更新日: 2020.11.17 年末調整

そろそろ始まる年末調整、今年の変更点は?

執筆者 : 下中英恵

そろそろ始まる年末調整、今年の変更点は?
2020年も11月になり、年末調整が気になるタイミングになってきましたね。
 
今年(令和2年分)の年末調整は、去年からいくつかの変更点があります。提出すべき書類や記載事項にミスがないよう事前にしっかりとチェックして、早め早めに準備を始めましょう。
下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

年末調整とは?

会社に勤めている方の場合、毎月の給与から税金や社会保険料があらかじめ天引きされています。年末調整は1年間の給与総額が確定する年末に、本来納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足額を計算して精算する手続きのことをいいます。
 
会社員の方で特別な事情がない場合は、勤務先で行う年末調整で税金の手続きが完了します。これで翌年の2月から3月に確定申告をする必要がなくなるため、簡単に税金の申告を済ませたいという方は必ず年末調整を行いましょう。
 
ただし、会社員でも年間の給与収入が2000万円を超えている方や、2ヶ所以上から給与の支払いを受けている方、副業など本業以外の所得が20万円を超える方、「扶養控除等(異動)申告書」の提出が正しく行われていない方などは、年末調整だけではなく、自分で確定申告を行う必要があります。
 
特に今年転職をした方や副業をしている方は、年末調整だけで大丈夫なのか、国税庁のホームページ(※1)で事前に確認しておきましょう。
 

2020年の大きな変更点

2020年(令和2年分)の年末調整は、いくつかの大きな変更点があります。給与所得者の方全員に関係することなので、必ずチェックしておきましょう。
 

1.給与所得控除に関する改正

給与所得控除額の改正により、給与年収850万円超の場合は実質的に税負担が増加することとなります。
 

2.基礎控除に関する改正

基礎控除額が改正され、合計所得金額が2500万円を超える所得者については基礎控除の適用を受けることができなくなりました。
 

3.所得金額調整控除の創設

前述のとおり、給与年収850万円超の場合は税負担が増加します。しかし、子育て世帯や介護世帯では増税の負担は大きいと考えられるため、一定の要件に該当する場合は給与所得控除額の増額が行われ、税負担が増えないように調整されます。
 
具体的には以下の方が対象です。
・特別障害者に該当する人
・年齢23歳未満の扶養親族を有する人
・特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する人

 

4.「給与所得者の基礎控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」の新設

1~3の変更に伴い、年末調整で税額負担を軽減できる所得金額調整控除の適用を受けようとする場合、会社など給与の支払者へ「給与所得者の基礎控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」の提出が必要となります。
 

年末調整のやり方、どこを見ればいい?

新たな書類の新設などにより、「年末調整が複雑になった」と感じている方もいるかもしれません。
 
具体的な記載方法などを詳しく知りたいという場合は、国税庁が公開しているインターネット番組(※2)を参考にすると良いでしょう。各書類の記載方法や留意事項が動画で説明されているため、初めての書類でも理解することができます。
 
今年は年末調整に大きな変更点がありますが、それでも自分で確定申告を行うより、年末調整の方が簡単に税金の手続きを終わらせることが可能です。今回ご紹介した内容を参考にしながら、会社から書類をもらった際には早めに年末調整の手続きを行うようにしましょう。
 
出典
(※1)国税庁 令和2年分 年末調整のしかた
(※2)国税庁 Web-TAX-TV 年末調整に関する情報
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者


 

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