更新日: 2023.02.24 厚生年金

60歳以降も働く人は「在職老齢年金」と「高年齢雇用継続給付」をチェックしておこう

60歳以降も働く人は「在職老齢年金」と「高年齢雇用継続給付」をチェックしておこう
高齢化社会により、定年退職後も働く人が増え続けています。老後資金対策などで60歳以降も働く場合は、在職老齢年金によって年金が減額・支給停止となる可能性があります。また、60歳以降の収入によっては、高年齢雇用継続給付が支給されることがあります。
 
60歳以降に働く予定の方は、在職老齢年金や高年齢雇用継続給付について理解しておくとよいでしょう。本記事では、在職老齢年金や高年齢雇用継続給付について解説します。

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在職老齢年金とは

「在職老齢年金は」、70歳未満の方が就職して厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所で働いている場合などに、厚生年金額が調整される制度です。
 
年金額と給与やボーナスの額に応じて、年金が減額・支給停止となる場合があります。60歳以降に働く方は、年金額が調整される可能性があるため注意が必要です。
 

在職老齢年金の減額・支給停止条件

在職老齢年金の減額・支給停止条件は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

条件 減額・支給額
基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円を超える 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以下 全額支給

※基本月額:加給年金額を除いた厚生年金の月額
※総報酬月額相当額:その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12
 
出典:日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
例えば、以下のケースで在職老齢年金調整後の年金額を計算してみましょう。

・年金受給額:年間180万円(基本月額15万円)
・給与:月25万円(標準報酬月額26万円)
・賞与:年間80万円(標準賞与額80万円)

上記の場合、「基本月額15万円+総報酬月額相当額32万6000円=47万6000円」となり、47万円を超えるため年金の減額・支給停止があります。調整後の年金支給月額は次のとおりです。
 
・15万円-(15万円+32万6000円-47万円)÷2=14万7000円
 
在職老齢年金調整後の年金額は月額14万7000円となり、調整前(15万円)と比べて年金額は月額3000円、年間3万6000円減ることになります。「基本月額と総報酬月額相当額の合計額」が47万円を超えるか超えないかで、在職老齢年金の調整の有無が変わることを覚えておきましょう。
 

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高年齢雇用継続給付とは

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満で雇用保険の被保険者期間が5年以上ある場合に、60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満になると、給付金を受給できます。
 
高年齢雇用継続給付は、以下の2つに分けられます。

・高年齢雇用継続基本給付金:60歳以降の給付が60歳時点の75%未満の場合に支給される
 
・高年齢再就職給付金:基本手当を受給している人が再就職して給付が退職前の75%未満の場合に支給される

 
高年齢雇用継続給付の受給要件は、以下のとおりです。

【高年齢雇用継続基本給付金】

(1)支給対象月の初日から末日まで被保険者であること
(2)支給対象月中に支払われた賃金が、60 歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること
(3)支給対象月中に支払われた賃金額が、支給限度額未満であること
(4)申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額を超えていること
(5)支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっていないこと

【高年齢再就職給付金】

(1)60 歳到達日の属する月から、65 歳に到達する日の属する月までの間
 
(2)60 歳到達時に受給資格を満たしていない場合は、受給資格を満たした日の属する月から、65 歳に到達する日の属する月までの間
 
(3)60 歳到達時に被保険者でなかった者は、新たに被保険者資格を取得した日または受給資格を満たした日の属する月から、65 歳に到達する日の属する月までの間

なお、高年齢再就職給付金については、上記に加えて、支給対象期間が再就職した日の前日時点で基本手当の支給残日数が200日以上ある場合、再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月までとなり、100日以上200日未満のときは1年となります。
 
なお、高年齢雇用継続給付の支給限度額と最低限度額は、以下のとおりです。

・支給限度額:36万4595円
・最低限度額:2125円

※令和4年8月1日以後支給分

60歳以降の賃金が減り、高年齢雇用継続給付を受給できる場合は、在職老齢年金によって年金額は減額されます。
 

60歳以降の高年齢雇用継続給付や在職老齢年金をシミュレーションして働こう

60歳以降に働いて収入を得る場合は、在職老齢年金により、年金受給額が減額・支給停止となる可能性があります。また、60歳以降の給付が60歳時の75%未満の場合は、高年齢雇用継続給付が支給されます。
 
60歳以降の収入状況によって在職老齢年金や高年齢雇用継続給付の有無などが変わるため、年金事務所や年金相談センター、市区町村役場などに相談をして、シミュレーションをしたうえで働き方を考えましょう。
 

出典

日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~
厚生労働省 令和4年8月1日から支給限度額が変更になります。皆さまへの給付額が変わる場合があります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部