2018.03.13 税金

今すぐ旦那さんに確認!? 知らないともったいない医療費控除の新しい税制

出産を5月に控えるまゆみさん(仮名)は、会社員として働いています。2人目の子の出産については、経験から準備は少しずつ始めていてそれほど不安はなく、3月半ばからは産休に入る予定です。

出産のための検診などで医療費をたくさん使っているので、領収書は全部保管していました。

確定申告のために金額を合計したところ、医療機関からもらった領収書は約8万円で、医療費控除を受けるには足りないことがわかりました。

しかし、まゆみさんは平成29年からセルフメディケーション税制が始まったことを知っており、この税制を使えないかと夫に話したところ、控除が受けられたはずの領収書を夫は全部捨てていたのです。

なんと夫はこの税制に該当する薬を、毎月1万円ほど継続して購入していることがわかったのです。まゆみさんはほんとうに後悔しました。

ここでは、このセルフメディケーション税制について解説します。

セルフメディケーション税制は、ハードルの高い医療費控除を使えるチャンスです

平成29年1月1日からスタートしたばかりの、聞きなれない制度は何だろうと思われる人もいるでしょう。忙しい会社員は、税金の改正までなかなかチェックできないものです。まゆみさんの御主人もまったく知らなかったのです。
 
この税制は、医療費控除の特例として誕生しました。
 
特例なので期間が設けられており、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間です。健康維持促進と、病気の予防を行う個人を対象としています。自発的に健康管理をする人を増やすことを目的としているため、健康管理を実施していることも条件に含まれます。
 

セルフメディケーション税制で所得控除を受けるための2つの条件

1.「スイッチOTC医薬品」の領収書を1万2000円以上集める
「スイッチOTC医薬品」で確定申告をする本人、または本人と生計を一緒にする親族や家族の合計購入額が年間1万2000円を超えていた場合、最大8万8000円まで控除の対象になります。
 
スイッチOTC医薬品かどうかはOTC 医薬品(約 1500 品目)は厚生労働省のホームページに掲載されています。
 
簡単に見分ける方法としては、ドラッグストアのレシートにセルフメディケーション税制対象商品のマーク(ドラッグストアにより異なります)がついています。このマークを見かけたらしっかり保管しておきましょう。
 
もし10万円分の領収書があれば10万円-1万2000円=8万8000円の金額が所得控除の対象になります。医療費控除のときには10万円だと0円ですから、使わないともったいない金額です。
 
2.健康維持管理を行った証明書を準備する
厚生労働省が事例としているものは下記の内容です。
 
・保険者(健康保険組合、市町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
・市町村が健康増進事業として行う健康診査(骨粗鬆症検診、生活保護受給者等を 対象とする健康診査等)
・予防接種(定期接種又はインフルエンザワクチンの予防接種)
・勤務先で実施する定期健康診断(事業主健診)
・特定健康診査(いわゆるメタボ健診)または特定保健指導
・市町村が実施するがん検診
※市町村が自治体の予算で住民サービスとして実施する健康診査は、対象になりません。
 
詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000143635.pdf
 
会社員のまゆみさんは、会社が毎年行っている健康診査を受けています。会社から受け取った「定期健康診断」結果通知表が証明書に該当します。
 
まゆみさんはそれを使うことにしました。また、お子さんと一緒にインフルエンザの予防接種も受けていたので、その領収書も保管していました。この領収書でも大丈夫です。
 

医療費控除とセルフメディケーション税制ではどちらがお得

まゆみさんは、支払った医療費が8万円。そして、自身が保管していた領収書が2万5000円でした。夫の領収書は12月に領収書のことを伝えたため1カ月分の1万円。医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらかを選ぶようになります。計算してみると下記のようになりました。
 
●医療費控除の場合
8万円+2万5000円+1万円=11万5000円
11万5000円-10万円=1万5000円
 
●セルフメディケーション税制の場合
2万5000円+1万円=3万5000円
3万5000円-1万2000円=2万3000円
 
まゆみさんの確定申告では、セルフメディケーション税制を使って申告をした方がお得になります。
 

失敗は成功のもと! 来年こそは。家族の絆を深めて

今回のことでまゆみさんは、税金の改正などを知っておかないともったいない思いをすること。そして、家族でコミュニケーションを取ることの、大切さを実感しました。
 
もし夫が1年分の領収書を保管しておいてくれたら、毎月1万円ですから、年間12万円になります。最大8万8000円の控除が使えていました。夫は、背骨が曲がっているという生まれつきの体型からくる痛みの症状があって、痛み止めを継続的に飲まなければいけなかったのです。夫は妻に心配をかけないようにと、そのことを内緒にしていたのです。
 
この領収書の一件で、夫は月に1万円もの薬代を支払っていることを妻のまゆみさんに打ち明けてくれることになったのです。
 
平成29年分の満額控除は受けられませんでしたが、今回のことで夫への理解も深まりました。また平成30年は新しい家族の誕生もあり出費がかさむ年ということもあって、協力して税金の優遇制度なども調べていこうという気持ちが湧いてきました。
 
セルフメディケーション税制を受けるための、領収書を知らずに捨ててしまったもったいない事例でしたが、まゆみさんはそのことで家族の絆を深める結果となりました。
 
これからは2人でしっかりとさまざま問題にも対応して行くのではないでしょうか。
 
確定申告のために領収書を取っておけば、合計額によっては医療費控除の特例が受けられます。まだ平成30年はスタートしたところです。
 
今からでもドラッグストアでセルフメディケーション税制対象商品のマークの付いたレシートをもらったら、保管しておいてはいかがでしょう。
 
Text:木田美智子(きだ みちこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

木田美智子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
確定拠出年金相談ねっと認定FP、DCアドバイザー、証券外務員内部管理責任者、相続士、金融知力インストラクター、FP未来への扉(幹事)、SANWA DCサポート代表。

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