更新日: 2021.02.04 控除

コロナでイベントが中止に……。そのチケット代、「寄付」できます

執筆者 : 馬場愛梨

コロナでイベントが中止に……。そのチケット代、「寄付」できます
2度目の緊急事態宣言が出るなど、新型コロナウイルスの影響はまだ続きそうです。「楽しみにしていたライブやスポーツ観戦が急に中止になってしまった」という経験をした方もいるでしょう。
 
そのときのチケット代を払い戻さなかった場合、「寄付金控除」として税制優遇を受けられる仕組みが新設されていることをご存じでしょうか。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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新設された「チケット寄付税制」とは

中止になったイベントのチケット代は通常、主催者からの連絡に従って払い戻しの手続きをして、返金してもらうことになります。
 
ですが、新型コロナ関連の支援の一環として、このチケット代を払い戻さずに「チケット寄付税制」の適用を受けた場合、そのイベントの主催者への寄付となり、さらに自分が納めるべき税金も減額されるという新しい制度が2020年4月30日から始まっています。
 
以前からある「寄付金控除」が特例で拡大された形です。
 
■いくら減税される?
この制度を使うと、いくら税金が安くなるのでしょうか。それは寄付した人の所得額や住んでいる自治体によって変わりますが、目安は次のとおりです。
 
(チケット代-2000円)×40%(住んでいる自治体が指定したイベントでは50%)
 
例えば、1万円のチケットを払い戻さず寄付とした場合、住民税を加味して、最大4000円減税されます。この制度の対象になるのは年間で合計20万円までです。
 
■どんなイベントが対象になる?
すべてのイベントが、チケット寄付税制の対象になるわけではありませんので要注意です。対象となるには、「新型コロナウイルスの影響で中止、延期、規模縮小された文化芸術またはスポーツの分野のイベント」であることが条件の1つになっています。
 
例えば、音楽コンサート、演劇、伝統芸能、同人誌即売会、スポーツ観戦、自身が参加するマラソン大会などが含まれます。さらに、これらのイベントの主催者が文化庁またはスポーツ庁に申請して指定を受けていることが必要です。
 
自分がチケットを持っているイベントが対象になるかどうかは、そのイベントのオフィシャルサイトや文化庁やスポーツ庁のホームページなどで確認できますよ。
 

「チケット寄付税制」を利用するにはどうすればよい?

「自分がチケットを持っているイベントが中止になってしまった。チケット寄付税制を利用したい」と思ったら、まずはそのイベントがこの税制の対象になっているか確認します。チケットはまだ捨てずに保管しておきましょう。
 
対象であることが確認できたら、主催者に払い戻しをしない旨を伝えて「指定行事証明書」と「払戻請求権放棄証明書」を受け取ります。
 
その後、確定申告をすることで減税されます。確定申告は、チケット代を支払った翌年の2月中旬から3月中旬にするのが基本です。主催者から受け取った2つの証明書はこのときに必要になりますので、紛失しないように気を付けましょう。
 
「確定申告なんてめんどくさそう」と感じるかもしれませんが、今は条件がそろえばスマホ1つで簡単にできるようになっていますよ。
 

まとめ:厳しい状態にあるアーティストやアスリートを寄付で応援しよう

数多くのイベントが、新型コロナウイルスの影響で苦渋の決断を迫られています。準備をしっかりと進めてきていたのに、直前でやむなく中止に追い込まれるケースも少なくありません。
 
もし自分に多少余裕がある状態であれば、自分の「推し」やその人が参加する団体、イベントのために自身の負担を抑えながら寄付するというのも選択肢の1つです。困ったときはお互いさま、苦しいときですが支え合っていきたいですね。
 
(出典)
文化庁「新型コロナウイルスの影響を受ける文化芸術関係者に対する支援情報窓口」
e-GOV「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和二年法律第二十五号)」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
 

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