更新日: 2023.03.17 国民年金

年金の繰下げ受給の待機期間中に死亡した場合、受け取る予定だった年金はどうなるの?

執筆者 : 飯田道子

年金の繰下げ受給の待機期間中に死亡した場合、受け取る予定だった年金はどうなるの?
年金を受給するタイミングは、一定のルールの下で調整することは可能です。では、年金の繰下げ受給を選び、受け取りを先送りしている待機期間中に死亡してしまったときには、年金はどうなるのでしょうか?

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飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

年金の繰下げ受給とはどんな制度?

まず、知っておくべきことは、「年金の繰下げ受給とはどのような制度なのか?」ということです。
 
繰下げ受給とは、その名のとおり年金の受給を繰り下げる、すなわち受取開始時期を先送りすることです。本来であれば、年金は65歳から受給できるのですが、繰下げ受給を選択することで、66歳以降75歳までの間に受給開始時期を先送りできます。
 
繰下げ受給を選ぶメリットは、繰り下げた期間に応じて、支給される年金額が増額されるということです。
 
増額の割合は、66歳で受給したときには8.4%が増額され、先送り期間1ヶ月ごとに増額されていき、最大の75歳で受給すると、84%が増額される仕組みになっています。
 
ピンとこない数字かもしれませんが、例えば年金100万円だった場合、66歳まで繰り下げたときには、受給額は年額108.4万円になります。つまり、繰下げ受給を選択し、66歳から受給を開始したときには、月額で7000円増額します。
 
ただし、昭和27年4月1日以前に生まれている(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している)場合は、繰り下げの上限年齢は70歳(権利が発生してから5年後)までで、増額率は最大で42%ですので注意してください。
 

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繰下げ受給待機中に死亡したら、年金はどうなるの?

受給開始時期を繰り下げするだけで増額できるのが、繰下げ受給の大きなメリットです。65歳以降も働いて収入を得なければならないと考えている人にとっては、有意義な選択肢の1つとなりそうです。
 
では、万が一、繰下げ受給を選択し、待機期間中に死亡してしまった場合、年金はどうなってしまうのでしょうか?
 
待機期間中に受け取るべき本人が死亡してしまったときには、年金は宙に浮いてしまっているのですが、年金の繰下げ請求は、遺族が代わって手続きすることができない決まりになっています。
 
このようなケースの場合、遺族が未支給年金の請求が可能なときには、65歳時点の年金額で決定した上で、過去分の年金額が一括して未支給年金として支払われる仕組みになっています。
 
ここで、65歳で受け取る年金額が100万円だったときに70歳までの繰下げ受給を選択し、69歳で死亡した場合はどうなるのか、解説します。
 
繰下げ受給の決まりとして、未支給年金がある場合には、65歳時点の年金額で決定されるため、年金額は100万円として決定され、69歳までの4年間が未支給となるため、400万円が遺族に支給されます。
 
つまり、待機期間中に死亡してしまうと、増額分は一切、反映されないことになっているのです。
 
また、未支給の年金には時効が設けられています。請求した時点から5年以上前の年金は時効により受け取れなくなりますので注意してください。
 

自分の健康状態や経済状況を考えて受給のタイミングを選ぼう

繰下げ受給を選択すれば、年金額が増額されるメリットがある反面、待機期間中に死亡してしまったときには、増額は反映されないという仕組みになっています。
 
できるだけ多く年金をもらいたいと考えて繰下げ受給を選ぶのはよいのですが、万が一のときには一度も年金を手にすることができない、かつ、遺族にも増額分は反映されないという結果になってしまいます。
 
日本年金機構では、繰下げ受給の注意点としていくつかのケースを掲げており、待機期間中に死亡したケースについても説明があります。繰下げ受給を考えているのなら、どのような注意点があるのかを確認するようにしてください。
 
受給者本人の目線で考慮すべきことは、自分の健康状態はどうなのか、年金の受給するタイミングを先送りしても生活費は足りるのかなど、複合的に考えなければなりません。
 
年金の繰下げ受給は年金が増えるから、という安易な発想ではなく、リスクなどを知り、総合的に判断して選ぶことが大切です。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給

 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト