薬剤師がパートで働くメリットはあり?派遣と比べてお得な点と問題点 |ファイナンシャルフィールド

薬剤師がパートで働くメリットはあり?派遣と比べてお得な点と問題点

終更新日: 2021.02.05 公開日: 2021.01.30

岡澤和良

執筆者: 岡澤和良

国家資格キャリアコンサルタント
国家資格キャリアコンサルタント(登録番号 17012232) JCDA認定CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)(会員番号 CDA148399) ジョブ・カード作成アドバイザー(登録番号 n17-00147) 宅地建物取引士(登録番号 上川第1034号) 二級ファイナンシャルプランニング技能士(登録番号 F20210228896)   ・「履歴書・職務経歴書の書き方教室」を通じて、ミドル・シニアの方々の「売り(強み)」を再発見し言葉にします   ・定年を向える(定年後の)方々の「キャリアの棚卸し」を行い、自身の 「Will(やりたいこと)・Can(出来ること)・Must(期待されていること)」を見える化し充実したセカンドキャリアを応援します。   ホームページ https://okmirai.jimdofree.com/
薬剤師がパートとして働くかどうか迷っている場合に参考にしてほしい、派遣社員との違いやパートのメリット、デメリットを紹介します。パートとして働く場合に心配なこともいろいろあるでしょう。例えば就業条件などです。近年パートタイム労働法も改善され、以前に比べるとずっと働きやすくなっています。法律に関する大切なこともお伝えしますので参考にしてください。

パートと派遣、どちらが良い?

出産で仕事を休んでいた方には、フルタイムの仕事よりパートや派遣の方が子育てとの両立もしやすいとパートや派遣での仕事を選ぶ人が多い状況です。どちらを選ぶべきかを考えていきましょう。

項目パート派遣
時給1,500円~3,500円※案件による 薬キャリ3,500円~
昇給あり基本的になし
残業契約による契約による
社会保険・福利厚生勤務先による派遣会社による
解雇に関する法律不当な解雇は法律で守られる不当な解雇は法律で守られる
働く場所の選択範囲調剤薬局など全て調剤薬局や病院では働けない
異動・転勤基本的にない契約期間が終了するごと
契約期間長期の場合が多い短期の場合が多い
期間制限ルールなし3年
勤務できない場所なし病院・診療所・介護医療院
パートの時給はハローワークを参照



薬剤師がパートで働くメリット

自宅から通いたい場所限定で選び、自分のライフスタイルに合った曜日や時間帯での勤務が可能です。そのため、家庭と仕事を両立できます。薬剤師の仕事は、新薬の開発など新しい知識を必要とするため、できればブランクをなくし短時間でも働き続けたいものです。

また今までフルタイムで働いていた薬剤師は、子育てで職場から離れて自宅にいる時間が長すぎるとかえってストレスがたまる傾向があります。パートで働くことは社会参加ややりがいを感じられるということもメリットです。

子育てや介護をしている方はできれば自宅近くで仕事を見つけたいと思うでしょう。そのような場合もパートなら正社員の仕事よりも比較的ラクに見つけられます。転勤や異動もほとんどないため、自宅から遠くの勤務地になることもほとんどありません。

収入面はどうでしょうか?パートの場合は派遣薬剤師と比較すると低い時給です。しかし、一般的なパートの賃金は全国平均男女計1,148円、男性1,207円、女性1,127円ですから、一般的にパートに比べるとはるかに高いことがわかります。

社会保険に関してはパートで働く人にとって条件が改善されつつあります。以前は週30時間以上働く必要がありましたが、現在では条件を満たせば週20時間で社会保険に加入することが可能です。週20時間以上の労働以外に、月額88,000円以上の収入があること、500人未満の職場に関しては労使が合意するなどが条件です。

派遣の場合は即戦力が求められるため、基本的に教育体制に組み込まれていないことがほとんどです。しかしパートの場合は教育システムが充実していることが多く、求人欄にも明記している案件が豊富です。



薬剤師がパートで働くデメリット

派遣に比べると時給が少し低めに設定されています。派遣薬剤師の場合、派遣会社に申し込んで派遣会社が時給の交渉をしてくれるため、比較的高い傾向です。個人では時給を交渉することが難しければ、パートも薬剤師紹介業者で仕事を紹介してもらえ、その際適切な給料になるよう交渉してもらえます。

基本的にパートで働く場合も産休や育休を取る権利があります。しかし実際問題として取りにくいのが現状です。アフターフォローのしっかりした転職サイトを利用してパートを見つけると、コンサルタントがフォローしてくれる場合があります。面接時に確認すべき事項ですが、面接であまり有給について詳しく聞こうとすると印象が悪くなる可能性があるため、難しいところです。

