最終更新日: 2021.02.12 公開日: 2021.02.15
税金

【今年4月から!】価格の表記が「総額表示」に一本化される。分わかりづらさは解消されるようだけど、このやり方で“打ち止め”なの?

執筆者 : 上野慎一

以前に文庫本の価格について書きました。同じ出版社の普通の文庫本どうしでも、価格は必ずしも厚み(ページ数)に比例するわけではない。それはどうしてかという内容でした。
 
ところで文庫本の価格は、本体ではなくカバー(本体を包んでいるもの)の裏面部分に例えば「定価:本体430円(税別)」と印刷されています。しかし、実際にレジで支払う金額は473円(消費税10%込み)です。
 
こうした分かりづらさは、日常のさまざまな買い物シーンの中でまだ見られますが、どうしてなのでしょうか。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

消費税と税込み価格表記のおさらい

消費税は1989年4月に導入され、税率3%でした。1997年4月に税率5%に引き上げられ、その後2004年4月から税込み価格で表記する「総額表示」が義務化されました。
 
しかし、その後の消費税率引き上げを円滑に進めるために2013年10月から総額表示の義務を課さない特例が導入されました。総額表示の「努力」は求められるものの、義務は緩和されているのです。
 
税率10%への引き上げが2度延長されたこともあってこの特例も延長されてきましたが、2019年10月の引き上げ実施を踏まえて、2021年4月から総額表示に一本化される運びとなっています。(経過等は、末尾の※1などを参照)
 

総額表示一本化で心配な点。書籍等の場合では?

税込み総額でいくらなのかの表示がバラバラ。そんな状況をもたらす一種のダブルスタンダードが7年半ぶりに一本化されるのです。価格を比較しながら買い物をしたり、結局いくら支払うのかを考えるときに、かなり分かりやすくなると期待されます。
 
一方で、税別価格を表示している商品などでは値札の付け替え等が必要となりますが、関連した手間や混乱があちこちで発生することも予想されます。
 
ここで、冒頭で触れた単行本ほかの書籍類に話題を戻しますが、やはり影響は少なくなさそうです。
 
2004年4月からの総額表示義務化の際、その約1年前に出版や書店の業界団体が書籍等の出版物は総額表示義務化の対象外とするよう、財務大臣宛てに要望書を提出しました(※2)。その中では、次のように窮状が述べられています。

◇消費税導入時には、価格表示変更のために多大な経費負担(出版社1社平均3623万円)があった。
 
◇こうした経費に耐えられずに、廃棄や絶版となった専門書や小部数出版物が多数あった。
 
◇5%への増税時には、その後の税率変更に対応するために総額表示から「定価:本体1000円+税」といった本体価格表示に変更し、その経費負担も少なくなかった。
 
◇価格表示変更(=消費税率変更)のたびに多大な経費負担のため多くの出版物が流通できなくなってしまうと、読者や著作者に負の影響を及ぼし、学術や文化の振興・普及の損失にもつながる。

 
週刊誌や月刊誌は、1つの号の販売期間が短いため「定価550円(本体500円)」のように本体裏面に総額表示されています。一方、単行本や文庫本ほかの書籍等は長期間に在庫を持って販売するため、「定価:本体1000円+税」といった表示がカバー裏面にされるのです。
 
総額表示義務に一本化されても、雑誌等は価格表示内容の変更だけで済みます。しかし、書籍等は価格が印刷されているカバーを全部作り直して差し替えるか、カバーは代えずに「スリップ」の上部に総額表示するなどの対応が必要です。
 
なおスリップとは、本のページの中に2つ折りのしおりのように挟まれている用紙で、「注文補充カード」や「売り上げカード」などのタイトルが印刷されたもの。真ん中の丸くカットされて本から飛び出ている箇所の形状から「ボーズ」とも呼ばれ、本を買うとレジで店員さんが引き抜いて回収しています。
 

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まとめ

書籍等は、2004年4月に総額表示が義務化された際には、総額をスリップ上部などに印刷して表示することでカバーの全面交換よりも手間や費用を抑えて対応した経緯があります。
 
その後、総額表示義務の緩和によって、今はスリップにもカバーと同じ価格表示がされていますが、今年4月からスリップにかつての総額表示が復活することも予想されます。
 
とはいえ、消費税率も10%で“打ち止め”とは限りません。今後いずれ、消費増税の次の行程を意識しながら、総額表示義務が再び努力目標に緩和されることがあるかもしれません。
 
その結果、書籍等に限らず、価格表示の分かりづらさがまた復活する。そんな歴史が繰り返される可能性がないとは、いい切れないでしょう。
 
[出典]
(※1)財務省「消費税における『総額表示方式』の概要とその特例」
(※2)社団法人日本書籍出版協会ほか「消費税の価格表示に関する要望書」(財務大臣宛て、平成15(2003)年2月27日付)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
 

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