更新日: 2021.02.02 国民年金

退職後、国民年金保険料が払えない…こんなときはどうすればいい?

監修 : FINANCIAL FIELD編集部 / 執筆者 : 松木優子

退職後、国民年金保険料が払えない…こんなときはどうすればいい?
会社を退職した後、収入減少により国民年金保険料が払えなくなった場合、「保険料免除制度」や「保険料納付猶予制度」を適用できることはご存知ですか?
 
これらの制度を利用することで、未納のまま放置した場合に比べて、将来の老齢基礎年金額を増やせる可能性があります。どんな制度なのか詳しく見ていきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

監修:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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松木優子

執筆者:松木優子(まつき ゆうこ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。

来店型保険ショップ元コンサルタント。首都圏郊外の地域密着店や、都市部の富裕層が多い店舗で、年間約150組のお客様のコンサルタントを担当。

「保険料免除・納付猶予制度」とは?

保険料免除制度

本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下になるなど、保険料を納めることが経済的に難しくなった場合、申請書を提出することで保険料の納付が免除されます。免除の割合は所得に応じて、全額・4分の3・半額・4分の1、のいずれかになり、老齢基礎年金額もそれに基づいて計算されます。
 

保険料納付猶予制度

20歳から50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合、申請書を提出すると保険料の納付が猶予されます。免除と違い、猶予期間分は老齢基礎年金額の計算に含まれません。あくまでも「猶予」ですから、将来的に納付できるとみなされているためです。
 


※日本年金機構 「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度 1.保険料免除・納付猶予制度とは」より筆者が作成
 
保険料を未納のままにしておくと、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されない場合があります。老齢基礎年金も将来的に支給されない可能性があるため、免除や猶予制度の申請をおすすめします。
 

免除・納付猶予された期間の老齢基礎年金額は?

満額支給されるわけではありません。保険料を全額納付した場合と比べて、次の表のように少なくなります。
 


※日本年金機構 「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度 1.保険料免除・納付猶予制度とは」より筆者が作成
 
令和2年度の年金額で計算すると、40年間全額納付した場合の老齢基礎年金額は78万1700円ですが、40年間全額免除になると、78万1700円×2分の1=39万850円が支給されることになります。

免除や猶予を受けられる条件は?

免除や猶予を受けるには、前年の所得が以下の計算の金額内であることが条件です。
 
1.全額免除
(扶養親族等の人数+1)×35万円+22万円
 
2.4分の3免除
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
 
3.半額免除
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
 
4.4分の1免除
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
 
5.納付猶予制度
(扶養親族等の人数+1)×35万円+22万円
 
「扶養親族等控除額」や「社会保険料控除額等」は、年末調整や確定申告で申告した金額です。前年の源泉徴収票や確定申告の控えを確認してみましょう。

免除や猶予の手続き方法は?

世帯主・配偶者それぞれの所得審査を受けます。申請書と、年金手帳または基礎年金番号通知書を、住民登録をしている役所・役場の国民年金担当窓口へ提出します。申請書は、日本年金機構のホームページからダウンロードもできます。
 
なお、失業などによる申請の場合は、退職した会社の「雇用保険受給資格者証」「雇用保険被保険者離職票」などのコピーも一緒に提出します。必要書類は状況により異なるため、詳しくは年金担当窓口にお問い合わせください。

免除や猶予を受けた分は、後から「追納」できる

なお、免除や猶予を受けた分の年金保険料は、後から「追納」できます。追納すると、その分将来の老齢基礎年金額を満額に近づけることができます。
 
ただし追納できるのは、追納が承認された月から10年以内に免除や猶予を受けた分に限られています。また、免除や猶予を受けた翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は加算額が発生します。加算額は免除割合や経過期間によって異なりますが、1年経過ごとに月々数十円〜数百円が上乗せされます。
 
いかがでしたか? どうしても保険料を払えなくなった場合は、未納のままにするより免除や猶予を受けた方がメリットを得られる可能性があります。まずはお住まいの自治体に相談してみましょう。
 
参考 日本年金機構 「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
 
※2020/10/20 タイトルを一部修正させていただきました。
 
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。

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