正社員に比べると責任の重圧が少ないパートですが、それだけに責任のある仕事を任せてもらえないことに不満を持つ人も少なくありません。そのため、もっとスキルをみがきたいと考える人には物足りないというデメリットがあります。



パート薬剤師の給与事情



一般的な時給は2,300~3,500円

薬剤師をターゲットにした求人紹介サイトはいくつかありますが、ざっと見るとほとんどの場合2,000~3,500円の案件が中心です。薬剤師パートの場合は、田舎だから時給が低いとは一概に言えず、地方でも高額なパート案件が見つけられます。また転職サイトでは交渉次第でアップも可能と書かれている案件も豊富です。

各地のハローワークを見てもおおむね2,000円以上の案件がメインです。ただし国立病院など公立病院の場合は1,600円前後の案件もあります。しかしやりがいや勤務のしやすさ、スキルアップ、将来正社員になる可能性、福利厚生などを総合的に見ていくことが大切です。



パートの昇給はあり?

改正パートタイム労働法はパートで働く人の権利を守るための法律です。パートとして雇用された際に、雇用の条件をきちんと明示することが定められています。特に、昇給があるのか、退職手当や賞与は支払われるのかを明記しなくてはいけません。

昇給がないのであればきちんとないことを確認し、文書での契約でパート労働者に認識させることが雇用者の義務です。(パート労働者が希望した場合は、ファックスやEメールでも可能)もしも義務を怠り、パート労働者に昇給があると誤解するようなことを言って雇っていた場合は、罰金が科せられます。

実際に経験者と初心者は給料が違って当たり前です。しかし働く機関によっては正社員の待遇も異なるため、同僚の給料や待遇をチェックしていきましょう。基本的には、仕事内容が正社員と同等、人材活用の仕組みや運用方法が同じで実質的に期間を決めない契約の場合は正社員と同じ待遇を受ける権利があります。



時給の交渉は可能?

厚生労働省による「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」全国的に薬剤師の数を見ると福井県や宮崎県、沖縄県など人口10万人あたりに対応する薬剤師の数が全国平均値より少ないエリアは他のエリアより薬剤師が不足しているため、時給が高い求人が多い傾向です。交渉もしやすいかもしれません。

薬剤師の平均年間給与は398万6,000円、賞与は83万3,300円です。基本的に正社員と同じ条件で勤務している場合は、同等の条件を受ける権利がパートタイム労働法で定められています。その点を考えてどの程度の給料がご自身の仕事にふさわしいのかを吟味すると説得力のある交渉が可能です。



パート薬剤師の離職率は?

パートに限らず薬剤師など医療関係者は比較的離職率が高いと言えます。厚生労働省の統計によると医療関係者の3年以内の大卒進学者で医療関係者の離職率は38.4%です。スキルがあるため、仕事を見つけやすいことが原因だと考えられます。

特にパートの場合は勤務条件が想像していたものと大幅に異なっている場合は交渉をするよりも離職を選ぶ可能性が高まります。そのため求人広告には離職率を掲載している勤務先も多い傾向です。離職率が少ない職場は働きやすい条件がそろっている可能性があります。



後悔しないパートで働く勤務先の探し方

仕事を始めるまで勤務先の環境はわかりづらく不安な方も多いでしょう。できるだけ転職を繰り返さないためにも、働きやすい満足できる勤務先を見つけたいものです。そのために利用できる方法を紹介します。



求人サイト

職場の環境などをよく知っているのは求人サイトで働くコンサルタントです。また条件の良い求人も多いことが特徴です。無料で会員登録をすれば、非公開案件を紹介してもらえるので、さらに良い条件での仕事を見つけられる可能性が高まります。



ハローワーク

求人サイトに掲載しない職場にも実は働きやすい、またはやりがいのある仕事場がある場合があります。またハローワークはブラック企業など法的に違反した労働条件の職場に当たった場合に、フォローしてくれることもメリットです。



知人の紹介

知人が信頼している経営者なら条件も良い可能性が高いです。しかし、知人に紹介された職場でも合わない場合があり、その場合にやめにくいことがデメリットです。



薬剤師をパートで続けてキャリアを積もう

薬剤師としてパートで働くメリットや給料、福利厚生などを紹介しました。薬剤師の資格を持っていると他よりもずっと高い時給で働けます。ライフステージが変わってから、転職もしやすいため、無理のない範囲で少しずつ現場に戻っていくプロジェクトを立てていきましょう。



出典 厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

※2021/2/5 内容を一部修正させていただきました。

監修:岡澤和良
・国家資格キャリアコンサルタント
 

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