考えてみると、5年前の68歳0ヶ月時点の増額率で年金額が計算されます。この場合の増額率は25.2%です。そのため、25.2%をかけて計算された年金額を5年間さかのぼって受け取ることができます。
 
また、受給が開始されると、25.2%の増額率で計算された年金を一生涯受け取ることが可能です。
 
老齢基礎年金を満額受給できる人だと、2022年度の場合、77万7800円に25.2%をかけるので、19万6006円(小数点以下四捨五入)が増額され、97万3806円を毎年受け取れます。さらに、5年分をさかのぼって受け取れるので486万9030円も受給可能です。
 
受給開始時点で繰下げの時期を選択できるようになったのは大きなメリットといえます。
 

繰下げ制度をうまく活用しましょう

本記事では、みなし繰下げ制度の概要や制度ができた背景を解説するとともに、年金額がどれくらい変わるのかについて紹介してきました。
 
みなし繰下げ制度はこれまでの問題を解決するだけでなく、受給時期の選択肢が増える制度なので、メリットも大きい制度です。そのため、今後繰下げ受給を考えている人は制度を理解し、うまく活用できるようにしておきましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部