更新日: 2023.05.24 その他年金

「60歳」VS「65歳」年金の「元を取る」のはどっちが早い?

「60歳」VS「65歳」年金の「元を取る」のはどっちが早い?
年金をいつから受け取るのかというのは非常に悩ましい問題です。受給開始年齢を遅らせれば受給額は上がりますが、あまり長く待っていると寿命が尽きてしまう可能性があります。そうなると、元が取れなくなるケースも出てくるでしょう。
 
本記事では、国民年金と厚生年金の保険料の合計額を確認し、受給開始時期を60歳、および65歳に設定したときのそれぞれのケースでの受給額を比較してみます。

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公的年金制度の仕組み

日本の年金制度は、国民全員が加入する国民年金と、会社員などが加入する厚生年金から成り立っています。国民年金は、全ての国民が保障される最低限の生活を支えるためのもので、20歳から60歳までの40年間、保険料を支払います。
 
一方、厚生年金は、国民年金に加えて加入する制度で、会社員などの給与所得者や公務員などが対象です。国民年金とは異なり、厚生年金の保険料や受給額は所得に応じて変わります。
 
なお、厚生年金を受け取る人は、基礎年金(国民年金)と厚生年金の両方を受け取ることになります。これら2つの制度が組み合わさることで、年金制度は所得差を考慮しながら、全国民の生活を支える役割を果たしています。
 

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国民年金と厚生年金の保険料の合計額

まずは、国民年金と厚生年金の保険料について考えます。国民年金の月額保険料は1万6540円(令和5年度)が基本です。厚生年金の保険料は所得により異なりますが、この試算では平均的なサラリーマンの月収約35万円の場合の保険料額として月額6万円(総額)を仮定しましょう。これらの保険料を一生涯にわたって支払うと、その合計額はどのくらいになるのでしょうか。
 
それぞれの支払期間については、国民年金は20歳から60歳までの40年間、また、厚生年金は4年制大学を卒業して就職するとして、22歳から60歳までの38年間とします。その結果、国民年金の合計額は793万9200円、厚生年金の合計額は2736万円となります。
 

「繰上げ受給」で元は取れるのか?

続いて、「繰上げ受給」について理解しておきましょう。これは年金を通常受給が開始される65歳より早く受け取る制度で、受給額は繰り上げる月数に応じて減少します。
 
なお、ひと月あたりの減額率は生年月日が昭和37年4月1日以前の場合0.5%、4月2日以降の場合0.4%です。前者の場合の減額率は最大で30%になります。では、「繰上げ受給」を選んだ場合と65歳から受け取った場合、どちらが先に元を取れるのでしょうか。
 

・65歳から受け取るケース

繰上げせずに通常の支給開始年齢を選んだ場合です。厚生労働省が発表している「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の月平均受給額は、国民年金が約5万6000円、厚生年金が約14万6000円となっています。
 
例えば、この平均的な厚生年金受給者の年間受給額を約175万円として試算すると、65歳から受け取った場合、約15.5年で2700万円を超えるので、支払った保険料分を取り戻すことが可能です。
 

・60歳から「繰上げ受給」を選んだケース

この場合は、受給額が65歳で想定した175万円から約30%削減され、年間約122万5000円となります。そうなると、単純に計算して支給開始から22.5年目で2700万円を超え、支払った分を取り戻したといえるでしょう。
 

受給開始時期は自身のライフスタイルやニーズに合わせて決めましょう

以上の分析から、60歳で年金を受け取る「繰上げ受給」と65歳から通常通り受け取るケースとでは、保険料の元を取るための期間は65歳から受け取る方が約7年間早いことが明らかになりました。
 
しかし、これは一例であり、個々の所得や雇用状況、世帯状況などによって大きく異なります。年金受給開始時期の決定は一生を左右する重要な選択ですから、自身のライフスタイルやニーズに合わせて、専門的なアドバイスも参考にしながら慎重に決めましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料

日本年金機構 年金の繰上げ受給

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー