更新日: 2019.05.17 その他暮らし

全住宅の約7戸に1戸が「空き家」?空き家を相続する場合の注意点と所得税軽減の特例とは

執筆者 : 藤丸史果

全住宅の約7戸に1戸が「空き家」?空き家を相続する場合の注意点と所得税軽減の特例とは
近年、空き家数の増加が社会的な問題になっていることをご存じでしょうか。

空き家が周辺環境に悪影響を及ぼさないよう、平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、法令の対象となった空き家の所有者は固定資産税の増額や強制撤去等の費用を負担させられることもあります。

相続した実家の管理ができずに結果的に空き家になってしまうというケースも非常に多く、ひとごとではないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで空き家に関する問題と、空き家を売却する際に譲渡所得税が軽減される特例についてお伝えしたいと思います。
藤丸史果

Text:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

空き家が引き起こす問題

総務省統計局で5年ごとに行われる「住宅・土地統計調査」のデータ(平成25年)では、国内の空き家数が過去最多、約820万戸を記録しました。これは国内の全住宅のうち、約7戸につき1戸は空き家ということになり、しかもその多くが相続した家であると言われています。
 
亡くなった親から住宅を相続し、登記等の手続きが完了したら、その後は維持・管理をしなくてはなりません。相続した家が遠方にある場合、相続した人が高齢である場合などは管理が難しくなることもあるでしょう。
 
こうして放置された空き家は、老朽化による倒壊やごみの投げ捨て、景観の悪化など周辺地域への悪影響を及ぼすこともあります。
 
そこで、平成27年に空き家の管理を促すため「空家等対策特別措置法」が施行されました。
 

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空家等対策特別措置法とは

現在はこの「空家等対策特別措置法」をもとに各自治体が空き家を整備しています。
 
この法律では、「特定空家等」に該当すると判断された場合には、除去(解体)、修繕、立木や竹の伐採などの「助言または指導」、猶予期限をつけて改善するよう「勧告」がされ、それに応じなければ固定資産税の特例対象から除外、つまり固定資産税が増税され、通常の約3倍~4倍の増額となってしまいます。
 
それでも改善されない場合には強制執行として建物の強制撤去もあり得ますが、その際にかかった費用は所有者に請求されることになります。
 
相続した家の管理や処分は大変ですが、放置しておくとこのように余分なお金を払う事態になりかねません。
 

空き家の譲渡所得控除の特例を活用するには

相続した空き家の売却を検討する場合、所得税が軽減される特例を利用できる可能性があります。
 
不動産を売却すると、売却価格-(取得費用+譲渡費用)との差額が譲渡所得となり、これに所得税が課せられますが、この譲渡所得から3000万円が控除できるという制度がこの「空き家の譲渡所得控除の特例」です。
 
ただし、以下の要件を満たす必要があります。
 
<相続した家屋の要件>
● 相続開始の直前において被相続人が一人で居住していたものであること
● 昭和56年5月31日以前に建築された区分所有建築物(=マンション)以外
の建物であること
● 相続時から売却時まで、事業、貸付、居住の用に供されていないこと
● 相続により土地および家屋を取得すること
 
<譲渡する際の要件>
● 譲渡対価の額の合計額が1億円以下(共有で譲渡する場合には合計額が1億円以下)であること
● 相続人が耐震リフォームをして売却すること。または相続人が家屋を取り壊して売却すること
 
<譲渡時期の要件>
●相続を開始した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であること
●平成28年4月1日から平成31年12月31日までの譲渡であること
 
なお、自己居住用財産の3000万円特別控除、または自己住居用財産の買い換え特例のいずれかと併用(同一年中に空き家3000万円控除と居住用3000万円控除とを併用する場合には、二つの特例を合わせて3000万円が控除限度額)や、住宅ローン控除との併用についても可能ですので、もし条件が合えばぜひ活用したいところです。
 
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー