更新日: 2020.04.13 その他税金

増加傾向にある国民負担率。私たちの生活はどうなる?

執筆者 : 柘植輝

増加傾向にある国民負担率。私たちの生活はどうなる?
2020年度の国民負担率が44.6%の見通しとなることが、財務省より公表されました(※1 財務省報道発表、2020年2月26日)。
 
国民負担率が増加する一方、所得が思うように上がっていないと感じる方も少なくないでしょう。そこで、国民負担率とは何なのか、将来に向けてどう備えていくべきなのかをプロのFPが解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

国民負担率って何?

国民負担率とは、企業や個人の所得に占める税金と社会保険料の負担を示す数値です。国民負担率は下記の計算式で算出されます。
 
国民負担率=(税金+社会保険料)÷個人や企業の所得
 
この数値は、国民の負担の重さを国際的に比較する際にも使われる数値です(※2)。景気が好景気にあったり、税金などの負担が少なかったりすると、国民負担率は小さくなります。国民負担率が小さいほど、私たち国民が所得のうちで自由に使える割合が大きいことになります。

潜在的国民負担率は49.9%に!?

冒頭で述べた通り、財務省によると、2020年度の国民負担率は44.6%となる見通しです。さらに、国民負担率に財政赤字分を加えた潜在的国民負担率は49.9%となる見通しです。
 
これは驚くべき数値です。とはいえ、国民負担率は低ければいいというものではありません。国民負担率は、社会保障の充実度とある程度比例しています。
 
実際、デンマークやスウェーデンといった社会保障の充実している国の多くは、国民負担率が50%を優に超えています(※3)。
 
そのため、国民負担率が増加していても、過度に不安になったり必要以上に慌てたりすることはありません。日本は現在、低負担・中福祉の国であり、公的な保障を小さな負担で受けることができているからです。

将来に備えるには

国民負担率が増加したことで負担感が大きくなっているというのも事実です。国が社会保障の維持向上に努めているとはいえ、将来に備えて少しでも資産を増やしておきたいというのも当然でしょう。
 
そこで、国民負担率が増加するなかでも、無理なく預貯金を増やしていける方法をご紹介します。

(1)毎月の固定費を見直す

まず、毎月の固定費について把握できていますか?家賃やローン、携帯電話の通信料、加入している保険の保険料など、毎月必ず支出していく費用を把握し見直してみましょう。
 
例えば、家賃やローンを下げたり、携帯電話を格安SIMに切り替えたり、加入している保険の内容を見直したりすることで毎月の支出を減らすことができます。家族内で支出を毎月2万円でも減らすことができれば、年間24万円も預貯金に回すことができます。

(2)キャッシュレス決済を利用する

2020年6月までの間、「キャッシュレス・ポイント還元事業」に加盟している店舗でキャッシュレス決済(クレジットカードやスマートフォンを用いた決済、電子マネー決済)を利用すると、最大で5%のポイント還元を受けることができます。
 
詳細は、「キャッシュレス・ポイント還元事業」のウェブサイトをご確認ください(※4)。また、これらとは別に、クレジットカードやQRコード決済のアプリを利用することで、独自の還元を受けられることもあります。

(3)積立定期預金を利用する

積立定期預金とは、あらかじめ指定した金額を指定した日に、給与の支払い口座とは別の口座に積み立て、運用していくものです。金融機関によっては月額1000円から利用できたり、ボーナス月のみ多めに積み立てたりすることも可能です。
 
給料日と積立定期預金の引落し日を近くすることで、無理なく自然と預貯金を増やしていくことができ、手元にお金があると使ってしまうこともありません。

まとめ

国民負担率が増加しているとはいえ、固定費の見直しや積立定期預金などを利用することで、無理なく預貯金を増やしていくことができます。家計の見直しや預貯金、資産形成など、将来の備えについては専門とするFPにご相談ください。
 
[出典]
※1 財務省「報道発表 令和2年度の国民負担率を公表します」(2020年2月26日)
※2 財務省「国民負担率の国際比較(OECD加盟35カ国)」
※3 財務省「国民負担率の国際比較」
※4 一般社団法人 キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ポイント還元事業」
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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