更新日: 2023.03.17 その他年金

熟年離婚で年金を分割。専業主婦と共働きの両期間がある場合は「合意分割」「3号分割」どちらになるの?

執筆者 : 飯田道子

熟年離婚で年金を分割。専業主婦と共働きの両期間がある場合は「合意分割」「3号分割」どちらになるの?
以前に比べて増えてきている熟年離婚。財産分与について、さまざまな話し合いが行われますが、そのとき、年金の分割をどのようにするのかも大きなポイントです。特に、妻が専業主婦と共働きの両方を経験している場合には、ちょっと複雑です。
 
年金分割をするときには、「合意分割」と「3号分割」のどちらになるのでしょうか。

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飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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離婚時年金分割制度とはどんな制度?

離婚するときには、配偶者に対して年金分割を請求できるケースがあります。この制度では、婚姻期間中の保険料納付額に応じて、厚生年金や共済年金の婚姻期間に相当する部分を按分していきます。
 
「年金は個人のものではないの?」と思うかもしれませんが、婚姻中は協力しあいながら財産を作るものとしています。そのため、年金も分割するべきという考えに至り、2007年4月以降に成立した離婚について適用される制度です。
 
ただし、分割の対象となるのは、厚生年金や共済年金のみです。国民年金は分割の対象になっていません。その他にも国民年金基金、厚生年金基金や確定給付企業年金や確定拠出年金は、年金分割の対象になっていませんので、注意しましょう。
 

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年金分割の種類

年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があり、それぞれ適用される要件や請求方法も違っています。
 

●合意分割

合意分割とは、その名のとおり夫婦の合意が必要になる分割制度のことです。合意分割するときの按分割合の上限は50%となっていますが、どのような割合にするのか、自分たちで決めることができます。
 
なかには、合意できないことも考えられます。その場合は、家庭裁判所に調停や審判を申立てることで、分割することが可能になります。
 

●3号分割

3号分割とは、いわゆる専業主婦(夫)などの3号被保険者で適用される分割方法であり、相手の同意がなくても分割請求することが可能で、分割割合は50%です。ただし、3号分割が適用されるのは2008年4月以降の年金積み立て分のみですので、注意してください。
 
2008年4月より前から結婚している場合は、2008年4月より前の年金積み立て分については、合意分割しなければなりません。
 
なお、妻に専業主婦期間と共働きの両方の期間がある場合には、3号分割には該当しません。このようなケースでは、「合意分割」と「3号分割」の両方が適用・併用されることになります。つまり、婚姻期間中に妻が厚生年金に加入しているときには、2種類のうちのどちらかを選ぶのではありません。
 
2種類の分割制度を併用する場合は、妻が厚生年金に加入していた部分は合意分割となり、3号被保険者となっている部分は3号分割となる仕組みになっています。
 

手続き方法

では、2種類の分割制度の手続き方法を確認してみましょう。
 

●合意分割を請求する場合

配偶者の同意を得ている場合には、配偶者とともに(それぞれ代理人でも可)年金事務所へ出向いて、必要書類を記入し、提出します。つまり、相手が手続きに協力してくれないときには、合意分割はできません。
 
合意が得られないときには、配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所へ年金分割調停も申立てを行います。必要な書類は、申立書、戸籍謄本、年金分割情報通知書です。
 
年金分割調停で配偶者が分割に応じない場合には、調停は不成立となってしまいますが、この場合は年金分割審判となります。多くの場合、按分割合は50%になります。その後、家庭裁判所から調停調書が送られてきますので、年金事務所で分割の手続きができます。調停調書で手続きするときには、一人で行うことができます。
 

●3号分割を請求する場合

3号の場合は、配偶者の同意は不要のため、一人で手続きすることが可能です。この場合は年金事務所へ行き、3号分割の請求手続きをすればOKです。按分割合は50%です。
 
年金分割には時効があり、離婚(婚姻を解消した)の翌日から2年を過ぎると請求できなくなります。早めに年金事務所等に出向いて相談するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト