更新日: 2023.03.23 その他年金

【75歳で84%増】年金繰下げ受給の利用割合はどのくらい? 繰下げ受給のデメリットとは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【75歳で84%増】年金繰下げ受給の利用割合はどのくらい? 繰下げ受給のデメリットとは?
老後の生活に欠かせないのが「年金」です。年金は通常65歳から受給を開始しますが、75歳まで受給を遅らせる「繰下げ受給」も選択できます。
 
本記事では、繰下げ受給の効果や利用割合、デメリットについて紹介します。
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繰下げ受給の効果

「繰下げ受給」では、最長75歳まで受給を遅らせることが可能です。65歳で受給を開始する場合と比べて、年間受給額の増額率は図表1のとおりとなります。
 
【図表1】

受給開始年齢 年間受給額の増額率(65歳対比)
66歳 8.4%
67歳 16.8%
68歳 25.2%
69歳 33.6%
70歳 42.0%
71歳 50.4%
72歳 58.8%
73歳 67.2%
74歳 75.6%
75歳 84.0%

日本年金機構 年金の繰下げ受給を基に作成
 
65歳で受給開始した際に受け取れる年間受給額が100万円の場合、70歳で受給を開始すれば年間受給額は142万円、75歳で受給を開始すれば年間受給額は184万円となります。生きている限り、同水準の年間受給額を受給し続けられます。
 

繰下げ受給の利用割合

では、実際に繰下げ受給を利用している人はどの程度いるのでしょうか? 繰下げ受給の利用割合は図表2のとおりです。
 
【図表2】

年度 繰下げ受給利用割合
2017年度 0.7%
2018年度 0.7%
2019年度 0.8%
2020年度 1.0%
2021年度 1.2%

厚生労働省年金局 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況を基に作成
 
2021年度時点で利用率はわずか1.2%となっており、約83人に1人しか利用していません。繰下げ受給は、まだまだマイナーな制度といえます。
 

繰下げ受給のデメリット

繰下げ受給は年間受給額が増える制度ですが、デメリットはあるのでしょうか?
 

受給開始を繰り下げている間は年金がもらえない

繰下げ受給は、受給開始年齢を遅らせることで年間受給額を増やす制度です。そのため、受給開始を遅らせている間は年金が受給できません。
 
その間は働いて生活費を補うか、自分の貯蓄での生活が必要です。65歳以降は働きたくない人や、十分な貯蓄がない人にとっては、繰下げ受給の利用は難しいでしょう。
 

寿命によっては損をする場合がある

繰下げ受給は受給開始を遅らせるため、寿命によっては損をする場合があります。繰下げ受給により70歳で受給を開始した人が73歳でなくなった場合、繰下げ受給を選択せずに65歳から受給を開始していた方が、総受給額は多くなるでしょう。
 
ただし、寿命は事前に分からないため、繰下げ受給により得をするか損をするかを、あらかじめ判断することは難しいでしょう。
 

税金や社会保険料の負担が増える

年金は会社からの給与と同様、税金や社会保険料がかかります。また、年金受給額が増えるほど、発生する税金や社会保険料も高くなります。
 
特に、所得税は所得が増えるほど税率が上がる仕組みのため、年金が高額になると税負担が重くなります。税金や社会保険料の負担は、繰下げ受給のデメリットです。
 

計画的に老後に備えよう

繰下げ受給は年間の年金受給額が増える一方で、デメリットもあります。ただし、年金は「長生きリスクに備える保険」と考えると、年間受給額を増やすことの意味は大きいでしょう。
 
まずは、自分の年金受給額がいくらになるかをシミュレーションしてみてください。将来の年金受給額を知ることで、繰下げ受給の検討に加えて、節約や資産運用などのやるべきことも明確になるかもしれません。
 

出典

厚生労働省 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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