更新日: 2023.06.05 その他年金

一定月収以上で年金停止! 老後も稼ぎたいなら知っておきたい「在職老齢年金制度」

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

一定月収以上で年金停止! 老後も稼ぎたいなら知っておきたい「在職老齢年金制度」
60歳以降も就労する場合は、在職老齢年金の仕組みを知っておくことが大切です。収入が多いと、在職老齢年金の仕組みにより、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる可能性があります。老後の生活にも影響を及ぼす可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
 
こちらの記事で、在職老齢年金の仕組みやケース別のキャリア・マネープランの一例を紹介していきます。
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在職老齢年金とは

「在職老齢年金」とは、60歳以上で一定以上の収入がある場合に、年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
 
60歳以上の人が厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合は、在職老齢年金が影響する可能性があります。年金の「基本月額」と給与収入などの「総報酬月額相当額」が48万円を超えると、在職老齢年金により年金の一部または全額が支給停止となるので注意しましょう。

【基本月額と総報酬月額相当額の計算方法】

基本月額: 加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円を超える場合は「(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×1/2」が支給停止となります。
 
例えば、基本月額が10万円で総報酬月額相当額が40万円の場合、老齢厚生年金のうち1万円の年金が支給停止となります。
 

ケース別のキャリア・マネープラン

年金は、老後の生活を支えるための柱となる収入です。在職老齢年金の仕組みを踏まえたうえで、ケース別のキャリア・マネープランについて解説していきます。
 

健康で就労意欲が高い人

健康で就労意欲が高い人は、個人事業主やフリーランスとして働くことが有力な選択肢になります。
 
在職老齢年金は「厚生年金に加入している人」が対象となるため、厚生年金に加入しない個人事業主やフリーランスは在職老齢年金の影響を受けません。つまり、自分の事業でいくら稼いでも年金支給が停止されることはないため、働きながら満額の年金を受給できます。
 

フルタイムで働く必要性が薄い、体力的にフルタイムで働くことが厳しい人

フルタイムで働く必要性が薄い人や状況的に難しい人は、基本月額と総報酬月額相当額が48万円を超えないように就労するとよいでしょう。
 
無理をして働き、心身を消耗してしまうと老後の自由な時間を快適に過ごせなくなってしまいます。パート就労などで仕事量をセーブすれば、年金が支給停止になることなく勤労収入を得られるため、健康面でも経済面でもメリットが大きいです。
 

年金が削られることに心理的抵抗がある人

年金が削られることに心理的抵抗がある人も、基本月額と総報酬月額相当額が48万円を超えないように調整しましょう。
 
しかし、本当はフルタイムで働ける体力とスキルがある人の場合、支給停止される年金額以上に稼げる可能性があります。「年金が削られるのは嫌」という心理的な抵抗があるのは仕方ないとはいえ、長い目でみればフルタイムで働いたほうが経済的メリットは大きい可能性があります。
 
目先の損失回避だけでなく、自身の健康や保有スキルに応じて、柔軟にキャリアやマネープランを決定しましょう。
 

まとめ

在職老齢年金の仕組みで、60歳以上に働きすぎると年金の一部または全部が支給停止になる可能性があります。
 
60歳以降のキャリア展望や保有スキル、金銭的状況によって取りうる手段は異なります。快適な老後生活を送るためにも、年金と勤労のバランスを取ることは大切です。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第10 在職老齢年金・在職定時改定
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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