2018.03.13 税金

約9割が知らない「セルフメディケーション税制」など、意外と知られていない4つの制度とは

2017年分の確定申告から始まったセルフメディケーション税制を、約9割の人が知らないとする調査結果を、日本医療政策機構が発表しました。

誰でも利用できるのに、知らないために損をしている人は少なくありません。

セルフメディケーション税制のほかにも、患者申出療養制度、奨学給付金(奨学のための給付金)、就学援助制度も知らない人が多いのではないでしょうか。それぞれのポイントをお伝えします。

セルフメディケーション税制

市販薬のうち、スイッチOTC薬を購入すると、一定額を所得から控除できます(スイッチOTC薬控除)。
 
スイッチOTC薬とは、もともと医師の処方箋が必要だった薬が処方箋の要らない薬として、ドラッグストアで購入できるようになった医薬品です。風邪薬や鼻炎用内服液、胃腸薬、水虫、肩こり・腰痛の湿布など、ドラッグストアで扱う商品の多くを占めます。
 
対象商品は厚生労働省のホームページで確認できます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
 
しかし、対象商品かどうか購入前に薬局(ドラッグストア)のスタッフさんや薬剤師に確認をとるのが簡単です。レシートでも確認できます。
 
この税制を利用するには、健康の維持増進および疾病の予防のための特定健康診査(メタボ検診など)、予防接種、定期健康診査、健康診査、がん検診のうちいずれか1つを受ける必要があるので注意しましょう。
 
この条件を満たした個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、一定のスイッチOTC医薬品を購入した合計額が年間1万2000円を超えるときは、8万8000円を限度に超える部分を所得控除できます。
 
ただし、既存の医療費控除とどちらか一方を選択することになります。両方は利用できません。どちらが得かは、それぞれの所得控除額を計算して控除額が大きいほうを選びましょう。
 

患者申出療養制度

患者申出療養は、2016年4月から始まった新たな保険外併用療養の仕組みです。国内未承認の医薬品の使用など、患者の申し出にもとづいて、迅速に身近な医療機関で受けられるようになりました。
 
患者から申し出があると、患者のその時点の病状に効く可能性が高いか(有効性)、大きな副作用がないか(安全性)などを国の会議で確認の上、実施できるか決定されます。
 
患者が臨床研究中核病院を通じて国に書類を提出してから、実施が認められるまでの期間は6週間程度と、先進医療の審査期間よりも短期です。
 
困難な病気と闘う患者にとっては、治療の選択肢が増えたのは朗報ですが、国立がん研究センターが公表した、患者申出療養の対象となると予想される抗がん剤のリストによると、1カ月当たりの薬剤費の多くは100万円以上とかなり高額です。
 
利用したい人は、かかりつけの医師に相談してください。
 

奨学給付金(奨学のための給付金)

文部科学省の調査によると、低所得世帯の高校生を対象にした都道府県の奨学給付金に、支給漏れがあることがわかっています。全国の私立高校生だけで約2万人、推計約12億円に上ります。
 
奨学給付金は、都道府県が授業料以外の教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、校外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費など費用を援助するものです。
 
申請できる人は、申請年度の7月1日現在、平成26年4月1日以降に高等学校等に入学した高校生等がいる世帯のうち、次のいずれかの世帯の人です。
 
・申請年度の7月1日現在、生活保護(生業扶助)を受けている世帯の人
・申請年度の保護者全員の市町村民税所得割額が非課税である世帯の人
 
両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人(16歳)、中学生1人の子どもがいる世帯では、およそ年収250万円未満の世帯が対象となります。
 
受給額は、全日制の場合、生活保護(生活扶助)受給世帯は年額3万2300円(私立5万2600円)、非課税世帯(第1子)は7万5800円(私立8万4000円)、非課税世帯(第2子)は12万9700円(私立13万8000円)が支給されます。
 
申請は年1回です。高校により手続き時期は異なることがありますので、在籍する高校で確認してください。12月頃に保護者の口座に振り込まれます。
 
高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧は、文部科学省のホームページでわかります。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/detail/1353842.htm
 

就学援助制度

経済状況が厳しい家庭の小中学生に、学用品代や給食などを援助するのが就学援助です。
 
要保護世帯(収入が生活保護基準以下の世帯)と、それに準じて生活が苦しい準要保護世帯が対象です。準要保護世帯については、市区町村教育委員会がそれぞれの基準で認定しています。
 
認定基準の主なものは、「市区町村民税の非課税」「児童手当の支給」「生活保護の基準額に一定の計数を掛けたもの」です。一定の計数は、1.1~1.5倍など自治体によりさまざまですが、1.3倍程度が多いようです。
 
補助の対象は、学用品費、体育実技用具費、新入学児童生徒学用品費等、通学用品費、通学費、修学旅行費、校外活動費、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費、医療費、学校給食費などです。
 
自治体によって、就学援助の対象項目や申請方法などが異なります。対象者は、指定の期間に学校や教育委員会などに申請することになります。
 
文部科学省によると、平成26年度就学援助制度の周知方法とその割合は、毎年度の進級時に学校で就学援助制度の書類を配付している市町村が67.5%、入学時に学校で就学援助制度の書類を配付している市町村は66.6%となっています。
 
援助が必要な世帯に情報が十分に届いていないのが現実です。申請方法は、学校か教育委員会にお問い合わせください。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

新美 昌也

Text:新美 昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。
http://fp-trc.com/

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