更新日: 2023.03.29 その他年金

【繰下げ受給】75歳の受け取りで「84%」も年金額が増額! でも「長生き」できないと損になる? 注意点を解説

執筆者 : 新川優香

【繰下げ受給】75歳の受け取りで「84%」も年金額が増額! でも「長生き」できないと損になる? 注意点を解説
年金の支給開始時期を遅らせて受け取ることを「繰下げ受給」といい、活用することで将来受け取る年金額が増えるメリットがあります。令和4年3月までは繰下げ上限年齢が70歳まででしたが、今では75歳まで選択できるようになりました。
 
そこで本記事では、繰下げ受給によって年金がどれくらい増えるのか、繰下げ受給の注意点について解説します。

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新川優香

執筆者:新川優香(あらかわ ゆうか)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

繰下げ受給でどれくらい増える?

年金の繰下げ受給とは、65歳で受け取らずに66歳から75歳までの間で年金を受給することです。そうすることで、受け取る年金額が1ヶ月ごとに0.7%増えます。
 
例えば、65歳から受給した場合、老齢基礎年金が月6万円受け取れるとしましょう。この人が、65歳で受け取らずに10年後の75歳で年金受給を開始した場合、「0.7%×12ヶ月=8.4%」となり「8.4%×10年=84%」と84%増額するため、1ヶ月当たり約11万円の年金を受け取ることができます。
 
60歳から64歳のうちに年金を早く受け取ることを「繰上げ受給」といいますが、繰上げ受給・繰下げ受給をふまえると、年金の受給開始時期を60歳から75歳まで自由に選択することが可能です。定年後も働き続けるといった働き方の多様化や平均寿命の伸びにより、「少しでも増額した年金を受け取りたい」という人もいれば、「少しでも早く受け取りたい」という人もいる状況に対処できるようになりました。
 

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繰下げ受給の注意点

ここからは、繰下げ受給の注意点を解説します。
 

障害・遺族年金は繰り下げできない

障害年金は病気やけがによって障害が残ってしまったときに受給できる年金であり、遺族年金は亡くなった人の配偶者や子どもに支給される年金です。障害・遺族年金は要件を満たすと受け取れるもののため、繰下げ受給はできません。
 

障害・遺族年金を受け取る権利があると老齢年金を繰り下げできない場合もある

65歳の誕生日前日から66歳の誕生日前日までの間に、障害年金や遺族年金を受け取る権利が発生したときは、老齢年金の繰り下げはできません。ただし、障害基礎年金または旧国民年金法による障害年金の受給権がある場合、老齢厚生年金の繰り下げは可能です。
 
また、66歳に達した日以降の繰下げ待機期間中に、障害年金や遺族年金などの受給権が発生したときは、その時点で増額率が決まるので受給額は増えません。
 

加給年金は繰り下げしても増えない

加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している被保険者が65歳になったときに、生計を維持されている65歳未満の配偶者または一定の条件を満たす子どもがいる場合、本来の受給額に加給年金が加算される制度です。
 
加給年金を受け取る場合は厚生年金の受給が必須になるため、繰下げ受給を申請するときは同時に行うことになります。しかし、繰り下げしても加給年金部分については増額しないため注意が必要です。
 

長く生きられないと“損”をする

年金は生きている限り受け取れるので、一度増額した年金は、何歳になっても、たとえ100歳になったとしても、増額したままの金額で受け取れます。
 
しかし、自分が何歳まで生きられるのかは誰にもわかりません。68歳で増額した額で受け取ろうと計画していても、その前に亡くなってしまう恐れもあるのです。そうすると、全く年金を受け取らなかったことになり、考え方によっては“損”をしたと感じる場合もあります。
 

受給時期にこだわりすぎず「悪くない」と思える選択を

65歳以降も働く意欲と体力のある人や年金受給額が多くない人、長生きしようと考えている人には繰下げ受給が向いていますが、その前に亡くなってしまうこともあります。また、老後の資金がほとんどない人や加給年金を受け取りたい人は、繰下げ受給をしないのも一つの選択肢です。
 
どうするか熟慮を重ねて決めてもそれが最適解だったかどうかは、実際に時間が過ぎたそのときにしかわかりません。自分の貯蓄やライフプラン、家族構成を配慮した上で「悪くない」と思える選択をしていくことが大切です。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
※2023/3/29 内容を一部修正させていただきました。
 
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士