更新日: 2023.05.22 国民年金

国が国民年金の保険料「納付期間の5年延長」を検討。私たちにできる対策は?

執筆者 : 柘植輝

国が国民年金の保険料「納付期間の5年延長」を検討。私たちにできる対策は?
国民年金を満額受け取るのに必要な保険料納付期間を、現行の40年から45年に延長することを国が本格的に検討しているようです。まだ決定事項ではありませんが、実際に延長される可能性はゼロではありません。そこで、延長された場合に備え、私たちは今からどのような対策をとるべきなのか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

保険料納付期間の5年延長は果たして本当に現実的?

現状、国民年金保険料の納付期間の5年延長は十分現実的と言えます。年金支給の財源は、われわれ現役世代の支払った保険料を基に確保されています。しかしながら、少子高齢化の影響から保険料を納める現役世代は減少する一方で、年金を受け取る高齢者は増加しています。
 
今後もこの流れは変わらず、年金の財源確保は厳しさを増していくことが想定されています。その点を鑑みると、国民年金保険料の納付期間が5年延長されることは十分現実的なのです。
 
5年に1度、年金制度の状況を確認する財政検証というものが行われており、次回は2024年に行われます。本格的に延長の流れとなる場合は、おそらくその場で議論されるでしょう。
 
なお、仮に保険料納付期間が延長されたとしても、国民年金の支給額が増えるとは限りません。国民年金保険料は長期的に見ると年々値上がりをしているものの、支給額は年間78万円前後の横ばいで推移しています。
 
保険料納付期間の延長が検討されている理由は、主に財源確保を目的にしていると考えられます。そのため、保険料納付期間の延長を理由に国民年金の支給額が増加されることには期待できないでしょう。仮に支給額が増加されても、保険料の増加に比べると微々たるものになる可能性が高いと想定できます。
 

保険料納付期間の5年延長が検討されている今、私たちにできることは?

国民年金保険料の納付期間について5年延長が検討されている現在、私たちにできることがあるとすれば、年金制度について知り、年金制度の改正動向について目を向けることと、働き方について考えることです。
 
年金制度について知ることで、改正情報が耳に入ってきたときその内容が理解しやすくなります。
 
それに併せて、国民年金保険料の納付期間が5年増える分、その間の保険料を支払えるよう働き方について考える必要もあります。
 
令和5年度ベースで発生する1年間の国民年金保険料は19万8240円です。5年間で生じる国民年金保険料は99万1200円と100万円近い金額になります。
 
例えば、自営業の方であれば65歳までは保険料を払えるよう事業を続けたり、貯蓄をして将来の保険料の負担増加に備えたりするなどの対策が必要になるでしょう。
 

国民年金の保険料納付期間延長は会社員も人ごとではない

国民年金の保険料と言えば、自営業者やフリーランスの方などに関係するため、会社員である自分には関係ない、と認識している方は要注意です。
 
厚生年金に加入している方は、同時に国民年金にも加入しているからです。厚生年金加入者も、国民年金の保険料を5年分納めるためには、その分の保険料を捻出する必要があります。
 
具体的には、60歳で定年予定の方は、定年後も再就職や再雇用などで65歳まで厚生年金に加入して働いたり、定年後別途自分で国民年金保険料を納めたりするなど、保険料納付期間の延長について考えていかなければなりません。
 

国民年金保険料の納付期間延長に備えて今から年金と向き合いたい

国は現在、国民年金保険料の納付期間を5年延長することについて本格的に検討を開始しています。近い将来、国民年金を満額受け取るには45年間国民年金の保険料を納めなければならない時代が到来するかもしれません。
 
そうなったときに慌ててしまわないよう、今から、65歳まで年金保険料を納めることになる可能性も視野に入れてライフプランについて考えてみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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