最終更新日:2019.01.11 公開日:2018.07.31
税金

フィンテックを理解する為の重要ワード『KYC』 どんな意味!?

フィンテックとは、「金融(Finance)」と「テクノロジー」を組み合わせた造語です。要は、デジタル技術を生かして、金融ビジネスをもっと便利にしていこうという取り組みです。
 
ところが金融ビジネスにはKYC(Know Your Customer=顧客本人であることの確認)という大きな課題があります。カンタンにいえば、「銀行口座を開こうと申し込んで来た客は、ほんとうにその人本人なのか、厳格に確認しなさい」ことです。
 
そうしないと、その口座が悪事を働く組織やテロリストなどにマネーロンダリング(不正資金洗浄)に利用されてしまうので、政府や規制当局は、きびしくKYCを行うよう金融機関に指示しています。
 

KYCとは金融手続きにおいて厳格に守るべき「顧客本人であることの確認」

今、ネットやスマホで口座を開くこともできるようになっていますが、わが国においては基本的に銀行窓口での対面手続きがスタンダードです。
 
スマホの撮影機能を使ったり、テレビ電話で対面したりする手続きもありますが、金融機関が「なりすまし(別人になりかわって手続きし不正に口座を開設する)」を見抜くためにたいへんな労力をかけることが求められます。
 
銀行の窓口にいって自分の個人口座を開くとき、おおむねどこの銀行でも「運転免許証」「パスポート」「住民基本台帳カード(顔写真入り)」「個人番号カード(マイナンバーカード)」「在留カード」「特別永住者証明書」などのうち、どれかひとつを持参しなくてはなりません。
 
「健康保険証」や「年金手帳」「後期高齢者医療被保険者証」「共済組合の組合員証・加入者証」「母子健康手帳」「各種児童扶養手当証書」「印鑑登録証明書」(その実印を口座に使用する場合)など2つ以上揃えなくてはならない書類もあります。
 
不正口座の開設を防ぐためにはこれぐらいの厳格さが必要かなとは思う反面、一般消費者としては、これだけネットのサービスが普及して便利になった世の中で、ちょっと面倒くさい手続きだし、時間がかかりすぎるなという感想を持ってしまいます。
 
また、消費者側だけではなく、銀行やフィンテック関連の事業者にとって、KYCをきっちり行うことは大きな負担です。
 
そこでIT技術によってKYC業務を支援しよう、その先にはネット上でKYCを完結できるようにしようという、さまざまな取り組みがなされています。
 

マイナンバーカードは切り札になるの?

IT企業やスタートアップが開発競争を繰り広げていますが、注目されている方法のひとつが「公的個人認証」であるマイナンバーカード(個人番号カード)の利活用です。
 
マイナンバーカードについているICチップには、「署名用電子証明書」(ネットの書類に使う電子実印みたいなもの)と「利用者証明用電子証明書」(ネットサービスを使うと聞き本人であると証明するもの)の2つの電子証明書が入っています。これを生かそうという試みです。
 
もしマイナンバーカードを活用したKYCが可能になり、法的に認められれば、口座開設の手続きがカンタンになるかもしれません。また、本人確認にかかるコストが下がるので、フィンテック事業、また、シェアリングエコノミーや古物買い取りなど、本人確認必須の業界でもサービスが展開しやすくなることが予想されます。
 
総務省によると、マイナンバーカードの普及率はまだ10%程度のようです。しかし、金融手続きに活用できるようになれば、持ち歩く人が増え、マイナンバーカードの普及に期待が持てるかもしれません。
 
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
明治大学リバティアカデミー講師・副業評論家

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藤木俊明

執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。



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