更新日: 2023.03.13 厚生年金

「特別支給の老齢厚生年金」って? どんな人が受け取れるの?

「特別支給の老齢厚生年金」って? どんな人が受け取れるの?
昨年4月から年金の受給開始年齢の上限が75歳までになったように、これまでもたびたび年金の受給開始年齢は調整されてきました。そして、受給開始年齢の引き上げに伴ってできた制度が「特別支給の老齢厚生年金」です。
 
この制度については、聞いたことはあっても内容はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。本記事では特別支給の老齢厚生年金ができた背景や受給要件、注意すべき点について解説しています。

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制度ができた背景

1985年の年金制度改正により、老齢厚生年金の支給は60歳から65歳からに引き上げられました。しかし、それまでは60歳から年金が受給できたため、急に支給が65歳からと言われても簡単に対応できない人も多くいます。
 
そこで当時、支給の引き上げをスムーズに行うことを目的として、「特別支給の老齢厚生年金」の制度ができました。
 

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受給要件

特別支給の老齢厚生年金を受け取るためには、以下の要件を満たしている必要があります。


(1)男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前の生まれである

(2)老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上あること
※免除期間・納付特例の期間も合わせる

(3)厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ある

(4)生年月日に応じた受給開始年齢に達している

特別支給の老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「定額部分」があり、生年月日や性別によって細かく定められています。
 
例えば、昭和16年4月1日以前の男性は報酬比例部分も定額部分も60歳から受給できますが、昭和16年4月2日~昭和18年4月1日生まれだと、定額部分の支給は61歳からになります。詳しくは日本年金機構のホームページを確認してみましょう。
 

受給要件の特例

受給要件の特例として、以下のいずれかに該当する人が報酬比例部分の支給開始年齢に達した場合、定額部分を合算して特別支給の老齢厚生年金が支給されます。


(1)厚生年金保険の被保険者期間が44年以上
(2)障害状態にあることを申し出ている
(3)厚生年金被保険者期間のうち「坑内員」または「船員」であった期間が15年以上

注意すべき点とは

特別支給の老齢厚生年金を受給する上での注意点を見ていきましょう。
 

申請の期限

特別支給の老齢厚生年金を受給する申請は、受給開始年齢に達する誕生日の前日から5年以内です 。請求しなければ受け取れません。
 
なお、請求を忘れていても、例えば65歳時点で気づけば5年間、さかのぼって一括請求できますが、請求有効期限の5年を過ぎてしまった分は、古い順から1ヶ月単位で時効となり、受け取れなくなります。
 

働きながら受給すると減額されることも

働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、賃金と年金額との合計が基準を超えると、年金支給が減額されます。具体的には、総額で月額47万円が基準 ですので、注意しましょう。
 

繰り下げができない

通常、老齢厚生年金は75歳まで受給開始を繰り下げることができます。繰り下げることで毎月受け取る年金額には増額率が上乗せされますので、繰り下げは年金戦略の重要なテーマです。
 
しかし、特別支給の老齢厚生年金については繰り下げの申請をすることはできません。生年月日によってあらかじめ決められた年齢からしか受け取れません。
 

特別支給の老齢厚生年金の受給時には仕組みや注意点を確認しておこう

基本的には老齢厚生年金は65歳から受給できますが、特別支給の老齢厚生年金は生年月日に応じて、60~64歳から受け取ることができます。
 
実際に支給の対象となる場合、支給開始年齢の3ヶ月前には必要な情報が記された請求書が届きますので、届いたら内容を確認し、請求手続きを行いましょう。
 
その際には事前に今回紹介した仕組みや注意点について確認しておくことが大切です。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
日本年金機構 年金の時効
日本年金機構 60歳台前半の老齢厚生年金(いわゆる特別支給の老齢厚生年金)については、繰り下げの申出を行うことができるのですか。
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部