薬剤師転職の割合を分析|職場選びで失敗しないために |ファイナンシャルフィールド

薬剤師転職の割合を分析|職場選びで失敗しないために

終更新日: 2021.01.04 公開日: 2020.12.31

戸谷恵理

執筆者: 戸谷恵理

国家資格キャリアコンサルタント、第一種衛生管理者 ACCN会員、キャリアコンサルティング協議会所属
大手人材派遣業界にて7年3ヶ月 キャリア相談4000人以上 職業訓練校の就職支援キャリアコンサルタント 公的機関でのキャリアコンサルティング、就労支援 キャリアコンサルタント養成講座のサブ講師 新卒・中途の採用代行としても各企業のご支援   人事労務管理知識も生かしたご相談業務  


薬剤師の離職率や転職率などの割合を見て、これから転職を考えている人はどのような点に注意すればよいのかを考えていきます。薬剤師の仕事の多様化もあり、これから薬剤師の転職はますます増えることが予想されます。薬剤師の将来の可能性も含めて紹介しますので参考にしてください。

薬剤師で転職を考えている割合は50%以上

薬剤師の転職支援サービスを行うエムスリーキャリア株式会社が薬剤師にアンケートを取った結果によれば、47%は転職を考えていませんでしたが、51%は転職をしたいと考えているという結果が出ました。半数以上が転職を考えている薬剤師の仕事について考察します。



薬剤師が転職を考える理由

給料に満足できない、評価されない、仕事が忙しいといった理由で転職を考えている人が多い傾向です。給料に関しては、医師に比べるとかなり低いですが、看護師などその他の医療関係者の中では、比較的高い方です。平均月額給与は39万8,600円、年間賞与額は83万3,300円で、X線技師の月額給与34万6,200円、年間賞与86万5,100円や看護師の月額給与33万4,400円、年間賞与81万6,300円と比較すると高い傾向です。

しかし、培ってきた技術や仕事量を考えるとさらに高い収入を得たいと考えている人が多くいらっしゃいます。その他人間関係で悩んでいる方も多く、コミュニケーションが取りにくいと答えた人が多いです。特に医師や看護師とのコミュニケーションが難しいと多くの薬剤師が答えています。

勤務時間が比較的長いことも薬剤師の仕事のデメリットです。先ほどのエムスリーキャリアの調査データによれば、勤務時間は38%の方が8~10時間、33%の方が10~?12時間と答えています。ただ、12時間以上が15%と、長期間働いている人も多くいます。

これから薬局の「24時間対応」が増えていくとさらに長時間労働が増加していくと考えられます。正社員ではないパート・アルバイトでの働き方もあるのでライフワーク・バランスを考えて勤務形態を選択することもできます。



薬剤師が働きたいと思う職場

エムスリーキャリアの調査データによれば、「最も重視する項目」に対する答えは、収入が79%という割合を占め1位、勤務時間が56%で2位、通勤時間が52%で3位でした。自分の生活を第一に考えて、転職を考えていることがわかります。

その他、年間休日数、土日の休みの有無、休みが取りやすいなどが50%近い人が希望している項目です。現在の勤務条件に満足がいかないために、より良い勤務条件の職場を目指して転職を考えているのでしょう。

勤務形態も多様になり、派遣、短時間社員、パートなど豊富な選択肢があります。その中からご自分のライフスタイルに合ったスタイルを選べます。

薬剤師の不安|不安原因の割合が高い項目は?

男性の場合は特に、収入が減ることが不安な項目の1位でした。人員削減が増えている傾向で、自分もいつ削減されるか心配、また人員削減によって仕事量が増える可能性も考えられ、不安を抱えている人がいます。

2019年に厚生省から薬剤師の一部の仕事は、条件を満たせば無資格の人が代行できると発表したことも影響があります。また特に女性に転職希望者が多い傾向ですが、人間関係を不安に感じている、これからますます悪化するではないかと不安を持っている人が見られました。



薬剤師で離職する人の割合

薬剤師の離職率を見ていきます。その他の医療関係者の離職率や別業種の離職率に比べて高いのでしょうか?



医療関係者の離職率

まず医療関係者の離職率を見ていきましょう。厚生労働省による令和元年雇用動向調査結果の概況によると医療・福祉関係者の離職率は14.4%、入職率は16.2%で、平成29年の動向調査とあまり変わらない結果でした。

他の職種に比べて特に多いわけではなく、ほぼ平均値に近い結果です。宿泊業や各種サービス業に比べるとはるかに少なく、建設業や製造業に比べると多い結果となりました。



薬剤師の離職する割合は10%

薬剤師一般の入職率が14%、離職率は9%で医療関係者全体の離職率に比べて低い傾向でした。薬剤師の中でもパート薬剤師の入職率が24%、離職率は21%とフルの契約でしている人よりはるかの多い傾向です。

薬局の規模で比べると5店舗以下の薬局で離職率が6%、21?30店舗で8%に対し、31店舗以上の離職率は16%、6?10店舗で14%でした。6?10店舗から30店舗までは規模が大きくなるほど待遇が良いためか、離職率が少なくなる傾向ですが、31店舗以上の大型の場合は反対に離職率が増加します。



薬剤師の仕事が多様化

これから薬剤師の仕事が多様化するにつれ、専門外の仕事に就いていた人が薬剤師に戻る可能性もあります。例えば、令和元年11月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決されたことで薬剤師によるオンラインの服薬指導が可能になりました。そのため、子育てをしながら隙間時間に指導をする人が増える可能性があります。

一方で薬局の24時間対応の取り入れが進むと薬剤師の仕事を負担に感じる人も増えるかもしれません。また病院に勤務する薬剤師の業務拡大によって注射、TDM 時の採血などの新しい仕事が加えられることが負担になる可能性もあります。

このような病院、診療所、薬局の仕事以外にもそのほか、製薬会社や化粧品メーカーなどの大手企業で、品質管理者や研究・開発をする研究員、毒物劇物取扱責任者としての仕事やMRやMSといった営業の仕事など仕事の種類が増えています。

どのようなスタイルで薬剤師の仕事をしていくかは、転職を考えるにあたっての課題です。



薬剤師の転職をする割合は

薬剤師で転職を考えている人の割合は50%以上でした。仕事に満足していなくても、転職をする気力がないと我慢している人もいらっしゃるでしょう。

薬剤師の仕事も多様化しています。化粧品会社の研究・開発、薬事申請、品質管理といった仕事や医師と一緒に行う訪問診療、在宅でのオンラインでの服薬指導など。ライフスタイルにあったやりがいのある仕事が増えています。



出典
エムスリーキャリア株式会社「薬剤師の業務に関する意識について」
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査 」
厚生労働省「2019 年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」


監修:戸谷恵理
国家資格キャリアコンサルタント、第一種衛生管理者 ACCN会員、キャリアコンサルティング協議会所属


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